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ロキとジークフリート

廃墟となった城。

その一室に二人がいた。

一人は神。


「死者の国と娘のヘルから救い出してやった恩を忘れないで欲しいなあ」


ニヤニヤと笑いながら、『終わらせる者』ロキは恩着せがましくそう言った。

もう一人、ロキといるのは黒い甲冑を着た戦士。

その戦士の鉄仮面、フルフェイスの兜から声が漏れる。


「恩? こちらは貴様らのくだらない遊びの被害者だ。巨人も神も……敵だ……」


「おいおいおいおい! 俺は死者の国で腐ったお前の体の代わりを与え、魂をこの世界に導いた……

何が不満なのだ! なあシグルス! いやジークフリート!」


「全てだ! お前らは私から全てを奪った!」


「そうだ! 全てを奪い、全てを与えたのだ! そうだお前は永遠に俺の手のひらで踊るのだ!」


ロキの胸倉を掴むジークフリート。

それを見てロキは狂ったように笑う。


「怒った! ねえ怒った!? どんな気持ち! どんな気持ちぃ!」


満面の笑み。

それを見て激昂したジークフリートが怒鳴る。


「貴様らを滅ぼす! 絶対に! 絶対にだ! 神も巨人もだ!」


フルフェイスの兜からは表情は読み取れなかった。

だが、その声には激しい憎しみがこもっていた。


「ああ、そうだ…… そうだ! そうだ! そうだ! 壊せ! 殺せ!」


何を言っても無駄だと思ったのだろう。

ジークフリートはロキの胸倉を掴んだ手を離す。

ロキはそれを見て勝ち誇った笑みを浮かべる。


「『獣人』を200体用意した。

なあに感謝する必要はない! やつらはベルセルクになり損ねたのだからな!

彼らとともに学園へ攻め込むがいい!」


「どうせ傭兵団に薬をばら撒いて作ったのだろ?……胸糞悪い」


「そうだ! そうだ! そうだ! 全ての世界は俺の玩具なのだ!」


「飽きたらラグナロクか……そうやって私の世界も滅ぼしたのだな」


「何言ってんだよー当たり前だろぉ? 嫌だったら遊んでよー! 楽しませてよー!」


「外道が……」


楽しませるだけだとわかっていながらも毒づく。

実際、ロキはそんなジークフリートを楽しそうにニヤニヤと眺めていた。

ジークフリートはそんなロキを無視して背を向ける。


「あーそうそう。

あの男が……とうとう来たぞ。

一番最初に死んだのに最後に来たぞ」


「……」


黙り込む。

ロキに感情を悟られたくなかったのだ。


「それと……王国の『軍神』イングリッド王女が学園の救助のために挙兵する」


息を呑む。

そんなジークフリートを見てロキは満足そうな顔を浮かべる。

精神的に追い詰めることがわかっていたのだ。


「せいぜいかち合わないようにな!

フェオドラは生け捕りにしろ!

その代わりあの坊主は好きにするがいい!」


「承知した」


ジークフリートは感情を極限まで抑えた言葉をどうにかひねり出し、今度こそ部屋から出て行った。

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