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特撮戦隊の緑が異世界に転生しました  作者: 藤原ゴンザレス
第二章 破滅

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33/95

青山2

赤口が死んで2年後。

桐生の死刑判決から3日後。


記者たちが壇上の人間にカメラのフラッシュを浴びせる。

そこは記者会見。

歴代のブルー達が記者たちの対面に一列に並ぶ。

その真ん中に特撮戦隊のブルー、青山がいた。


「このたび、我々の研究グループは……」


真面目な研究発表。

だが、記者たちの目的は研究発表ではなった。


「XX新聞です。 青山さん! 同じ戦隊のメンバーである黄生さんの死刑判決についてコメントをお願いします!」


「テレビXXです。 さいたまの爆発事件についてコメントを…」


研究グループの全員がその質問を予測していた。

だからなのだろうか、顔を見合わせて微笑みながら一世に青山を見た。


「公益財団法人ブルー研究所研究員の青山です。

今回のさいたま市での爆弾テロについて被害者の方には心よりお見舞い申し上げます。

私も友人の赤口が死に非常に悲しい思いをしております。

先日、友人の黄生桜が殺人と傷害容疑で逮捕されました。

それについて私は冤罪だと確信しております。

これからその証拠をお配りいたします」


資料が集まった記者に配布される。

資料を受け取った記者たちから驚きの声が上がる。


「お配りした資料は全ての戦隊のグリーン、緑一族に関するものです。

まず、1ページ目の写真……」


それは連続写真だった。

最初に赤口の目の前に少年が近寄る様子が写っていた。

少年の顔は記憶できないほど特徴のない顔。

男女の判別すらできないあの緑真と同じ顔。

そして、その少年が押し倒され爆発するまでが高解像度で収められていた。


「この写真はある組織から提供された、消失したはずの当日の監視カメラの映像です。

赤口議員と少年をご覧ください。

彼は、緑の一族の工作員です。

2ページ目以降の歴代のグリーンと比べてみればわかりやすいかと思いますが、男女関係なく全員同じ顔で、これは整形手術による……」


赤口への殺人の証拠を突きつけられた記者たちがざわめく。

黄生が時限爆弾を使って赤口を暗殺した。

これが一審判決の犯行態様として認められたシナリオであった。

だが、そのシナリオは完全に覆されたのである。

赤口の暗殺は何者かによる自爆テロだったのだ。

そして、それは殺人の証拠と同時に赤口が生放送でぶちまけた発言の証拠でもあったのだ。

政府により整形手術を施された少年兵の自爆テロ。

人道的に許されるはずがない。

だが、それ以上にショックな事実がブルー達によって知らされる。


「3ページ以降は歴代のグリーン、緑一族からのメンバーのその後についてです。

まず、超能力戦隊スキャナーズのグリーン緑一みどりはじめは超能力を得るための手術の後遺症で最終決戦の1年後に死にました。その10日前の写真です。彼は最後まで怖いと……」


超能力戦隊 スキャナーズ 緑一みどりはじめ 超能力開発手術による脳疾患が疑われる。 享年17歳 最終的に発狂 『怖い怖い』とうわごとの様に繰り返す


恐竜戦隊 ダイナス 緑双葉みどりふたば DNA操作による疾患と思われる。 享年15歳 死体は人の形をしていなかった(添付写真参照)


大戦隊 デスレンジャー 緑三蔵みどりさんぞう 最終決戦でのデスバズーガの暴発から他のメンバーを守り重傷を負い、1週間後に死亡。 最終決戦から1週間生死の境をさまよい続け誰にも見取られることなく息を引き取る 享年17歳


・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・・・


次々と読み上げられる原稿。

そして青山にとって特別な名前が読み上げられる。


特撮戦隊 …… 緑真みどりまこと 死因 敵要塞を破壊するためにロボととも自爆。 享年16歳


真の写真だけは最後の頃に見せた子供のような笑顔。

どれだけの緑がいても真だけは見分けられる。そう青山は思った。

記者に配られた何十人という犠牲者の名簿。

そしてそれをさらに裏付ける歴代のブルー達の証言。

心の奥底に封印していた秘密をこれでもかとぶちまける。

泣き出すものも続出した。

みんな怖かったのだ。自分の今の生活を壊すことが。

だが、それ以上に恐ろしかったのだ。自分達の罪深さが。

許して欲しかったのだ。自分達の緑に。


スキャナーズのブルー。今では50代の研究者は青い顔をしながらこう証言した。


「最初は、必要な犠牲だと思っていました。かわいそうにと思うだけでしたよ。

子供ができて自分の罪に気がつきました。

そして、罪を理解しながらも生きるために自分の本当の敵に力を貸してきたのです。

これがヒーローの現実です……

子供が生まれてからずっと夢に出るのです……死ぬ前のはじめが……私たちのグリーンが、怖い怖いと虚ろな目でブツブツと繰り返す様子が……」


報道陣への発表を行ったブルー達。

彼らは公益財団法人ブルー研究所と名乗っていた。


ブルー研究所。それは初代のブルーが作った。退役したブルーのための研究機関。

そしてそれを支援することによって政府は口止めをすることができていたと思っていた。

だが、ブルー達は支援を無邪気に享受するには理知的過ぎたのだ。

彼らは自分を責め、非道を止めるにはどうすればいいかを考えた。

仲間がいる。後援者がいる。

そのために何十年も影に隠れ我慢してきた。

ブルー研究所はいつか緑を解放するときのために活動していたのだ。


「最後のページの資料に関して言及する前に我々は宣言いたします!

黄生桜の無実と現在の悪の組織、国境なきレンジャーを我々は正当な正義の味方として支持・支援いたします!」


完全な反政府発言。

記者のボルテージが一気に上がる。


「な、なぜ! なぜ、後輩ではなく、国境なきレンジャーに肩入れするのですか!」


青山は悲しそうな、だが意志の力を感じられる声で答える。


「代表は、特撮戦隊のピンク。癌で死んだはずの桃井だからです」


「どういうことですか! 

死んだはずの桃井さんが生きていたから、黄生被告が殺人を犯したということですか?」


「いいえ。全く違います。

赤口と桃井は戦隊結成直後の4月には別れていますよ。というか、もともと『設定』以上の関係はありません。

桃井と恋人関係にあったのは作戦中に死亡した緑真です。

さらに言えば、その後の赤口と黄生の恋人関係について言いますと、未練があったのは黄生ではなく赤口の方です。」


このとき青山は二つ勘違いしていた。


一つは桃井と真が付き合っていたのだと思っていたこと。

妄想力はどこまでも高い桃井なのだが、実際はヘタレのため恋人には至らなかったのである。


二つは黄生も赤口に愛情を感じてはいなかった。赤口の本命は真だったのだ。

お互い恋愛対象としては興味が無かったため円満に別れたのである。


だが、友人であり唯一の証言者、そして信頼できるだけの説得力を持った権威を持つ人間の発言であったため、この発言は事実として受け止められた。


そして青山は続ける。


「なぜ、あの場に黄生がいたのか。

それは赤口が桃井の生存の情報を掴んだとの連絡を受けて会う予定だったんですよ。

私も赤口から連絡を受けてさいたま市で会う予定でした。

仕事の関係で遅くなって結局……会えませんでしたが……」


青山たちにフラッシュが浴びせられる。


「さて……最後の資料ですが……

今の桃井の写真です。……これが生存の証拠です……」


その資料の写真。

そこには20歳になった桃井が写っていた。

そこには屈強な戦士たちを従える女性がいた。

一見別人のようになっていたが、アイドル時代の面影が確かにあった。


記者たちは驚く反面、納得もしていた。

なぜなら、悪の組織「国境なきレンジャー」が攻撃した施設、そこからは児童養護施設にいたはずの児童や行方不明の子供が大量に見つかるのだ。

一説では「国境なきレンジャー」に保護された子供の数は1000人以上にもなるのだと言われている。

あまりにも数が多いため、もはや隠蔽ができずに連日報道されている状態なのだ。

児童養護施設の主務官庁は都道府県。

ゆえに幾人もの都道府県知事が辞任する事態となっていた。

子供を救い出す悪の組織とそれを葬り去ろうとするヒーロー。

そこにはねじれが生まれていた。

今や世間一般ではヒーローが悪で悪の組織が善と受け止められていたのだ。


――これで桃井も黄生も救うことができる


フラッシュを幾度も浴びせられながら、青山は勝利を確信していた。

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