はっはっは。チートなんて飾りですよ。2 だってインフレが激しいから……
生身ということは生体強化が無いということ。
恐怖や痛覚のコントロール。脳内の処理の最適化と神経強化。
単純に強化された筋力。それを支える骨格。
脳と軍事衛星ひまわりとのリンク。
脳内コンソールからのエロゲ起動。
その全てを失ったのだ。
物資を確認するため麗亜のバッグを漁る。
かなり本気で物資を確認する。
元の世界の自分とは違うのだ。真は完全に理解した。
今までは余裕があった。
真は世界最強ではない。生身で大気圏突入ができない程度である。
だが、どんな世界でも生きていく自信があった。
それこそ、放射能が降り注ぎバギーに乗ったモヒカン男が両手に斧を持ってヒャッハー言ってる世界であってもだ。
拳王様には勝てないが、拳王様から逃げきることは可能だったのだ。
だが、それは生体改造された肉体があってこそだった。
「武器ぃ! 武器はどこだああぁ!」
武器を探す。
実際、戦ってないので確信はなかったが、今の真では素手だったらその辺の猛獣にも負ける。
最低限ナイフ。できれば火器。今の真には必要なものだった。
バッグの中には麗亜の私物と思わしきアイテムと
鍋、やかん、なぜかスポーツバッグの容量を無視して収納されているポリタンク。
ガ○スの仮面、ジョ○ョ、土地家屋調査士試験対応の関数電卓、X68000、FM-TOWNS、カ○オのポケコンZ-1GR、ポケコンジャーナルのバックナンバー 最終号96年5月号。
「なんでこんなもん入っているんじゃあああああああッ!」
「だって私の中のコンテナの中身が全部入ってますし。オークションで集めた自慢の品々ですよ」
「急に積載量に余裕がなくなった件はお前の仕業かぁ! つかその事件の犯人俺にされたぞ!……誰も信じてくれなかったんだ……」
「だってHDDの容量不足は真ちゃんが犯人じゃないですかー! 乙女の中にエンコードした深夜アニメ片っ端から入れて! 意味もなくパンツ見えるやつ!」
――プライバシーが握られている! しかも全部見られた!
不利になったので聞こえなかったふりをしつつカバンを漁る。
各種リード線、はんだ、エナメル線、ダイオード、クリスタルイヤホン、などの様々な電子パーツ、圧着端子、各種工具、アリ○ナイ理科シリーズ、ラ○オライフのバックナンバー。
――工具かよ!
「もーっ! つか、真ちゃん! さっきから女の子のバッグを当然のように漁って! ひどいですよーッ!」
「ラジオラ○フのバックナンバー持ち歩いてるヤツを女の子とは認めん! 絶対にだ! つうか化粧道具すら出てきてねーッ!」
――包丁。 なぜ銘が村正……? まあ、いいや
「よし! 包丁見つかった。 褒美にハーレ○インロマンスが大量に入ってた件は追求しないでやる!」
「不当だあぁぁぁッ! むしろそっちをクローズアップしてくださいよぉ! 乙女な私をぉ!」
世迷いごとをスルーしてバッグを漁り続ける。
そして、バッグにあるものを見つける。
マシェット、ホッケーマスク、麗亜の以前の顔写真が貼ってあるカード。
「クリスタルレ○クで不良の更生をやってる殺人鬼の人ですと! 麗亜!俺に何になれとォッ!」
もったいないのでとりあえずキープ。そしてカードをよく見る。
『種別 乙三種ヴァルキュリア 氏名 俺TUEEE! 右者今般 勝利 二列ス 発行責任者 種別 神 オージン XXXX年XX月XX日』
「おーまーえーかー! おーまーえーなーのーかー!」
「ひえっ! なんで血管浮かせてビキビキッ言ってるんですか!ヒイィッ!いやああああああああああああぁー!」




