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20話 密談

「派手にやったね」

「まあな。俺なりのカッコよさを追求した結果さ」


 学校終わり、シルクハットさんと会ったあの喫茶店で俺は白崎と会っていた。

 そして白崎が開口一番に言ってきたのは予想通りジョーカーの初配信の事であった。

 転移石をいつ使うのかなどを緻密に考え練って作り出した俺の初配信。

 一日にして1000万回再生されたってのを聞くとちょっとふざけ過ぎたから誹謗中傷が大量に来そうで怖いけど俺的には結構満足してる。


「別に普通に正体を明かせばいいのに」

「いやだって何か親の七光りならぬ白崎の七光りになりそうでカッコ悪いじゃん」

「別に私は気にしないけど」


 白崎が気にしなくとも俺が、というよりは多分視聴者が気にするのだ。

 俺の/私の好きな人を利用しやがってという偽善からくる自己中心的な正義。

 そして、あいつは他者の人気を利用できた運が良い奴で実力は伴っていないと大して見た事もない癖に謎に認めない嫉妬。


 とにかくあらゆる感情からくる沢山のお怒りメッセージが届く事だろう。


「な、何だか怖い顔をしてるよ」

「ん? あーちょっと世界を憂いてた」

「ふーん」


 世界を憂うという痛々しい台詞と共に俺の思考から邪念が消えていく。


「そういや実は配信の準レギュラーを断られた事、まだちょっと引きずってるんだよ?」

「ごめんごめん。それだと余計に白崎へ迷惑を掛けそうな気がして」

「それこそ私が良いって言ってるんだから気にしなくて良かったのに。ていうかそんな事気にするんなら私のあの時の気持ちのこと……」

「え? すまん最後の方なんて言った?」

「いいよ、たいした話じゃないから」


 そう言うと白崎は頼んでいたアイスコーヒーをストローで一口飲む。

 やべー、ちょっと機嫌損ねちまったか?

 でも最後の方ゴニョゴニョ言ってて何言ってるか分からなかったんだよなぁ。


「……ネットニュース、凄いことになってるよ。私の投稿も今までに見たことないくらい、いいねが付いてる」

「マジ?」


 そもそもジョーカーのSNSアカウントを作ってなかったから凄い再生されてるなぁくらいの感覚だった。

 まさかニュースになっていたとは。


「謎の探索者ジョーカー。ランキング常連者を超える彼は一体何者なのか? ですって」

「へー」


 白崎に見せられたニュースを俺も自分の携帯で開いてスクロールしていく。

 内容としては配信の中での立ち振る舞いについてが主だな。

 あとはシロリンが後継の配信者を育てたいがために自身の功績を託したとか取材依頼をしたいが連絡手段がない為不可能だとかそんなとこか。


「これってSNSアカウント作った方が良いのか?」

「仕事が要らないなら別に良いんじゃない?」


 仕事は別に良いかな。普段の白崎を見てたら大変そうだって分かるし。

 それに金には困ってないし。

 でも配信をやるからにはSNSで視聴者とのコミュニケーションを取りたくはある。

 まあコメント欄でやり取りすりゃ良いか。


「それでこのあとはどうするの?」

「このあとは普通にクエストを達成するためにダンジョン探索するだけだな」

「だったらさ、私とコラボとかしない?」

「え、逆に良いのか?」


 配信初心者のペーペーがシロリンとかいうもうすぐ300万人を達成しそうな巨大チャンネルとコラボできるなど普通ならあり得ないことだ。

 

「良いの?」

「もちろんこっちからお願いするぞ」


 華々しい初配信の次が大物配信者とのコラボ。

 妄想がどんどん膨れ上がっていくじゃ、あーりませんか。

 今は赤の他人として接している為、俺関連の被害が白崎にいくことはないし。


「ありがと! 視聴者さんがすごくリクエスト多くて。でもあんまり露出したくないかなって思ってちょっと遠慮してたんだ」

「全然全然! 俺、根は目立ちたがりだから」

「よかった〜」


 そうして早速配信の日程を決めた俺達は喫茶店を後にするのであった。





「また電話がかかってきましたよ。ジョーカーとは一体何者なのかと」

「はあ、一体これで何回目だ」


 疲れ切った探索者協会の事務員達はいつまでも繰り返される同じ問答に嫌気がさしていた。

 少なくとも探索者登録はしている事から探せば分かるだろうと凄まれる事もある。

 しかしだ。全くといっていいほど情報がない現状、たった1人の探索者を割り出す事など不可能に近い。


 そんな中、一本の電話がかかってくる。

 最初は普通に対応していた事務員だったが、途中から狼狽え始める。



「す、すみません! すぐ上に繋げます」


 そうして上層部へと内線を飛ばした事務員を見て同僚は何かがあったのだと察し声をかける。

 

「おい、どうしたよ? 国でも動いたか?」


 冗談を言うかのように放たれたその言葉。しかし、返ってきたのは思っていた反応ではなかった。


「はい、国が動くかもしれません」

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