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110話 訓練終了

「く〜、やっと! 読み終わった〜!!!!」


 俺は達成感の余りに両手を広げて喜びを最大限に表現する。

 それほど苦痛を伴う時間だったんだ。この変な物語を読むのはよ!


「ふむふむ、1冊目をようやく読み終わりおったか」

「いや〜、ガチで疲れた……って、え? 1冊目?」


 聞きたくない言葉が聞こえた気がする。1冊目、そう呼ぶということはつまり……。


「当たりじゃ。ほれ」


 そう言って爺さんがもう1冊の本を投げてくる。

 俺は少しの間ポカーンとした後に意識を取り戻し、もう1冊の本を睨みつける。


「……明日で」

「もう時間はないからのう。余力のあるうちにやっておくのが良い。ほれ、読め」

「く、クソが。分かったよ」


 そう言って俺は渋々もう1冊の本に手を伸ばす。

 あれ? なんか軽いな。


「……おめでとう? え、これだけ?」

「ワハハハハハ! 騙されおったか? いい気味じゃ!」


 俺に指を差しながら腹を抱えて笑いまくるジジイ。

 あのさ、今俺に殺意が芽生えたって誰も文句言わないよね?


「リベルより先に殺してやる」

「ワハハハハ!!! 腹が、腹が痛い!! 見たか? あの絶望的な顔から一気に間抜けな顔に変わる様が! あ、ワシしか見とらんか」


 急に我に帰ってんじゃねえよ。こえーよ。


「迅よ。その本に書いてある通り、お主はもう我が神性の全てを受け取った。これでリベルを滅ぼすことができるようになった訳じゃ」

「ふ〜ん、あんま変わった気はしないけどな」

「じゃが今までよりは力の使い方を肌で感じ取れるようになったじゃろう?」

「あ〜、言われてみればそんな気はする」


 今まで力はあるけどなんかこう出しきれない余力みたいなもんを今では完全に理解することが出来ている気がする。

 試しに握りこぶしを作り、力を集めようとしてみると、結構分かりやすかったりする。

 

「元々、神界の力を下界に与えたもんじゃからな。神性が無ければ大して使いこなすことはできん。それが出来るようになったって訳じゃ。もっと複雑じゃが簡単に言うとそういうことじゃな」

「ふ~ん。ま、でもこんだけ短期間で習得できるもんなんだな」

「ま、そうじゃな。人間でいうところの軽く数か月程度で済んだのは恩の字じゃ」


 は? 数か月程度?


「何じゃ?」

「何じゃじゃねえよ! え、俺これ数か月くらいやってんの??」

「ま、そうじゃな。ワシが魔術で最大限まで時間を進めることで回復期間を短縮しておったりしたからざっくり言うとそんくらい経っておる」


 つまり俺が数か月間、音信不通になっていたという事になり、そうすると……。


「やべえ。母ちゃんにどやされる」

「まず気になるのはそこなんじゃな。どちらかと言えばお主がジョーカーとやらのママゴトをやってた故に人間たちが慌てふためいている方が被害は甚大じゃがな」

「あー、ま、そっちもあるか」


 そっちは正直どうでもいいな。母親に比べれば。

 帰ったら真っ先にブチギレられるの確定じゃねえか。


「とにもかくにも迅よ。お主は今からフィリアと合流し、ダンジョンを攻略せよ」

「ん? まあそれは良いんだけど」


 前々から思っていたがダンジョンを攻略することに意味があるのだろうか?

 相手のいる場所が分かっているんだったら直接そこまで連れて行ってくれたらいい気がするんだけど。


「その疑問は最もじゃろう。じゃが、気にする必要はない。リベルはあのダンジョンを自身の居城へと繋いでおる。神性が無ければ神には一切攻撃が効かぬのは知っておろう? それを分かっておるからこその油断じゃ。というよりも余興に近いじゃろうが」

「あ、そうか。神って屑だったんだ」

「ワシも神じゃぞ」

「お前も含めてだよ。クソジジイ」


 これまで何回この爺さんにツッコミを入れたことだろう。全知全能の癖してずっとボケ続けてくんだよな。

 はっ、これが本物のボケってことか。


「じゃあの。フィリアの所に飛ばすぞ」

「ちょ、ちょっと待って。急すぎるって」

「十分休息はできたじゃろうが。ほれ、送るぞ」


 爺さんがそう言うと俺の周囲を魔法陣が囲い始めていく。

 おいおい、やっぱり神って奴は。


「薄情もんがあああああ!!!!」


 そう言うと俺の視界は真っ暗になるのであった。





「ほっほっほ。薄情者か。お主の中では少しは情が湧いてくれておったんじゃな~。全く可愛い奴よ」


 そう言うとオルウィスクは迅が魔法陣で飛ばされた後の魔力の残滓を全て消す。

 そして大杖を召喚すると、上空に向かって魔法陣を展開する。


「とうとう来おったか」


 刹那、パリンッという音と共に空間へと亀裂が走っていく。

 そしてその向こうから三柱の神々が降臨する。


「よお、死にぞこない。私自ら引導を渡しに来てやったぜ」


 そう言って燃え盛る剣を取り出す、自由の神、リベル。

 その両隣には彼の配下となる神々が控えている。


「失せろ小童が!」


 凄まじい量の魔法陣から繰り出された光線が三柱の神々を貫かんと上空へと打ち出されていく。

 流石は元主神といったところだろうか。その1つ1つが全てを焼却せんほどの威力を持っている事だろう。

 しかしてリベルは大して力を入れることもなくスッと腕を振るうとそれら一切を消し去る。


「ん? おかしいな。全く神性が感じられない。人間にでも堕ちたか? ジジイ」

「さあのう。ワシには魔術があるから神性なんぞ要らぬのかもしれんのう」


 オルウィスクは内心、今の攻撃を軽々と消されたことに驚いていた。

 少し前まではそこまでの芸当はできなかったはず。

 今のオルウィスクには一切の神性が無いとはいえ、それほどの力は彼の最強の神、雷神ギルバートですら届かないほどだろう。


「さてと、早速この剣の力を試してみるか」


 リベルはゆっくりとレーヴァテインを取り出すとそのまま思い切り振るう。

 最強の神によって振るわれた最強の剣の威力は果たして凄まじい熱量の焔の斬撃を生み出す。


「そう簡単には負けられんのう」


 オルウィスクも負けじと凄まじい量の魔法陣を展開する。

 火、雷、水、ありとあらゆる属性の攻撃魔術が同時に打ち出される。

 現最強の神と元最強の神との闘いがその攻撃の衝突をもって開始されるのであった。


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