変身3
真たちがロキの到着を待っていた。
すると空間から現れる二つの影。
「いやあ待たせたね!」
ハイテンションな男の声。
そこには鎧の女、それにスーツを着た男がいた。
真たちに挨拶をしたのは男の方だった。
その姿を見たとき真は息を呑んだ。
スーツを着た男の顔。
それは整形後の緑一族の姿だったのだ。
「おっと失礼。名前を名乗ってなったね。
俺はロキ。ジークフリードの監督をやってる。
あー。この顔の事かい?まあいいや最初にネタバレしとくか。
はじめまして!前の周回の俺」
そう言うとわざとらしく真に向かい会釈をした。
これには全員が度肝を抜かれた。
「あー。最初から説明してやろうか?いきなりネタバレな。
驚けこの蛆虫ども!
赤口がオージン。お前がロキ。青山がソー。
これが本来の役どころなのさ!
それをお前はメチャクチャにしやがって!
このバグキャラが!」
「ちょっと待て。どういうこと?」
フェオドラが叫ぶ。
「お前らはな!配役がでたらめな出来損ないなんだよ!
なんだ赤口!そのナリはぁ!気持ち悪りぃんだよ!
お前もだ緑真!てめえホントに俺か?
桃井ぃ!お前はただの飾りなんだよ!なんだその鎧!
一番気に食わないのはてめえだ麗亜!
お前が最初に死んでるはずなんだよ!
それがなんだロボってよ!舐めてんのか!
あークソッ!どいつもこいつもバグキャラだらけじゃねえか!」
麗亜は叫んだ。
「私は何者なんですか!」
「知るかボケ!
オージンの野郎もなんだ!
こんなバグキャラ大事にしやがって」
罵倒しながら
そこに冷たい声が響いた。
「言うことはそれだけか?」
「あ?」
真はいきなりロキに切りつけた。
オージン?ロキ?ソー?そんな事はどうでもいい!
真は友達をもてあそんだヤツを許せなかった。
同時に目の前の男は今すぐ潰しておかなければならない。
危険だ。そう野生のカンで感じたのだ。
「ばーか。ロキってのは炎の化身だ。剣なんかで殺せるかよ」
真のマシェットが首を捉えた瞬間。
ロキの体は炎へと変わり真の身体を飲み込んだ。
◇
「おお。ああああよ。死んでしまうとはなにごとじゃ」
「なにその適当な名前!」
全力でツッコミを入れ真は飛び起きた。
そこはかつて通った場所。
ヴァルホルだった。
目の前にはオージン。
真は目の前の老人を観察する。
赤口には見えない。
赤口が年を取ってもこんなじじいにはならないだろう。
「なんじゃその顔は?」
「お前は誰だ?」
「さあね?もはや自分でもわからんよ。
まあ後で教えてやるよ!
本題に入ろう。真ちゃんに全てを返してやる」
「そう。全て。
前世のもっと前の記憶も何もかもな」
そう言うとオージンは真の頭に指を突っ込んだ。
真は白目をむきそのまま動かなくなった。




