逆らってはいけない人
「まあ、そういうわけで、オージンに貰ったチート能力を武器に学長までのし上がったということだよ」
フェオドラのその後の話を聞く。
真は何かがおかしいと引っかかりを感じる。
「チート? 私も真ちゃんも無いですよ」
麗亜がつぶやく。麗亜も同じ事を考えていたらしい。
「え? 顔変わっただけ? 本当に? そっちの子もなにもないの?」
「むしろパワーダウンしてるよ。ステータスとレベルが7割落ちたと言うか……軍事衛星ひまわりとのリンクは切れてるし、生身だし」
「剣振り回すのが得意な男の娘ってだけですもんね」
「男の娘っていうな! 麗亜はどうよ?」
「私も元の姿に戻れないみたいだし。戦闘法なんて知りませんし……」
「「ドラゴンスープレックスキメたやつが言うな!」」
「……ところで、彼女は何者なんだい?」
当たり前の疑問。
「あー。俺担当のヴァルキュリア。 で、『俺TUEEE!』なんだわ」
「はい? ごめん……何言ってるかわからない」
当たり前の反応。
「うん。俺もわかんない。でもあれは『俺TUEEE!』」
フェオドラは麗亜をじっと見つめる。
麗亜もフェオドラを見つめる。
――セーラー服貧乳理系美少女。インチキ丁寧語の年下キャラ……だと……しかもロボ……ヤバイ! 頭の中お子様な真のストライクゾーン! 年上属性の私は不利ぃッ! ……真の好物は妹ォッ!
――暴虐的なおっぱいだとッ! ぬうッ! しかも元男の派手な顔の美女ォッ! エッチは強引なのに気持ちよくてぇッ! マズイ! 身体だけで持っていかれる! しかもこちらは残念チッパイィッ!
『『この状況をひっくり返すにはッ!』』
「「犯してでも奪い取るしかッ!」」
「……お前ら二人ともマジで死ねよ」
「「……ッフ……」」
二人が不敵な笑みを浮かべる。
「なにかな?ですか?お前ら」
いやな予感がする。
「お姉さまぁ。この世界は一夫一妻制ですか?」
「いや一夫多妻制だよ。近代以前の世界ではどうしても死人が多いからねぇ……」
「真ちゃんは小学生レベルのイチャイチャが好きなようですが、どう思いますか? うふふふふふふ」
「なあに一線を越えてしまえばいいのさッ! 肉欲に目覚めさせるのだよッ! あははははははは!」
二人の目が怪しく光る。
「「ハーレム王に俺はなるッ!」」
「なるかボケェッ!」
そう言うや否や、窓から逃げようと駆け出す。
だが、フェオドラに襟を掴まれ、麗亜に羽交い絞めにされる。
「「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」」
興奮した動物のような生臭い息。
「さあ、ぬぎぬぎちましょうねー。こわくないですよー」
「そうだ怖くないぞー! 気持ちいいはずだ! 女性としてするのは初めてだがな!」
「うおおおおおおお!はーなーせーッ!」
暴れまわる
フェオドラがズボンに手を伸ばし、真が色々と諦めたその瞬間、
「こんのドバカどもがああああッ!」
何ものかの超高速のヤクザキックがフェオドラの顔に直撃した。
真は、その何者かを見た。
銀髪ボブカットで眼鏡を掛けた女性。
それがフェオドラの顔面を蹴りぬいた。
「ぎゃぴいいいいいッ!」
本棚へ向かって吹っ飛ぶ。
その威力を見た麗亜が顔を向ける。
「あ、お姉ちゃん……いやこれは違うのね……チガウノヨ……」
その女性は麗亜にメンチをキリながら硬く握ったナックルを振りかぶる。
「こんのおバカぁッ!」
「ぴぎゃああああああああッ!」
地震が起きたような気すらした。
銀髪の女性は真の方を向くとにっこりと笑顔を浮かべる。
「緑真ちゃんですね。私はそこの発情したメス犬の担当のヴァルキュリア、グエンドゥルです。グー姉でいいですよ」
「は、はいィッ!」
なぜか直立不動。
顔はにこやかなのに圧倒的な迫力。
「ふ、副学長……グーッ! 乙女の顔を足蹴にするとは……」
「ああ? 乙女ぶりたかったら態度で表せっていつも言ってるよな!」
「……仕方なかったんじゃあああああぁッ! 昨日忙しくてオ○ニーし忘れてムラムラしっ放しだったんじゃああああッ! そこに生の……本物のオカズが現れてしまったんじゃあああああああぁッ! しかも獣欲を刺激する男の娘になってたんじゃああああああぁッ!」
バカが男らしい潔さで号泣する。
中身は最低そのものだが。
それを眺めながら真は思った。
この世には逆らっていけないものがいくつかあることを真は知っている。
レイプ目になって人の話を聞かなくなった状態の桃井。
キレた青山。
人を糾弾しているときの黄生。
その真の逆らったらいけないリストに新しく一つの項目が加わった。
グー姉。
絶対に怒らすのはやめよう。
真はそう心に誓った。
ふじわらごんざれす は うつ を ためている




