第1話 最高峰
晴れ渡った青空の下、風に揺れる草木が爽やかな音を立てている。今日という日は、何か特別なことが起こる予感がする。俺、片桐 健太は、日本最高峰の学園、国立神代学園の新入生としてその校門に向かって歩いていた。
新調した学生服に身を包み、胸には期待と不安が入り混じる。神代学園は、学力やスポーツだけでなく、何よりも「魔法」の分野で最高峰の学園だ。今日はその入学式。俺はこの日を待ち望んでいた。だが、同時にこの学園に入学することが自分にとって正しい選択だったのか、まだ確信が持てないでいる。
歩き始めて30分ほどが経っただろうか。目の前に現れたのは、まるで豪奢な城のようにそびえる学園の校門だった。満開の桜が新入生を歓迎するかのように咲き誇っている。白亜の建物は堂々としていて、その壮麗な佇まいに圧倒されそうになる。
「入学おめでとうございまーす!」
「新入生の皆さんは案内に従って、講堂まで進んでくださーい!」
在校生らしき学生たちが、新入生に向けて明るく呼びかけている。俺もその声に従い、案内看板に沿って講堂へと進んだ。到着すると、受付で番号を教えられ、その番号の書かれた席に座る。大きなモニターには神代学園の紹介映像が映し出されていた。映像には、炎や水、雷を自在に操る学生たちの姿が映し出されている。そう、この学園の最高峰なもの、それは「魔法」である。
人類は過去、100年前に一度滅びかけた。謎の生命体、通称「魔物」が突然現れ、世界を脅かしたのだ。魔物は通常の武器では倒すことができず、圧倒的な力で人類を追い詰めた。しかし、その時現れたのが魔法を操る者たち、魔力者だった。彼らは魔物と戦い、人類を救ったのだ。
以来、魔法は研究され続け、今では多くの分野で応用されている。しかし、魔物の脅威は完全には消えておらず、今も世界各地で防衛戦が続けられている。魔力者たちはその最前線で戦い続けているが、魔物が何故この世界に現れるのか、その理由は未だに解明されていない。また、魔力者たちが何故魔法を使えるのか、その起源も謎のままだ。
神代学園は、そんな魔力者たちの育成機関であり、魔法の研究機関でもある。この学園に入学するためには、魔法の根源である魔力を持っていることが必須条件だ。魔力は生まれつき持っているものであり、世界の人口の約20%が魔力を有して生まれてくる。その量や質も人それぞれで、魔法の能力も多種多様だ。
俺もまた、魔力を持つ一人だ。しかし、その魔力は「無属性」と呼ばれる特異なものであり、周囲からは「ゴミ魔力」と揶揄されてきた。俺はその魔力に対してどう向き合うべきかを考えるため、この学園に入学する決意をした。自分の魔力と真剣に向き合う覚悟はできている。そして、時間が来て、入学式が始まった。
「それでは、定刻になりましたので、これより国立神代学園入学式を執り行います!」
「一同、ご起立ください!」