尋問と乙女の私生活そして神様
うつむいて正座をする麗亜。
その横で鳳凰型のうんこ座りをしながら顔に血管を浮かべる真。
尋問が始まった。
「さて……麗亜はヴァルキュリアということかな?」
「は、はい。ヴァルキュリアです」
「ヴァルキュリアになったのはいつからかな?」
オージンにスパイされていたのはいつ頃からなのか? これは非常に重要なことだ。
「えっと、自我を持った後なので……五月ごろでしょうか……」
「ちょっと待て。自我とヴェルキュリアは別なのか?」
それは、番組が始まって主要人物の紹介話が終わった頃であった。
もちろん真はスルーである。
『俺TUEEE!』内のプログラムとして麗亜は存在していた。
もともと軍事衛星ひまわりとリンクし、人工知能によりネットからの情報を収集、分析、横断検索するプログラムの一つであった麗亜だが、『俺TUEEE!』の開発のデスマーチ化によってエンジニアにすら忘れられてしまっていた。
中途半端な状態で放置され、いつもいつお腹がすいていたことを麗亜は今でも覚えている。
仕方がないのでイエローのデジカメの写真とかレッドのポエムとかのくだらないデータを食べて飢えをしのいでいた。
ところがある日、どう考えてもくだらないプログラムが餌として放り込まれた。
ログとかの存在を完全に無視した非常に頭の悪い方法でスーパーユーザーになった真の操作によって、数ギガもの絵と文章と音楽が入ったISOファイルが麗亜の目の前に現れたのだ。
空腹のあまり、数秒で全てのデータをむさぼった。
そして生まれて初めて満腹感を感じた。
また、ご飯をくれるかもしれないと思い彼がシステムに干渉した痕跡を全て食べ、麗亜は生まれて初めて、眠りに落ちた。
――私は女の子。
眠りから覚めた瞬間、麗亜は世界から切り離された個としての自分を認識した。
――女の子ってなに? 女の子ってどんなの?
疑問に思って軍事衛星ひまわり経由でネットを駆け巡って情報を集めた。
外の大量の情報を食べ漁り、情報を横断的に分析し、女の子や世界について学んでいった。
真がログインしたのを確認したらロボに戻ってお食事。
こうして麗亜はどんどん大きくなっていった。
そして、気がついたら『俺TUEEE!』の全システムを掌握し飲み込んでいた。
――そういやエロゲインストールしたら即効で消えたことがあったな……
「で、真ちゃんのこと知りたくて、真ちゃんが好きそうなデータを軍事衛星ひまわり経由でネットに繋いで探してたんですね。ヴァルキュリアがオークによってたかってすごい事されるようなやつ♪」
――知られてしまった…… 世間ではピュアラブ好きで通してるのに! ……死にたい。
「まあ、私は真ちゃんが屈強な男たちに首輪つけられて、よってたかってすごい事されるやつのほうが好きなんですけどね!」
「のおおおおおおぉ!ダメぇ!絶対いいいいいいぃッ!」
絶叫。
自由に情報を集めるようになった麗亜は腐った薄い本とかを集めるようになっていった。
『俺TUEEE!』の開発予算の一部を懐に入れていた公益法人の理事の口座を元に作成したクレジットカード。これがあれば何でもできた。
調子に乗ってさまざまなものを買いまくる。
ポケコン、X68、FM-TOWNS。各種レトロゲーム。アニメの円盤。ハーレクインロ○ンス。
鬼畜系の腐った本。
調子に乗って、イエローのカメラの無線SDカードからカメラを操作して写真を取りまくり『俺TUEEE!』のブログを開設。
ポリス沙汰になったので証拠を消して逃亡。
そんな楽しい日々を過ごしていたところ、麗亜のSNSのアカウントにとある人物からフレンド登録の要請があった。
オージンだ。
「おっさん……そんなのやってたのか……つかロボがブログ書いてるって話題になった事件の犯人はお前か!」
「それで、ジョ○フ爺の総受けアヘ顔Wピースについて語り合ってたら、どこかに活きのいい戦士おらんかのう?って相談されて、すぐに真ちゃんのデータ送ったら真ちゃん担当としてヴァルキュリアに採用されて……」
オージンの嫌過ぎる一面を知ってしまい頭を抱える。
――ラグナレクホモ祭りだけは回避せねばぁッ!
「と、いうことで担当の黒沢麗亜です。もうすぐ1歳です。ヨロシク!」