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最終決戦 1

さらに4年後。


「ぱぱー!いってらっしゃーい」


「あーい。リムちゃん」


「お父様。行ってらっしゃいなのです」


「はーい。ディアナちゃん」


「父上。ご武運を……」


「はい。亜矢ちゃん」


「みんなニケお姉ちゃんの言うこと聞いて良い子にしてるんだよ!」


「「「はーい!」」」


学園の高等部電気科の教師である緑真はいつものように家を出た。

忙しい妻たちはいつものように真より早く家を出た。

今日は自分たちの晴れの日なのだ。


自転車(ロードバイク)を漕いでいつものように自分の職場向かう。

風を切るこの感触が真は好きだった。

学園に着くと真は小走りに作戦司令室に向かう。

そこには仲間たちが待っているはずだ。


「いやーごめん。遅れた」


ドアを開けると学園の首脳陣たちが勢揃いしていた。

レーガンなどの旧経営陣。

そして青山学長。

黒沢学部長。

イングリッド王女。

フェオドラ理事長。

それと地球の代表者である出川。


「アナタ。おっそーい!」


「わりーわりー」


「だからお兄ちゃん! メイドさんくらい雇おうよー! 今日はニケちゃんが子供見てくれてるけどさー。 大公なんだし」


「さすがに純和風の家にメイドさんはどうかと。真ちゃんはお給料多くないですし」


真。

苗字は爵位叙任の際に無くなった。

学園の一教師にして理事長と学部長の婿であり自身も理事の一人。

そして女王の婿。

王国から叙任された称号は大公。

だが職業は高校教師。

担当科目は電気と情報。

家は魔道コンピュータのパテントと教師としての給料で30年ローンを組んだ純和風の民家。

庭には葡萄とブラックベリーの木が植えられていて、真は毎年それが実をつけるのを楽しみにしている。

通勤手段はクロムモリブデンフレームで24段変速のロードバイク。

現在では違法になった一夫多妻者。

(禁止される前の婚姻は有効)

子供は母親の違う三人の娘。

子煩悩な父親と評判の人物である。


「で、どう?」


「うん真ちゃん。やっぱり我々のレーダーで捕捉できました。彼らの技術だとこちらの時間であと一年ほどかかりますね」


「青山さん。ゲートの準備は?」


「できているぞ。後はお前と生徒たちの準備だけだ」


「わかった」


コンピュータが発明された最初の学年は有り余った性欲の矛先をプログラムに見出した。

次の学年は彼らが開発した資産を昇華させ実用プログラムを作った。

その次の年は先輩たちが作った資産を活用して自由自在に何でも作った。

そして四年目の世代は……青山とともに電気を使わず次元を超えることに成功した。


「ゲート起動シークエンス開始します」


「わかってるな! この作戦に人類の存亡がかかっている!」


「ゲート起動シークエンス完了。理事長! ゲート起動シークエンス完了。ゲート利用できます」


「わかったこれからヘイルダムを発進させる。ヘイルダム起動してくれ」


「了解。ヘイルダム、対亜空間外装起動シークエンス開始」


真たちはゲートの起動を見届けてからヘイルダムの方へ駆けて行く。

すかさずフェオドラから通信が入る。


「やっぱ私も行っちゃダメかな?」


「話し合った通り、俺と麗亜で行く。今度は帰ってくるから心配するなって!」


誰が行くかは事前に話し合った。

女王であるイングリッドは立場上、前線へは出ることができない。

フェオドラも国の重鎮であるから搭乗員にはなれない。

ディーノも地球人のリーダーなので無理だ。

青山は体力的に乗ることができない。

最後に残ったのは麗亜と真。

死んだときと同じようにまた二人で戦いに赴くことになった。


「まあ、大丈夫ですよ。なるべく死なないようにしますから。あーでも何かあったら亜矢ちゃん頼みますね」


「麗亜のバカ! そういうこと言わないの!」


「えへへー。大丈夫ですよー。今度はちゃんと帰って来ますから。ね、真ちゃん」


「もちろんだ!じゃあ行ってくるぜ!」


そう笑って二人はヘイルダムに立ちヘイルダムの胸から発せられた光に飲み込まれていった。

同時にゲートと呼ばれた施設。

門の枠だけが置かれた奇妙なオブジェが振動を始めた。


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