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空のオト  作者: 悠々
一章
4/9

03 白き巫女の召喚


「・・・・・・・・・」


思わず唖然。口をぱかっと半開きにして、目に至っては全開。俗に言う「THE☆間抜けヅラ」をしていると思われる。

歌音はそれはそれはもう、驚いていた。他の感情の入る余地は無い。全然無い。


目の前には真っ白なローブを着た、不気味な人々。きっちり並んでいるので、厳かさよりも不気味さの方が際立つ。

その面前に立たされてる自分・・・。


ーーー・・・何があった。


周りの真っ白でシミ一つとして無い石造りの高い壁と、豪華なシャンデリア。そして何より巨大なステンドグラスが綺麗なのだが、それより自分の状況がおかし過ぎて、気にしてられない。ぼーうぜん、とするのは自然の冥利ということで、しょうがなくはないだろうか。


暫くポカーンと辺りを見回していると、白ローブの人々の中の一人がゆっくりと歩いて来た。見惚れる程、優雅な所作だった。

他の白ローブよりも金や銀の刺繍やらが多く入っていて、見ただけで一番偉い人だと解る。背が高く、引き摺るように長いローブ裾を、悠々と捌いていた。

コツリ、コツリと静寂の広間によく響く。

それが近づく程に、ゆっくり、しかし確実に、麻痺していた恐怖が湧き上がるのを感じた。ひやりとする汗が流れる。軽く体が揺れた。


歌音から約一メートルの距離をとって、その人は足を止めた。

その時、歌音は高い位置にある顔を見上げ、更に目を見開いた。

若い男性で、波打つ濃い金の髪がフードから覗いている。よく陽に焼けた精悍な顔は彫りが深く、さながら一級品の彫刻を思わせる。高い鼻梁に固く引き結ばれた薄い唇、フードに遮られて見えない瞳は、綺麗な色をしているのだろうと、思わず考えた。


彼はフードを下ろしながら、低い声を発した。歌音にしか聞こえぬ小さな声で。


「・・・お前が巫女だ、と?」


やっと見えた瞳は、氷のような黄金だった。


ーーー怖い。


一気に、さっきの比ではない冷気が歌音を襲った。

冷徹な瞳。歌音はこんなに恐ろしい瞳を見たことがない。頭の中に激しく警鐘が鳴った。

彼は気に入らないような瞳を消して、全体に響く声を張り上げ、朗々と宣言した。


「ーーー我が国に『天の巫女』がご降臨なさった。皆、控え、我等が巫女に祈りをーー!」


「えっ、ちょ・・・⁈」


ざざっーーー!と、見事に揃った衣擦れの音を立て、何十人もの人が一斉に地に伏した。手は固く握り、ブツブツブツブツ・・・何やら呟き続ける姿は異様過ぎる。

どうしよう、汗が止まらない。

彼は続けて叫んだ。


「巫女よ、我等人間に、勝利の祝福たる選定を!我等をお救いください!」


「「「勝利の祝福たる選定を‼︎‼︎我等に救いを‼︎‼︎」」」


ーーー無理ですっっ‼︎‼︎


涙目で絶叫した。


この話を別視点でやる機会があと二話くらい進むとあります。

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