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白百合の園  作者: 白百合三咲
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冬~オーディション~

 月乃様が戻ってきてから1ヶ月が立ちました。

12月演劇の先生から学生公演の話が出ました。

学生公演とはわたくし達音楽学校生が1年間学んできた成果を見せるために一般のお客様を入れて公演を行うのです。

 この公演でいい役をもらうと入団前向きにお客様に顔と名前を覚えてもらえます。ファンを獲得するには絶好の機会なのでこざいます。


 今年の演目はアンデルセンの童話が原作の「人魚姫」でございます。

海の国の姫達は6人姉妹、末娘の姫は人間の王子に恋をし、海の魔女に頼んで人間にしてもらいます。

魔女との契約により、人魚姫は声を奪われ、さらに足に痛みが走ります。そればかりかもしも王子が他の女と結婚すれば人魚姫は沫になって消えてしまうのです。

 浜辺に打ち上げられた人魚姫は王子に発見されお城で暮らすことになります。王子様と幸せな日々を過ごすのですが、ある日隣国の姫から縁談話がきます。

 王子は姫と結婚。

結婚式当日船の甲板で1人海を眺めている人形姫の元に姉達がやってきて短剣を手渡します。「これで王子を殺せば人魚に戻れる」と。

 しかし一度は愛した王子を殺すことなどできず、人魚姫は泡となって消えていきました。




「悲しいけれど素敵なお話ね。」

「ええ、殺さなかったのはきっと王子様への愛の証だったのね。」

「私なら許せないわ。自分を裏切って他の女と幸せになる男なんて。」


わたくし達乙女は王子様とのラブロマンスに胸をときめかせるのでした。



配役はオーディションで決めることになり、廊下に掲示されている名簿に希望の役を記入することになっておりました。

わたくしも自分の名前の隣に希望の役名を書きました。


「花絵ちゃん」

話しかけてきたのは月乃様でした。

月乃様はご自身の名前の隣に「王子」とお書きになりました。男役は皆希望しているのでしょう。

「花絵ちゃんは人魚姫ではないのね。」

わたくしは「花嫁」と書きました。

「はい、西洋のウェディングドレスが着たくて。」

「可愛いらしいわね。」



月乃様が王子役ということは月乃様と結婚できるということです。勿論役の上での話ですが。

わたくしはそれを夢見て、1人練習に励んでいました。

学校の授業が終わっても日が暮れるのも忘れてたった1人稽古場に残って。  


オーディションは1人ずつ別室に呼ばれ行われるのでした。

審査員の先生方は3人。

「3期生香咲花絵、花嫁役を演じます。」

わたくしは無我夢中で演じました。その時のことはほとんど覚えておりません。



あれから1週間後、オーディションの結果が掲示板に張り出されました。

次回最終回です。

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