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特撮戦隊の緑が異世界に転生しました  作者: 藤原ゴンザレス
第三章 変身

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学園の戦い4 戦闘 前編

悪趣味なピンク色の板金鎧(プレートメイル)

その中にいたのは金髪の少女であった。

細い髪。か細い印象の儚げな少女。

その少女が愁いを帯びた表情をしていた。

それを見た瞬間、真の頭の中で危険を知らせるアラームが鳴り響く。


――なんだろう。この概視感。


真は不思議な感覚に捕われていた。

初対面のはずだ。

だがこの少女の表情を知っている。

この仕草を知っている!

一見すると儚い少女。

でもその中身はピンクの鎧を喜んで着ている人生受けるプロレスな人。一言で言うとドM。

なぜだ?なぜわかるのだ?

真は困惑した。

真の額から冷や汗が滴り落ちる。


「ん?リンちゃんどうしたの?」


イングリッドは不振な動きをするリンこと真を見て声を掛ける。


――急に動揺し始めた。何かあったのか?


イングリッドは相手に悟られないように注意深く周囲を観察する。

すると馬車の近くに怪物の死体があることに気づいた。


「あれは何?」


イングリッドはごく普通の会話のように聞いた。

真はイングリッドが指を指した先にあるのもが怪物の死体だと気がついた。


「ああ、あの化け物。ジェニファーを連れ去ろうとしてたんでね……」


「リンちゃんが助けてくれたの?」


「まあね」


そんな会話をしながらイングリッドは怪物の死体に近づく。

そして怪物の死体の検視を開始した。

怪物は苦悶の表情を浮かべていない。

何気ない日常、そこに突然死が舞い込んできたかのように何の表情もなかった。

即死だ。

相手に死すら認識させないで殺したわけだ。

凶器は剣でも斧でも弓でもない。

これは銃創だ!しかもこの威力と精度……現代兵器か!

まだこの世界には銃は存在しない。

火縄銃すらない。

それを持っているとしたら……警察官?

いやそれはない。

若すぎるし、腕が良すぎる。

首を狙って狙撃なんて普通のおまわりさんにはできない。

軍関係者?

学ラン来た女の子が軍……それはないな……

緑?それもないだろう。凄い美少女。目立つ顔だ。

だとしたら何者だ?ジークフリートの一味か?

敵なのか?味方なのか?それが問題だ。

それを確めねばならない。

そう決心するとイングリッドはヘルメットを被った。

そして冷たい声で真に語りかけた。


「リンちゃん。あなたジークフリートの一味でしょ?」


「違う。俺は学園から……」


「誰の弟子?あなたの研究内容は?」


王国には全教員のリストと全学生の研究内容が報告書として提出されている。

これは危険極まりない魔法使い協会を管理するという名目で行われていた。

イングリッドはさすがに学生の研究内容までは覚えていないが、教員のプロフィールは暗記していた。

その答えがおかしくなければ、ある程度は信用できる。


「俺はサイファの弟子だ!あとレーガンのおっちゃん!ルナッちも!研究内容はAM無線装置の」


「嘘つくなあああああああッ!」


真が言い終わらないうちにイングリッドは板金鎧のガンとレットに包まれた拳を振り上げた。

敵だ!そうイングリッドは確信した。

サイファ。新魔術の構築・発見をいつくもなしえた天才。魔法使い協会の大幹部。そして重度のファザコン。

フェオドラは研究に専念させるために学生の指導を免除している。

彼女が学生を指導することなどありえない。

それにレーガン。学園のナンバー2にしてフェオドラの師匠。王国の錬金術師の長。要するにフェオドラ組の若頭。

魔法使いをヤクザ化させた犯人の一人。彼も工房の運営のために学生の指導を免除されている。


そのうえルナだと……化学系錬金術の大家!彼女もゼミは持っても弟子は取らない!大幹部三人の弟子?ありえない!


「直弟子を取らないので有名な大幹部三人が弟子を取る?そんな優秀な学生に使い走りをさせる?ありえねえよッ!!!」


イングリッドはそのまま相手の顔面めがけて拳を振りぬく。

相手の顔を捉えたはずの拳が宙をきる。


――かわされた!だけど……


だが、そのままでは終わらない。

イングリッドは逆の手でストレートを繰り出す。

パンパンパンと何かが腕に当たった。

驚くほど反動も衝撃もない動き。

それでイングリッドの拳は簡単にいなされた。

そのまま猫のような動きでリン(真は)後方に飛んだ。

武術の天才であるイングリッドは間合いを簡単に空けられてしまったことに驚いた。


――今のは……地球の武術か!連打による防御……フーバット……カリか?ジークンドー?いや違うかも……


そう思うとイングリッドはあごの辺りで両の拳を握る。

リンは手を下げて腰の前におき、片足を半歩下げ半身になった。


「へぇー!リンちゃん。その構え……合気道?それとも古流?」


「ジェニファーこそ詳しいじゃないか!君の方もボクシング?キック?それとも総合かな!この世界の構えじゃないよね!」


挑発するように言う真。

真はここに至ってようやく相手が自分と同じ転生者であることに気がついた。

敵ではないだろう。……たぶん。

少なくとも学園の事に詳しい人間だ。

真は己の勘を尊重することに決めた。

目的は無力化。

だが、それは困難だった。

数十キロはある鎧を着てのすばやい動き。そしてあの連打。

ジェニファーは少なくとも何らかの地球の格闘技、それも現代格闘技の使い手だ。

CQC(軍隊などでの近接格闘術)かもしれない。

あの拳を喰らったら今の真なら普通に死ねる。

手加減が難しい相手だ。

もう一つの魔法。それと別に用意した奥の手も使わなくてはならないかもしれない。

そう真は思った。

そんな真にジェニファーことイングリッドが話しかける。


「リンちゃん。悪いけど……決めさせてもらうね」


そう宣言すると、イングリッドは顔をガードしながら一気に間合いを詰めてきた。

左の連打。


――俺も決めさせてもらうよ!


真は拳をかいくぐり、カウンターで耳の後ろに当たる部分に掌底を叩き込む。金属製のフルフェイスのヘルメットを殴る音で怯ませようと思った。

そして怯んだところでヘルメットを掴んで引きずり倒して頭を地面に叩きつけようとも。

だが、真の掌に伝わる違和感。

イングリッドは片手で頭を抱えるように後頭部に手を回していた。

真の打撃はガントレットの部分を打ちヘルメットの部分に触ることもできていなかった。


――カットされた!


そう思った瞬間、腕が真に迫ってくるのが見えた。

フック。というよりラリアットのように腕が叩きつけられる。

自分から飛んでダメージを消そうとするがあまりの勢いに地面に叩きつけられる。


「グハッ!」


地面に叩きつけられた衝撃で肺から強制的に空気が吐き出される。

真はそれを我慢して叩きつけられた勢いを利用してそのまま後転。

無理やり立ち上がる。


――嘘だろ……


起き上がった真の見たもの。

それは真の目の前でジャンプしての後ろ回し蹴りを放つ鎧の姿だった。

飛び後ろ回し蹴り。むしろローリング・ソバット。

ジャンプと回転により威力を増した踵が真を襲う。

真は地面に伏せるイメージで膝の力を一気に抜く。

鎧の足が髪の毛を掠りながら真の頭の上を通り過ぎる。

真はしゃがんだヒザの溜めを利用して、そのままにバク転で後方に跳ぶ。


――あの鎧で飛び技かよ!


だが、鎧の攻撃は終わらない。

ローリング・ソバットをかわされた鎧。

器用に着地すると、真に向かって駆け出してきた。

一歩。二歩。三歩目でまるで前回り受身をするかのように身体を操作して跳んだ。

だが、それは受身ではなかった。

鎧は自身の身体に斜めの軸で鋭い回転加え、跳んだほうの足で蹴りを放つ。

旋風脚。

後ろに逃げても次が来る!

そう確信した真はわざと蹴りに飛び込みそのまま組み付く。

そのまま相手の回転の勢いと落下の勢いとを利用して鎧を地面に叩きつけた。

ガッシャーンという金属音が響き渡る。


――板金鎧は……普通なら完全に寝たら起き上がるのが難しいはずだ……でも相手は化け物じてる!このまま殴り倒す。


真はそのままヘルメットの顔面部分に拳を叩き込む。

それを鎧は首を動かして器用にかわす。

真の拳が地面を打った瞬間、手が取られ真の首に足がかけられた。


「これでフィニッシュです!」


それは三角締めだった。

下から首に巻きつく鎧の足によって万力のようなとてつもない圧力が真に加えられる。


「この技、私が本気でやると落とすんじゃなくて折れちゃうんだよね……首の骨。でも……リンちゃんは優しく落としてあげるね」


真はさらに締め上げられた。

それはまるで蛇に締めあげられるウサギのようであった。

ちょっとしたすれ違いからのバトル。

お互い偽名を名乗ったのと姿が変わりすぎて誰だかわかっていません。

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