強引
「マジか〜異世界かよ‥」
“バトルトラック”を走らせながらナビに質問攻めをした。色々聞く内にここが地球ではない異世界である事が分かった。
アニメや小説であるような中世ヨーロッパのような感じだ。その割に地名に“ジャパン”を感じるのは気のせいではないと思う。
「取り敢えず言葉が通じる事が分かった。にしても便所が汲み取り式はヤベーな‥」
他にも知りたい事はあるのだがそろそろ目的地だ。
「クシロ湿原に到着しました。案内を終了します。運転お疲れ様でした」
「まだ終わっちゃいないぞ!コレからどうやって魚を釣るんだ?」
「捕縛ネットを使いますか?」
「‥うん‥」
良く分からないが網漁とかだろう。
ウィーン‥ガシャ
トラック側面から射出装置が登場した。
「で?どうすんの?」
「照準を定めて下さい」
取り敢えず適当に魚がいそうな場所に狙いを定める。
陸地から10メートル以上離れているが大丈夫か?
「発射ボタンを押して下さい」
ナビに表示されたボタンを押す。
ボシュ!!ザパーン!
勢いよく網が飛び出して湿原に飲まれる。
意外と深いぞ。
「回収ボタンを押して下さい」
押した途端に勢い良く網が戻った。
泥や水が跳ね返る。
「こんなんで魚取れんのかな?」
よく見るとサギやシカが遠くに見える。
多分エサとなる魚はいるんだろう。
「槍の併用を推奨します」
「待て待て、何を釣るんだよ?」
「クシロ湿原にて食用可能な魚類‥スネークヘッド、ブルーバスその他」
「大きさは?」
「スネークヘッドは最大で3メートル。ブルーバスは最大50センチです」
「よし!ブルーバスだな。餌は?」
「推奨。捕縛ネットと槍の併用」
「あ〜はいはい、何でもやるよ!」
バシュ!ザパン!!
ネットを手当たり次第に撒いたがそもそも魚影が見えない。
「魚影探知始めます」
「遅っ!!今更かよ‥」
ナビの表示が変化した。
前方に移る照準画面が赤と黒のサーモグラフィーに切り替わる。
ちょこまかと泳いでるのが見える。
「なんかデカいから適当に!ホイっ!」
ネットが魚のいるエリアに沈む。
続けて槍の照準に変わる。
「え〜いままよ!」
狙いを定めて画面をタッチする。
バシュ!
ドデカい槍が魚影目掛けて放たれる。
バシャバシャ!
暴れている。
「回収っ!」
ネットが勢い良く戻る。
槍が突き刺さったままの魚が打ち上げられる。
下車して確認する。
「ヒェッ‥デカいな!」
明らかにスネークヘッドらしき胴の長い魚をゲットした。
「速やかな回収を提案」
どうやらトドメは自分でやるらしい。
「許せ。生きるためだ!」
ズブッ!
槍を深く刺して停止した。
「魚の保存とかどうすんの?」
「荷台にて冷凍機能を使います」
沢山の荷物を運ぶ時は必要なものだけ保冷剤などを詰めていたのだが、魚専用トラックのように冷凍機能もついている。分けられるのは凄い事だ。
にしてもデカい魚だ。
「相場はどれくらい?」
「一匹あたり10万円です」
「ホッカイドの通貨って円なの?」
「ホッカイドの通貨は円を用います。因みに平均月収は7万円前後です」
「スゲ〜!取り敢えず金がいる。一匹で充分だ」
それからまたトラックを走らせた。