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最後の仲間 ~(漢)出川ここにあり~

2年後。


学園の近く。

どこまでも続く草原。

そこに突然、雷のような轟音が鳴り響き、突然空が割れた。


その姿は……描写できない。

大人の事情で。

どんだけスタートレックが好きなんだよ!真は心の中でツッこんだ。

それはちょっとした都市くらい大きさの船だった。

船はフェオドラたちが二年かけて整地した広大な更地へと向かう。

とんでもない質量のものが動くたびに轟音が響いた。


地響き。

いや実際に地震が起こったのかもしれない。

そこまで大きい音がした。

それがこの船の着陸だった。

今までの音とは違いごく小さい音とともに船の横にあるハッチが開く。

中から出てくるのは50代くらいの男性。

威厳もなにもなく駆け足で降りてくる。


「真ォ!ひさし……あれ?お嬢さん。緑真はどこかな?」


キョロキョロと辺りを見回しながら真にそう聞いた。


「俺だ!俺だ!ディーノ先輩!」


「はっはっは。真の娘さんかね?いやあ真の声とそっくりだ!」


「……仁義無きヤンデレお姉ちゃん」


真はぼそっとそう言った。

ディーノお気に入りの一品。


「……マジで真ちゃん? でやがりますか?」


「うん。久しぶりディーノ先輩!」


ディーノは叫び声を上げた。

もう会えないと思っていた友人との再会。

仲間が殺されていくのを黙って見ているだけの酷い人生。

涙など枯れ果てたと思っていた。

だが、乾いた目に沁みる水が目からあふれ出た。

漢ディーノ数十年ぶりの涙だった。


「すまねえ。真ちゃん。戦隊のみんなは死んじまった……俺が殺したようなもんだ……」


「あー……その件なんだけど……みんないます」


「よー!ディーノ久しぶり」


「出川さんお久しぶりです」


赤毛の美女と金髪の美少女。

大企業の会長であるディーノの知り合いは多い。

だがその中に彼女らはいなかった。


「えっと……陽介と桃井さん……です」


「よう。元・赤口だ。今の名前はフェオドラな」


「桃井です。出川さん、その節は御世話になりました。今はイングリッドです」


それを聞いてディーノは固まる。

ディーノは真の胸倉を掴み問い詰める。


「このアルティメットど変態野郎! 真ちゃんはフォースの変態面に堕ちたか!」


「ち、違う!!!」


「赤口さんの声が女みたいだったからおかしいと思った! 男でも女でも関係ないとか。なにその性の乱れ! 爛れた生活!」


「ち、違う!今の赤口は今は女!女!女だああああああ!」


「無線で送られて来た資料に魔法って書いてあったけど、魔法で男の娘を作り出すなんてド変態の真ちゃんしか思いつかねえッスよ!」


「うがああああああああああぁッ!フェオドラ見ろ。骨格も年齢も違うだろ!」


「どうせ年齢はREJUVENATEの魔法とかで誤魔化したんでしょ!」


「ソー●リアン! わかりにくいわ! このオッサン! ノイ●テムでも唱えやがれ!PC98版のビームとしょぼいボムの奴」


「オッサン言うな!50代の男の子の心は傷つきやすいんだ!つうか●イラテムわかる10代男子ってどうなの?!」


「同じ世代だろが! 50代で男の子って言うな!」


ギャーギャーと喧嘩する二人を見ながらフェオドラは楽しそうな顔をしていた。


「いやー。男の友情っていいねー」


「フェオドラお姉さま。そういうもんですかね?」


「麗亜ちゃん。あの二人とそこのバカは特別だと思いますよ」


「こほんっ!それはいいとしてディーノ。乗員を降ろしてくれ。学園内にすでに仮住まいを作ったので一先ずそこで休んでくれ」


「ああ、赤口さん。感謝する」


そう言うとディーノは自分の胸を軽く叩き、指示を出す。

それは無線装置だった。

こんな細かいところまでスタートレックかよ。

真は心の中だけでツッコミを入れた。


「あ、そうそうディーノ先輩。見て欲しいものがあるんだ!」

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