編入前夜 後編 ~女子生徒はいつも元気編~
女子寮。食堂。
「レイアちゃんは副学園長の親戚なんだって?」
監督生のニケに聞かれる。
「そうですよー。妹的なポジションです」
「副学園長先生かっこいいよねーッ!」
「あこがれるわー」
「優しいもんねー」
「抱かれてー!」
「キャハハハハハハ」
――お姉ちゃん……生徒にはヤクザキック入れないんですね……それにしても……
「てっきりフェオドラさんの方が人気あるのかと思ってました」
「「あー……男子に人気あるよねー……」」
ため息が漏れる。
「媚びてないのに男子に好かれるのがむかつく」
「悔しくなんかねーぞ!クソだりゃあああ!」
「でも逆らうの怖すぎるー!」
――女子には微妙に嫌われてるみたいですね……
「ところでレイアちゃん!」
「すっごい美形だって! お兄さん!」
「へっ? お兄ちゃん? 真ちゃんのことですか?」
「そうそう。男子寮に泊まってるんでしょ?」
「そうですよー。でもお兄ちゃんじゃ……」
「外部から閉ざされた男子寮……そこに女子と見間違うばかりの美少年が……そしてサバトは開かれる」
「きゃー! ニケちゃんえっちー!」
「ほほう。いけるくちですか」
レイアが食いつく。
「おぬしもか」
「はいなー。ところで旦那。こういうものがありやして」
四次元スポーツバッグから薄い本を取り出す。
「それ魔道具なの?……ってこの本すごい技術!」
「文字は大丈夫ですか?」
「え? ふつうの王国標準語じゃん」
――どうやら、やっぱり文字も同じみたいですね
「えー貸して貸して!」
「なにこのけしからん本!もっと貸せ!」
「いやーえっち! もっとある?」
「旦那にはこういうものも……」
剣道部の男子がナニしてアレになる小説。
女装ホステスがナニしてアレする小説。
召喚された獣が美少年でアレしてナニされる小説。
「どれだけあるの?」
「んー。一万冊から数えてないです」
「全部入ってるの?」
「はいー」
「レイアちゃん! ……結婚して!」
「それはさすがにひきますわー! でも貸しますよ!」
「よっしゃー!」
こうして女子寮に腐王が誕生した。
童貞王と腐王。
彼らは無自覚に世の中をかき回すのだが、それは後のお話。




