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間奏:花宮朝日と望んだ未来

おまけ1:聖白鐘って?

朝日「元々、ここは幼稚園から大学まで一貫の私立学校なのよ。敷地内に寮も存在するわ」

朝日「それでも一部生徒は趣味や仕事の都合上、校舎内の空きスペースで寝ていたりするわね。本当はしっかり鍵がかかる寮の個室で寝泊まりしてほしいのだけれど・・・ゆうちゃん、頑なに家庭科準備室で寝るのよね」

朝日「ちなみに、瘴気発生当時、現在高等部に在籍している人間は小学生よ」

朝日「私達より上の年になる人達は大学の施設を使って瘴気研究をしていたり・・・空いているスペースで一般家庭のような生活をしつつ、それぞれの仕事と生活をこなしているわ」

朝日「私達はあくまで生徒会。高等部、中等部は私達の管轄だけど・・・」

朝日「私達の運営、及び社会人エリアの統括はまた別の「統括委員会」が行っているわ」


おまけ2:統括委員会・生徒会調査資料

・野々原陽人

高等部三年。

聖白鐘の膨大な敷地を包むほどの結界を一人で保持する魔法使い

祖父にかつて鈴海大社に所属し、数多の職員を一人で守りきった「結界魔術師」野々原陽雪を持つ

何を考えているかわからない。飄々とした性格で我々の命令を聞かないこともしばしば

被服室に引きこもりがち。洋裁が趣味のようだ


・国立夕夜

高等部一年。

学校周辺の市街地にある老舗製菓店「くにたち洋菓子店」の長男。親の影響で彼自身も製菓が趣味

家庭科室に籠もって、定期的にお菓子販売を行っている

勘違いされやすいが、彼は男である。男性恐怖症を患った花宮朝日が安心できるように女装を始めた。彼自身の精神にもかなりの影響を及ぼしており、十三歳時点から成長が一切ない


・久堂雨乃

高等部三年。

学校周辺の市街地にある「久堂時計店」の長男。

良くも悪くも普通の男である。特記事項はない


・久堂雪音

高等部二年。

学校周辺市街地にある「久堂時計店」の次男

今は、祖父が作り、鐘が鳴らなくなった時計台の管理及び修理をこなしている。騒音が響かないというとんでもない理由で、たまに突拍子もない事を時計台地下で行う。勘弁して欲しい


・宮城風斗

中等部三年生。

アコーディオンと共に校内を徘徊する「音の魔法使い」

精神に作用する魔術の影響で、生徒たちのメンタル管理を一人で行ってくれている

ただし、彼はとてつもなく煩い。音楽室に一生引きこもっていて欲しいほどだ


・夕立直

中等部一年生

五年前、突如聖白鐘に現れた自称「水の魔法使い」

温室で過ごしていることが多い。色々と謎に包まれているが、同じ魔法使いの野々原陽人と母親と似ているという理由で花宮朝日に懐いているようだ


・君島流

科学教師・生徒会顧問

瘴気発生時は大学生。後に教師になって教鞭を取る

五年前、流零が引き起こした事件で彼が死神業務を行っていることを知り、協力関係を結んだ前期の「金庫番」今は柵から離れて普通に過ごしている


・君島流零

温室管理者

五年前、花宮朝日の暴行現場に居合わせ、彼女に暴行を加えていた人物を事故で殺害している。それがきっかけで死神業務をこなすことになった。朝日が適齢期を迎えて、彼女が今期の死神になり・・・彼は引退と言われていたが、サポートとして彼女の代わりに業務を続けている


・花宮朝日

高等部一年生

五年前に、当時大学生だった人間から暴行を受けている。本件に関しては「秘匿事項」あり

秘匿事項で彼女から取り出された「小さな遺骨」は、野々原陽人が管理している

本件の記憶を消し、人格を分けて過ごすようになった。主人格は国立夕夜以外の人間には心を開かず、サブ人格は男性恐怖症と規律を重んじるしっかり者の性格のようだ


・おまけ3:もしもあの日

小学六年生の冬。あの事件が起こる直前

もしも全てを知った僕が、あの日の僕にアドバイスをすることが出来たのなら・・・

あの日、一人で図書館に行った朝日ちゃんを一人にしないで・・・そう、伝えたい


・・


「・・・ねえ、朝日ちゃん」

「なあに、夕夜君」

「今日も家庭科室に行こうと思うんだけど、朝日ちゃんは?」

「んー・・・私は図書館。借りていた本があって、そろそろ返却しないとだから」

「あんな人気のない場所に、一人で行くの?」

「大丈夫だよ。学校だよ、ここ。何かあるなんてないだろうし・・・」

「そういう油断が命取り。僕もついていくよ。暗いし、不安だし。一人より二人のほうがいいだろう?」

「いいの?」

「うん」


その日、僕らは二人で図書館に行き、本を返却した

調理コーナーで、作ってみたいお菓子のレシピが載った本を借りて一緒に帰る


「長い時間いちゃったね」

「そうだね。お菓子作りはまた明日。今日はもう休もう」

「うん」


あの時から寝床にしている家庭科準備室に戻り、その日を終える

これは、もしもの未来の話

・・・続けていこう


・・


僕らが高校生になった冬

あの日、朝日ちゃんに何もなければ、僕も朝日ちゃんも生徒会業務に関わることなく、緩やかな学生生活を贈ることになる


「おはよう。国立」

「おはようございます、会長。今日もクッキーを買いに来てくれたんですか?」

「おう。お前らの作るクッキー、美味しいからさ。一袋くれ」

「ありがとうございます」


家庭科室を陣取って、僕らは生徒向けにお菓子の販売をしていた

閉鎖空間だ。癒やしや娯楽を求める気持ちは痛いほどにわかる

ストレスで、変なことを起こされても困るから

こんな場所で、少しでも癒やしを提供できたらと思って、僕と朝日は日夜お菓子を作り続けている

甘いものは癒やしを与えてくれる。そう信じて


「そういえば、花宮は?」

「朝日ですか?奥で提出用の業務報告書を書いているところです」

「事務的なことは全部花宮任せだな、お前」

「僕の彼女、凄く頼りになるので・・・」


「頼り過ぎなのもどうかと思うよ、夕夜」

「ん。はよっす花宮」

「おはようございます、会長さん。提出資料、今出してもいいですか?」

「しょうがねぇなぁ。常連のよしみで受け取るよ。でも、こういうのは始業時間に生徒会に出向いて提出してくれよ?」

「わかりました。けど、それは会長も言えてますよね。うち、まだ始業してないので」

「たしかにな」


資料を提出し、お菓子片手に生徒会室へ向かう会長を見送り・・・僕らは始業時間までのんびり過ごす

ちなみに始業時間前に、会長へお菓子を渡しているのは・・・彼自身が多忙でなかなか始業時間中に買いに来ることができないから

彼はこの学校の敷地に結界を張る魔法使い。かなりの体力を使っていると思う

脳が甘いものを欲しがったりするときもあるだろう

贔屓はよくないけれど、彼がいてくれないと僕らに待つのは死

だから、彼には優先的にお菓子を渡している

これからも頑張って欲しいという気持ちも込めて


「夕夜」

「なあに、朝日」

「クッキー、つまみ食いしていい?」

「いいよ」


いつもどおり許可を取ってから、朝日はクッキーを一つ、口に運んでいく


「今日も美味しいね。夕夜のクッキーは世界一だ」

「お褒め頂き光栄だよ」

「でも、お菓子のことだけじゃなくて、たまには事務作業を覚えてね。私一人でこなすの、大変なんだから・・・」

「善処します・・・」

「夕夜はいつもお菓子のことばかり」

「そんなことはないよ。いつもお菓子と朝日のことを考えているから」

「そう?」

「うん。小さい頃からずっとだよ。大好きだから。お菓子も朝日も、同じぐらい」

「う、うん・・・・私も、同じぐらい好きだからね。わかるから」

「大好きだって伝えられて、本当に良かったな・・・」


「どうしたの?」

「ううん。ほら、そろそろ始まるよ。皆待ってる」

「そうだね」


あの日、彼女と一緒に行動することで始まっていた温かな記憶

存在しない記憶は、夢として泡沫に消えていく


そして僕は戻るのだ

彼女と歩く、不幸な末路しか待たない現実へ

おまけは後日追加予定です

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