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三章プロローグ

元の世界でもこの世界でもないどこか。

アジア某国。


「日本人を殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ! 殺せ!」


デモ隊に囲まれる日本人学校。その幼稚舎。

柵を揺らしながら怒鳴る暴徒。

奇声を上げながら石を投げ込んでいく。

何百本という赤い旗が揺れている。

暴徒が取り囲む建物の中で子供たちが震えていた。


「たすけて。ぱぱ。まま……」


「れいあちゃん! XXが来てくれるよ!」


「XXってホントはいないんだって!」


「えーっ!いないの!」


「だいじょうぶ! ボクがXXになるの! れいあちゃんをまもってあげる!」


「まことちゃん! ありがとー」


「あー、れいあちゃんずるい! わたしもー!」


「えー! あきらちゃん、おとこのこよりつよいじゃん」


「えー……じゃあ、わたしもまことちゃんといっしょにたたかうー」


「あ、ずるーい! わたしもー」


「キミらは緊張感がないね」


「たくみくんはいっしょにたたかわないの?」


「仕方ないな……その時は付き合ってやるよ」


「きょうかちゃん…… なんで、まことちゃんにだきついてるの?」


「これ……わたしの……だれにもわたさない」


「ふーん。あとでかして。さくらちゃんはどうする?」


「こわいよう……わたしはやだよう……」


「さくらちゃん。いっしょに、ね!」


「きょうかちゃんがそういうならー。ぐすっ」


仲間との誓い。

遠い遠い魂に刻まれた記憶。

前世より前の記憶。

記憶という名の氷海。

その深い水の底。

そこにひっそりと安置された宝箱。

心を失った人形を待っている。

その宝箱の中身。

それだけが人形を人間にする。

人形はまだわかっていない。

それは失った心のかけら。

まだ手は届かない。

ヴェルキュリアたちが囁く。

戦士よ勇敢であれ。

死を越えた先にあるものを手にしろ。

愛するものを救うのだ。

そうしたら返してやる。

お前の心のかけらを。

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