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ひと欠片のレンズ

チョコレート

 銀紙を破かれたあられもないチョコレート、チョコレート。そのうちの一つを無遠慮に口に放り込む。舌の上で溶けるチョコレートは場違いな程に甘い。

 今頃別のお菓子になっていたはずのチョコレートを思うと不憫になる。ごめんね、砕くだけ砕いて。なんて、チョコレートは元々お菓子なのだからそんな必要は無いはずなのに。

 泣いたからか体温が高い。摘んだチョコレートはベタベタと手を汚す。不思議とカッとなって、床を殴りつけた。

 カランと音を立ててボウルが転がり落ちてくる。シンクの横では出しっぱなしの調理器具が出番を待っている。

 レシピを表示した画面のまま固まったスマホが通知を鳴らす。きっと心配しているのだろう。未読無視なんて滅多にしないから。その心配が要らぬ心配であると思いもしないのだろう。

 好きだった。好きだった。遠くへ行くのなら教えて欲しかった。明日の誕生日に合わせて柄にもなくお菓子を作っていた。笑ってくれると思った。いや、笑ってくれるのだろう。

 リビングに流れる音声は君の死を物語っていた。

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