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空のオト  作者: 悠々
一章
6/9

05 漆黒の巫女 上 (別視点)

前半は、王様視点であって、王様視点では無いです。世界観の説明?

面倒な方は、飛ばしてください。

人間の国、その王都。


今日は、言わずと知れた日。

人々は朝日の登る前から、じっと王城を見上げていた。


「今日は、あの『予言の日』、だよねぇ」


「そうだねぇ。巫女様は、どのようなお方なのかねぇ」


「神様と同じくらい高貴なお方だからねぇ、私たちみたいなのには分からんさ。

でも、きっと私たちをお救いしてくれるのだから、素晴らしい方なのだろうねぇ」


「やっと、終わるのかな・・・。ウチの爺さんも、これで安らかに眠ってくれるかねぇ」


「さぁねぇ・・・」


誰もが不安で、縋るように祈りの手を組んでいた。


✳︎ ✳︎ ✳︎


アルフォンスは、冷え冷えとした広間に一人立っていた。豪華な白いローブを纏って、何の感情も籠らない黄金の瞳で祭壇を眺めていた。


王城の中の聖堂。王はこの国の慣例として、国教の最高神官でもある。それは、この国の伝説と歴史に基づくものであり、今日この日のためのものであった。

普段は、祭事などは他の高位の神官に振って、自分は特別な祭事が無い限りは国務をしている。しかし、今日は必ず出席しなければならない。何故なら、予言の『巫女』が召喚される日だと言われているからだ。


我が国は、この世が誕生してから、長い間絶えず戦争をしてきた。

相手はこの国の境界線である広大な森の向こう。そこにいる妖精共である。

国境を跨ぐ広大な森には、資源が豊富にある。見たこともない動植物の他に、金銀財宝の眠る鉱山、豊かな水源。土地がなだらかだから、開墾もしやすい。

その森の利権を手にすれば、手にした国は更に繁栄するだろう。

それ故に、飽きぬ戦を続け、両国疲弊すれば、短い休戦の後、再び武器を交える。

今だって休戦しているものの、いつ戦を仕掛け、仕掛けられるのか。その時期は定かでは無いが、あるのは必至。


ただーーー、この日だけは無いと言える。


伝説によると、二国の戦を嘆いた一人の少女が神に向かって叫んだ。


ーーー神よ、どうか、どうか!!私は如何様になろうと構いません!


ーーー戦を、世界を、お止め下さいませ!!


神々も、下界の現状には哀しんでいた。

だから、少女の願いを聞き届け、己の命を捧げた少女に命じた。


ーーー少女よ。私は異なる世界にその魂を送り出そう。永い時をかけ、その後、其方は選定せよ。この戦の勝者を。


神はその日と共に予言を遺し、一時の雨を降らせたーーー。


その日が、今日。


少女の生まれ変わりの『天の巫女』が降り立つ日。

『選定』の日は、その少女が決める。


さて、どうなるかーーー。


アルフォンスは酷薄な笑みを一人浮かべた。


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