青山3
地下の搬入口。
そこに到着した青山たちは見た。
それは無事逃げたはずのブルー達の死体の山。
それを踏みつけながらゲラゲラと笑う緑の少年。
「いやーいい顔してるねえ! 俺マジうれしー!」
「なぜ……だ……? なぜ、そんな残酷な演出をした?」
青山は動揺しながら問いかける。
「楽しいから?」
少年は疑問系で答える。
「うわあああああああああああッ! この野郎! よくもッ! よくもッ!」
感情を抑えられなくなったブルーの一人が槍で襲い掛かる。
緑の少年は、それをギリギリまで引きつけて紙一重でかわす。
渾身の一撃をかわされ、体勢の崩れたブルー。
そのふところにそのまま恐ろしい速さで間合いを詰める。
少年は素手のように見えた。
だが、ブルーの前で手を振ったように見えた瞬間。
ブルーの顔や体がその装甲ごとズタズタに切り裂かれ、血を噴出しながら崩れ落ちた。
「あれぇ? 弱くね? 楽しもうと思ったのに殺しちゃったわぁ」
この時点になってようやく少年の武器が見えた。
うまく隠匿している。
それはアイスピックグリップ(逆手)に持ったナイフ。
そんなもので槍を持った男を装甲ごと切り裂いたのだ。
相当な使い手なのだろう。
「みんな……逃げてくれ!」
そう言うと青山は槍を構えた。
「お前も死ぬなよ!」
仲間の声が後ろから聞こえた。
その声を聞きながら、青山は少年をよく観察した。
目の前の少年に恐怖は感じなかった。
笑い。楽しみ。感情を表す少年。
狂ってはいるが、先ほどの子供たちとは違い、目の前の少年は人間にしか見えなかったのだ。
相手が人間であるなら勝てない道理はない。
そう青山は確信した。




