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暁のホザンナ  作者: 青柳ジュウゴ
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75 陽だまりに咲く花 - 9 -

よろしくお願いします。

「――首輪は、どうしたのですか」


 天使の声が不自然に宙に浮いた。

 瞬間、何かに気づいたようにそのやわらかな表情が冷えていく。見開かれた透き通った瞳が揺れる。さながら凪いだ湖畔に水滴が落ち、波紋が広がっていくかのようにゆっくりと。感情が消えていく。


「おまいのせいじゃにゃいか!」


 弾かれたようにリーネンが吠えた。


「おまいが、やったんじゃにゃいか! 殺さないって約束したのに! 今じゃないからって、そう言ったのに……ッ!」


 嘘つき、嘘つき、嘘つき――!

 

 堪えていたものを爆発させたように、泣き喚くリーネンを男は目を見開いたまま見つめていた。淡く青く透きとおった瞳、薄く開いた唇から音にならない声が漏れ出る。


「てめぇ、」


 声もなく立ち尽くすヨシュアを前に、サンダルフォンが盛大に舌打つ。


「何が嘘つきだ! 天使が悪魔を殺して何の問題がある!」

「問題しかないにゃ! 約束したにゃ! 先に破ったのはそっちじゃにゃいか!」


 銀色の天使に向かってリーネンは叫ぶ。こちらを守るかのように男の前に立ち、毛を逆立てるようにして牙を剥き威嚇する。小さな使い魔、大した霊力も持たない低級悪魔。アンカー。銀の天使はその赤い瞳を苛立ちで満たしていたが、男から見てリーネンなど脅威になりようもない相手である。零れ落ちる失笑、悪魔との約束などと言外に含まれたそれはくだらないと言わんばかりだった。それがさらにリーネンの怒りを買う。


「おまいらどこまで馬鹿に……ッ」

「やめろリーネン」


 ぐるる、と唸り声を上げながら今にも天使に飛びかからんばかりの使い魔を制止する。サンダルフォンはこちらを冷ややかな目で見下ろすばかりだった。ヨシュアに害するなと言われているから手を下さないでいるだけで、低級悪魔など紙切れのように斬り捨てる事などこの天使には造作もないのだ。天使は悪魔を赦さない。熾天使二人がいる今ここで、こうして自分とリーネンの二人が存在出来ていること自体が異常の何物でもない。


「下がれ」

「にゃんで!」


 しかし完全に興奮状態のリーネンは聞き入れない。ぐりん、と音を立てるような勢いでこちらに振り返ると噛みつかんばかりに吠える。目の前にいる天使は熾天使だ、天使の最上位の階級。ぼけた言動でつい忘れそうになるが、ヨシュアは天使共の王でその副官がサンダルフォンである。力の使えない今、生かされているだけだということをどれだけ理解しているのか……いや、多分わかっていないのだろうな。わかっていないから、納得いかないと全身で訴えているのだろう。怒りに震える使い魔に、はあ、と。小さく息をついて。


「今が異常なのだと何度、」

「なにそれが当たり前みたいに言うんにゃあ!」


 そう告げるものの、完全に頭に血が上っているらしく今度はこちらに食って掛かってくると来た。

 

「叩かれたら痛いにゃ! 血が出たら痛いにゃ! 何でそんな……なんで! そうやって傷付けられても仕方ないみたいな事言うんにゃ!」


 何をいきり立っているのか知らないが、何故も何もという感想しかない。

 痛み、そう当たり前だ。悪魔、魔王、罪人にはお誂えむきだろうに一体何を言うのだろう。誰も彼もが私の死を望む、天使どもの単なるお情けで生き長らえているに過ぎないのだと思えば、く、と。零れ落ちるのは苦笑にも似た嘲りだった。これ以上の滑稽があるだろうか。


魔王(わたし)とは、そういうものだろう」


 それは事実。それは真理。

 向けられる憎悪、厭悪、与えられる罰。振るわれる刃、この身を焼く聖性。天から堕とされた者の成れの果て。地の底に住まう異形。私は魔王の名を頂く地に蠢く者共を統べる者。血と腐臭に塗れた汚濁、穢れと罪の象徴。それだというのに。


「は……、は――――――――――!?」


 返ってきたのは最早絶叫である。

 リーネンのそのあまりの剣幕にさすがに少し、腰が引けた。

 

「なんにゃそれは! なんにゃそれは!! 死んで当然だって思ってることにゃか――――――!?」

「リーネンちゃんリーネンちゃん、ルーシェルさん困ってるから」

「困ればいいんにゃ! ルーシェルさまのわからずや――――!」


 梓が制止に入るもこの低級悪魔は止まらない。

 何がわからずやだ。さっきから一体何に対してここまで腹を立てているのか知らないが、お前は私の使い魔であり配下でしかないというのに随分な口を利くものである。主人であるどころ魔王であるこちらに楯突くなど身の程を知らないにもほどがある。ぎゃんぎゃんと好き勝手喚くリーネンをきつい眼差しで見据える。わけがわからなくなっているオレンジ色の獣、開き直ったのか文句でもあるのかと言わんばかりのその態度。


「……うるさい。いい加減その口を閉じろ」

「全然怖くにゃいもんね! 勝手なことばっかり言って! 許さにゃいんだから!」

「貴様ごときに許される必要もない」

「あー! あーもう! ほんと怒ったんにゃから――!」


 癇癪を起こした子供のように地団駄を踏み感情を爆発させるリーネンを、天使共は呆れたように見ていた。実に低俗なやり取りである。向けられる銀と白の天使の冷ややかな眼差し、その傍らで沈黙を続ける空色の瞳。人形のように色をなくして、ただただ突っ立っている姿に覚えるのは苛立ちだった。かといって、こちらから問い詰めるのも釈然としない。


「……埒が明かんな。梓」

「はいはーい」


 不意に上がったのは第三者の声。

 すっと立ち上がった隼人がそう合図すると、梓は毛を逆立てて威嚇するリーネンをひょいと抱き上げた。


「みゃっ!? なにす、」

「はーいヨナちゃんも一緒に行こうねぇ」

「なに、ちょお……なぁんでヨシュア様から引き離すんですぅ!」


 じたばた暴れる小娘二人を引きずるようにして、まあまあと宥めるようなことを口にしながらも梓は部屋から出ていった。浮遊形の椅子の出力は一体どうなっているのか、ふわふわとした動きのまま小娘二人と共に強引に退室していったのである。小娘たちの悲鳴じみた叫び声が遠ざかっていく。

 

「さ、兄ちゃんも」


 人間側の突然の動きに呆然としているサンダルフォンの腕を、今度は隼人が取った。高潔の天使がぎょっとしたように飛び上がる。


「さっきからなんなんだその兄ちゃんていうのは!」

「意外と細かいこと気にするんだな、まあ落ち着けって」


 言いながらぐいぐいと遠慮なく腕を引いて退室しようとする隼人を、しかしサンダルフォンは振り払えないらしい。あからさまに挙動不審になりながらも抵抗らしい抵抗が出来ていないのである。あの腹が立つほど傲慢な天使が焦りに顔を歪め、なんの力も保たない人間である隼人にずるずると引きずられているのだ。


「天使サマってのは人間を護るもんなんだろう? 俺のオネガイを聞いてはもらえんかね」

「お願いって、……おい!」

 

 天使とは人を守護する存在である。当然傷付けることなど出来ない。それをどこまでわかっているのか知らないが、隼人は問答無用でさあさあと腕を引いているのである。サンダルフォンも掴まれた腕を振りほどこうとしているらしいが強く出られないのだろう。一応、抵抗はしているようだが大した負荷にもなっていない。完全にされるがままである。


「兄ちゃんも男ならさ、謝罪を見せ物にすんなよ。外野は大人しくしてようや。あとは二人のお話。わかるだろ?」

「はあ!? いやだから悪魔なんぞに謝罪の必要なんて、おい待てって、はなせ、おいヨシュア、ヨシュア!」


 情けなさ満載の声で助けを求めるかのようにヨシュアの名を呼んでいるがしかし、当のヨシュアはといえばぼんやりとした眼差しのまま無反応である。無視しているのではない、この男はそんな低俗な嫌がらせなどしない。真実声が届いていない――それほどまでに、ショックだったのだろうか。一体何に対して。……単なる口約束を違えたことを? 私に、刃を向けたことを? いつだって飄々として、腹の底の見えない食えない奴が取り繕うことすら困難になる程に?

 そうと首元に手をやる。金の首輪はなく、そこには細い金鎖につながる赤い石が静かに光を受けて輝いていた。何を考えているのかわからない男、巻き戻った過去、知らない色彩の瞳。表情。纏う空気。石へと触れた指先の感覚、きし、と。胸のどこか奥底が軋んだような気がする。


「ま、頑張れ」

 

 気が抜けるような声色で隼人はこちらに向けて言葉を放つと、人を守護することを生業とする銀色の天使を殆ど問答無用で引きずってそのまま退出していったのである。


   ※


 遠ざかっていくのは小娘どもと、天使にしては随分と賑やかな男の助けを求める声だった。悲痛な声はしばらく扉越しにも聞こえていたのだが、やがてそれも止んだ。しんと静まり返った空間。窓の外はすでに宵闇。外界と部屋の境界は曖昧で、室内は薄暗くほんのりと灯された光は暖かく柔らかい。


 その中で、ヨシュアはただ立ち尽くしていた。

 …………耳に痛いほどの静寂、二人だけの空間に気まずさが漂う。

 

 開け放たれたままの窓からさらさらと冷えた空気が流れ込んできていて、カーテンを音もなく揺らしていた。緩やかに踊る影、足元に落ちる黒く蠢くもの。

 その闇の只中で、ヨシュアはただ立っていた。

 あれほど冷静な男が、こんなにも形を保てないでいるのは初めて見る。動かず、息もせず。まるで止まった時間の中に一人取り残されたかのように。外野がやかましく騒いでいたというのに微動だにしない。まるで時を止めたように、人形のように立ち尽くし色のない瞳がこちらを見つめているばかりだった。なんの感情の乗らないそれは酷く居心地が悪い、こちらを殺害しようと剣を振り下ろして来た時と同じ感情の抜け落ちた顔だ、そこにいるのにどこにもいない。

 ふいと視線をそらす。

 見知った姿の別人だ、そんなことを思う。

 それから一体どれくらい沈黙が続いただろう。

 

「――わ、たしが。貴女を、傷つけたのですね」


 掠れた声が、まるで崩れかけた祈りのようにか細く上がる。

 悲鳴のようだと思った。問うでもなく、訴えるでもない。ただ自分で自分の罪を確認するような、そんな響きだと思ったのだ。懺悔ではなく断罪。言葉そのものが罪の形をしていると。無機質な声色、透明な音と共に腹の底に沈められたもの。押し殺すように無。ついと視線をやる、ほんのりと薄暗い室内で淡く発光しているかのような男の髪がやわく闇色に染まっている。どこか虚ろな眼差し、無表情でありながら、その奥底に言いしれぬものを隠し持っているかのような不安定な色。


 まるで、誰かに罰を与えられることを切望しているようだと思った。


 そんなことなどあるはずがないのに。

 光り輝く世界の住人、清らかな天使。誰よりも美しく高潔な魂を持つこの男が、痛みを伴う報いを望んでいるなどありえない。ありえない、のに。どうしてだろう。透きとおったその透明な表情は、何故か泣いているかのように見えたのだった。きゅ、と唇を噛みしめる。


 天使は悪魔を赦さない。

 悪魔を殺すことは天使にとって最重要事項であったはずだ。人を守護する天使が人を惑わす悪魔を野放しになどしない。堕落、厄災、天に弓引く悪辣者。そもそもの話、この世界に来た当初はこの男だってこちらを酷く警戒していただろうに。私が悪事を働くのではと勝手に危惧して、監視のように目を光らせていた。ふわふわと微笑んでおきながら一切の気を許していなかった。それはまあ、お互い様だったわけではあるが。

 はあ、と溜息。

 これはあれだ、状況的には以前と同じである。あの時も突然コートを渡し外に出ようなどと言って、改めて謝罪をとこちらへ頭を下げたのだった。後にも先にもあれほど面食らったことはなかった。悪魔は汚濁であると毛嫌いする天使のあり得ない行動。馬鹿正直で、等しく平等の男。慈悲、慈愛、生きとし生けるもの全てにすべからく向けられる善。阿呆じゃないのかと思ったのは一度や二度ではない。


「……だと、したら。何だと言う。貴様はただ使命とやらを果たしただけだろう」


 今更なのだ。

 こうして今ここにいる異常。

 同じ空間にいるという異常。

 わかりきったことをあえて口にするのは、落ちる沈黙があまりにも重く息苦しかったからだ。

 

「ですが、」

「この状況を知らないのであれば正しい反応だろうよ」


 なおも意味のない言葉を連ねようとする男の言葉を遮る。

 記憶を飛ばし、過去の精神状態だったのなら致し方ない事だと思う。赦す赦さないではない、それが正しい立ち位置なのだ。殺し殺される関係性、どちらが息絶えるまで続く闘争。気の遠くなるような膨大な生の中で瞬きのような一瞬が今である。天使が悪魔の気配を察知した場合、即座に排除に出る。人を守る為に生きる天使どもの当然の行動。それを、責めるつもりはなかった。ただただ、あのあまりにも違いすぎる様子に。あの深い紫紺色の瞳に。感情を削ぎ落とした無表情さに驚いただけだ。

 

「…………、」

 

 男は、ヨシュアは何かを言いかけて結局口をつぐんだ。

 室内の淡い光に照らされた空色の瞳が、闇色を吸ってほの暗く沈んで見えた。どこまでも自罰的な色。

 幾ばくかの逡巡の後、掠れた声が落ちる。

 

「ですが――私は――私が、貴女を……」


 震えるようで、しかし明確な意思を持って示唆していた。


「……殺しかけたのですね」


 空虚、贖罪、自責、自罰。がらんどう。

 呼吸が酷く乱れているのがわかる、浅く早く繰り返されるそれは儚くも苦痛にまみれていた。吐き出される吐息には罪悪感と自己嫌悪が絡まりあって解けないまま詰まっているようだ。一見柔らかに見えるその口調は、その実あらゆる温もりを削ぎ落としている。途切れ途切れの、酷く機械的な物言い。

 

「だからそれは、」

「すみません。いえ、謝罪で済むことではないのですが……あの、お怪我、お怪我は。私は本当に、すみません、本当に何も、覚えていなくて……」


 連なる自責の言葉、固く儚く、最後の方など掻き消えていきそうだった。これでもかと言わんばかりに自身を責める物言い、空気、男の白い指先が、いっそ哀れなほどに震えている。

 そのあまりの様相に、嘘をついているとは思えなかった。本当に覚えていないのだろう。術の暴発、記憶を飛ばした天使の暴れ具合。負傷、首輪、喉元の傷。裂けた肉の痺れるような痛み、聖性に焼かれたせいなのだろうと思う。明確な違い。都度突きつけられる種族の違い。

 

 ――そんな状態でも人のことばかりか。


 サンダルフォンの振るった力によって、裂けた肌は肉も塞がりきれいに治っている。発話も問題ない。こちらの肌に傷跡ひとつ残っていないことなど明らかであるのに、それでも、まるで取り返しのつかないことをしてしまった子供のようにヨシュアは怯えていた。どうして。覚えたのは言いようのない困惑。そう、困惑だ。

 たかが悪魔一人、排除行動に出るなど天使であるなら当然であるのにどうしてそこまで動揺する。

 やわらかな色彩の春の光のような男が、今はもうその色をなくしてしまってその青は焦点を持たない。向けられた視線は私ではなく、まるで罪という言葉の形を見つめているようだった。この男が信じる罪を、揺らぎ一つなくまっすぐと見据えているのだ。哀れなほどに。


「……おまえ、そこまで怯えるほどのことじゃないだろう」

「ですが、私は……貴女との約束を、反故にしてしまった。元の世界へと戻ってからという約束を違え、あまつさえ、――貴女を、殺しかけた。傷を、負わせてしまった……」


 思わず零れた言葉に、返ってきたのは掠れた声だった。まるで罪状を自ら口にするような懺悔の色。祈るような悔恨の音。そのくせ、赦しなど望んでいなただただ自罰的な光を眼差しに湛えていた。見ているこちらが苦しくなる程のきつく深い悔恨。

 ヨシュアは立ち尽くしたまま動きもしない。普段なら問答無用でこちらの傷を確認して、強制的に癒やすくせに叱られた子供のように突っ立ったまま。拒否も拒絶受け入れず、善であると判断したことを強引に行うというのに。罪の意識。処罰願望? 栄光の天使が悪魔にそれを望むとでもいうのか。はあ、と。漏れ出たのは呆れとも憐れみともつかない吐息だった。


「さっきも言っただろう、私はそういうものだと、」

「違う」


 いかに馬鹿馬鹿しいことであるかと口にしたというのに、男はどういうわけだか即座に否定した。きっぱりとした、迷いのないそれ。

 色のない瞳がこちらを射る、無色透明に透き通った底の見えない虚無。それがどこか詰るような色を滲ませていた。わけがわからない、思わず眉を寄せる。


「何が違う、何も違わない。私は罰せられる者で、お前が、お前こそが断罪する者だろう」


 苛立ちのまま、むっとした物言いで返す。

 天使は悪魔を赦さない。

 地の底の底へと堕とされたもの、果てない闇の住人。汚濁、腐臭、血に塗れたこの身。天使の行動は何もおかしなことではない、私は悪魔で、この男は天使で、今ここに共にいるこの状況が異常なだけで剣を向けるのはあまりにも当然のことである。この男がここまで心を乱す理由がわからない。それなのに男は尚も反論する。


「違います、どうして、……どうしていつも、貴女が殺される側なのですか」

 

 男のひどく透明な声、に。

 ひゅ、と。喉の奥で悲鳴が上がったような気がした。ぞろりと胸の内を撫でられたかのような、怖気にも似た不快なもの。巡る血が凍りつくかのように。どうしてーーなんて。そんなもの。だって私は、悪魔であり魔王であり、大罪を犯して、だから、だから私は今ここにいる、のに。

 こちらをじっと見据える青い瞳、感情のない瞳。男は、自分自身を痛めつけるかのごとく責めながら、それと同時にこちらに向かって何故を突きつける。


「それは、」

「貴女はいつも自分が死ぬ側の話をする。貴女は、私を、……殺してはくれないのですか」


 ほつりと落ちた言葉は、酷く酷薄だった。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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