29話 宴への誘い
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※運営殿からの警告措置を受け、2021/3/20に26話~41話を削除いたしました。
このたび、修正版を再掲いたします。
私の人生も大概だな。
周りの女達が服を脱ぎ出した。いや、何してるの? なんでサツキさんまで脱がせてるの?
「え、えぇと……。」
ポツンとしてたら、
「何をしているの……君も……脱ぐ」
とスルリと脱いだパンツを、どういう訳かサツキさんの頭に被せた。
ほんと、どういう訳!?
「験担ぎ……みたいなもの」
うん。私の宗派じゃちょっと見ないかな。思わず前後を忘れそうになったよ。
そうこうしている内に三人が全て脱いでしまった。凄い絵面だ。慎ましいのから、張りのあるのから、たわわなのから。いつもなら極楽浄土かと浮かれたけど、ヤベェ、剣呑なものしか感じねぇ。
「さ、マリーも。ね?」
僧侶さんが、年上のお姉さんらしく優しく諭してくるけど、正直何が「ね?」なのか……。
「手伝って差し上げますね」
受付さんに背後を取られた。躱す間もないだと!?
するするする、と給仕服が脱がされていく。
何だこのテクニシャンは?
抵抗する事も出来ず私が脱がされる。
「あの、状況が今一つ飲み込めないのですが、あの人――サツキさんは貴女の許嫁ではないのですか? 他の女が群がるのを許すだなんて、少々理解が追いつきません」
言ってる側から、クランさんがサツキさんの唇に吸い付いた。遠目でも分かる。舌を強引に捻じ込んで貪ってる。
サザンカさんも負けじと彼の胸に顔を埋め、舌を這わせたり、軽く噛んだりと嬲っていた。
「ごめんなさい。許嫁というのは、世を忍ぶ仮の姿なんです」
仮の姿というか、むしろ今は狩の姿だけどね。
「大事になるのを避けて、咄嗟にオーナーに虚偽の応答をしたのが始まりです。ミス・クリサンセマム」
「マリーで結構です――クロユリお姉さん」
「では、その様に」
ブラウスのボタンが一つ一つ外されていく。素早いのに丁寧な手付き。
「……手慣れてますね」
「姉妹のようなものが多いから。マリーさんの所も大家族ではなくて?」
「私の家の事、どこまでお聞きになられたのでしょう?」
「? 何となく、でしょうか。兄弟が多そうだなと」
姓名からクリサンセマム家の人間だってバレてるかと思ったけど、カンか。
ひょっとして皇帝の事とか、アカシアさんからは聞いてないのかな。
「私が一番下でしたので。ふふ、世話を焼かれるのは得意ですわ」
「それは何より」
……。
……。
「って、違ーう!! 何やってる訳!? いきなり全裸でゴニョゴニョとか、何やってる訳!?」
「え? あの、ミス・カメリアからは何も……?」
「事前に聞いてたらもう少し覚悟が定まったかと思いますよ?」
「……リアリー?」
「えぇ、概ねリアリーですね」
クロユリお姉さんが固まった。
こういう所、アカシアさんに通じるものがあるかも。
我が敬愛する師匠の本来のご主人。この人がクロと呼ばれたアカシアさんのお身内の方だ。
「み、皆さん、大変な事が発覚しました。我々はなし崩し的に何も知らない幼気な少女を乱行の宴に巻き込んでしまったのかもしれません」
今乱行って言った!?
あと、ごめんなさい!! 多分、私がこの中で『一番長く生きている』と思う。
「……サザちゃん?」
「ミス・カメリア?」
二人の視線を受け、サザンカさんは眉根を寄せた。
「説明、必要だったのか……。」
要るだろ!!
「……とても……大切」
だよね!?
「わかった。説明するから、クランは続けてて」
「うえーい……独り占め……。」
「あ、クロユリさんも、もうこちらに混ざってもらえます?」
「いえ、私はマリーさんと一緒に」
「いつまでもオアズケは辛いでしょ? 体の方が出来上がってるなら尚更。マリーは私に任せて。それに、クラン一人に負担が掛かるから」
「承知しました――マリーさん。また後ほど」
私の髪を優しく撫でて、頬に軽くキスしてくれた。本当にお姉ちゃんみたい。
クロユリお姉さんが離れ、瞳に妖しい光を湛えたサザンカさんが、ゆらりゆらり揺蕩しながら寄ってきた。
「時間がないの。センメルヴェイス反射なんてさせてあげれないから、恨んでくれても構わないわ」
私を蕩揺させようって気だ。
そうは行くか。キクノハナヒラク帝国の巫覡として認められない。
「死人返り――どの教義でも禁忌とされています。異界の神相手とはいえ神職の末席を穢す身として、およそ看過できるものでは無いでしょう」
「そんな危ないものじゃ無いから大丈夫、大丈夫」
手をぱたぱた振って笑った。
その背後を見る。全裸の女の子が意識のない男の子の唇に貪りついていた。
危ないものじゃ無い? 大丈夫?
「みんなやってるし、いつでもやめられるから」
クロユリさんが一心不乱に彼の指を吸っている。
いつでもやめられる?
「ちょっとだけ試すだけだから。ね? やってみない?」
「ちょっととは、どれくらいのちょっとでしょうか?」
「そうね……これから彼のアレをフルマックスにするから、その怒張を迎え入れて」
「ちょっとって言ったもん!! 今、ちょっとって言ったもん!! 明らかにルビで胡麻化してるもん!!」
たまらず泣き出した。ガチ泣きだ。
ちきしょう陥穽にハメやがったな。
そうじゃなくたって、志向において対立した方向性を同時に含む相反性をまざまざと見せつけられると、こちとら何が当為であるのか不安になんだヨォ。
「だからサツキに懸想する子にしか頼めないのよ。今は私達で命の息吹を吹き込んでるから直に魂とパスが接続されるわ。3人掛でのイブキナガヨ、女達もサツキもこれで負荷の軽減が望めるはずよ。でも最後の一押し。彼の魂の呼水にはどうしても、その……ね?」
言ってるお姉さんが赤面する。
言われるこっちも赤面する。
師匠に助けを求めようと見回す。あぁ、姿が無い。蓋し飽きてしまわれたか。
「いいんですか? 仕方がないとはいえ、私なんかが一番乗りで」
重要な所。とても大事。特にサザンカさんとクランさんは子供の頃から彼を想い慕っていた。クロユリお姉さんだってそうだ。ずっと前からサツキさんの事を見てる。アカシアさんの言葉が今ここで一致した。
だから。
こんななし崩し的に寝取っていいはずが無い。
決断は、このまま永訣するか否かの天秤だ。
果たしてこのまま顰に倣ってしまおうか。
「マリーだからよ」
意外な答えが返った。
私が目を見開くと、とても優しい顔で見つめていた。
「皆んな納得してるから、心配しないで。皆んなが支えてあげるから、怯えないで。可愛いマリー。アイツの事、ガツンと一発イカせちゃえ!!」
「最後のが無ければなー!!」
なんか台無しだよ。
でも、そうだよな。する、て事は最後はそうなるって事だよな……。
「あの、私、初めてなのですが、大丈夫でしょうか?」
「経験の有無は問わないわ。大事なのは想いの強さ。それと若さから発散される生命力。ていうか、ここにいる全員、未経験者だから」
そこに関しては触れちゃいけない。サザンカお姉さんは親友の為にそのチャンスを棒にしたんだ。
「それ程までに仰せでしたら、浅学非才の身ではございますが、締めるところを締めて差し上げようかと」
「何だか頭のゆるい子みたいになってしまったわ」
「うぅ、やっぱり無理ですぅ……。」
「そ、そんな事はないわ。ね、皆んなもそう思うでしょう!?」
「マリーちゃんなら……デキる……自分を信じて」
「何かニュアンスが違うものがデキちゃう感じになってるんですけど!?」
「大丈夫ですよ、マリーさん。すぐに良くなると聞きます」
「いや、お姉さんも未経験者ですよね!!」
「マリー? 今この瞬間だけは、このおへそは貴女の物よ」
男の人のものとは思えない、綺麗なお腹だ。
白くてみずみずしくて、しなやなかな腹部。愛らしいおへそ。憧れる。
「サザンカさんはもうオブラートに包むの諦めましたね?」
「……サツキくんの……おへそ……。」(ゴクリ)
おいおい、違う人が反応してるよ?
「さぁ、マリー」
「マリーさん」
「むむ……今は譲る……マリーちゃん」
み、皆さん……。
「「「まーりぃーい!! まーりぃーい!!」」」
「ダァー!!」
思わずベッドに登ってやってしまった。
半裸で拳を振り上げる私。よし。今日も可愛いぞ。
お付き合い頂きまして、大変ありがとう御座います。
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