26話 白い部屋で4
ブックマーク、評価などを頂きまして、大変ありがとう御座います。
※運営殿からの警告措置を受け、2021/3/20に26話~41話を削除いたしました。
このたび、修正版を再掲いたします。
「おぉー!! 肌色ー!!」
ちっこいのがスクリーンにかぶりついた。
「ふ、ふ、不埒もの……。」
意外にも赤面で目を逸らす召喚の女神。ギュっと目を瞑ってくれるのは、むしろ有り難い。
大型スクリーンの映像は、説明に困難を要した。
難しい。
非常に……難しい!!
何で俺、全裸にされちゃってるわけ!? なんか、米俵とか門松とか、あとエビにしめ縄と、こいつら何飾ってんの? ていうか今、全身舐められてるんだが何かの店か? 頭にある蒼穹はさっき被されたパンツか? ホカホカのヌレヌレとか言ってたな。いや待て、クランそこはダメだろ!? だめ!! そっちはほんと洒落にならないから!! 止めろサザンカ――って混ざりに行くなよオメーはよ!! ちょ、クロユリさんまで、そんな三方向から!?
おい、転生の女神ィ!! どうなってんだ!?
「……あれ? あはは、おかしいですね。チャンネルを間違えたのでしょうか」
逃避しないで!!
俺の体!! あそこに居るの、俺の体!! 間違って無いから!!
「唯ならぬ齟齬があったとしか」
何が何から乖離したらこんな事態になるんだよ!?
「わたくしだってあんなふしだらな花宴、直視できるわけないじゃ無いですか!! セクハラですか? またセクハラなんですか!?」
さっき股間に人の頭潜らそうとしたヤツの言葉とは思えんな!!
「サツキの周りはすごいなー!! あの体ー!! 損傷が無いってだけで中身空っぽだもんなー!! 肉叢をフルおっきさせてるみたいなー!!」
やめて!! 言わないで!!
「サツキ……鬼畜。キライ」
俺が悪いのかよ!? つか召喚の女神、意外と乙女な反応で困るんだが!!
「でも……あ、あんなに、口に頬ばるだなんて、私……。」
あ、薄目で見てるのね。
ちなみに、三人がかりで口に含んでるのは、俺の指だからね? 違うよ?
「確かに生気を送り込み、魂とパスを繋げるのに施術者側の粘膜を介するのは理に叶ってはいるのですが……。」
良かった……粘膜同士とか言われなくて、本当に良かった。
あと転移の女神にこんなの見せて大丈夫なのか?
「問題ない無いよー!! サツキよりお年寄りだからー!!」
「マイヒレン、そんな言い方は感心しませんよ」
「ごめんなー!! リンちゃんはこういうのデリケートだもんなー!!」
「分かって頂ければいいのですが」
いや多分わかって無いと思うぞ?
ん、誰かが前を横切って……ちょ、俺に跨ろうとしてるヤツ居るんですけど!? 誰だよアレ!?
「随分と小柄だなー!! 無茶すんなー!!」
あんたが言うかね。
「黒髪に慎ましい胸と引き締まった筋肉――服装からして宿屋の従業員ですね」
前半の解説いらないよね?
余計なこと言うと、また削除されるぞ。
うわ、なんか位置どりしやがった!? マズイ!! これ絶対マズイやつだよな!!
「衣服を着用してるからセーフじゃないのでしょうか? それに、人生何事も経験です。多分」
死んでんだよ!!
「おぉー!! もう準備出来てるみたいだぞー!! もうすぐ始まるぞー!!」
「マイヒ……落ち着け、そ、そんなAVの実況が、あってたまるか」
ふひ、て笑わなくなったな。
「他人の、その、情事を覗き見して、ふひふひ言ったら……流石に変態、で、です」
コミュ障かと思ったが、もっさりしてるだけで一番の常識人かもしれない。
「大丈夫……た、た、他人は、怖い」
それは大丈夫なのか?
「それにしてもあの子、サツキさんとどういった縁があるのでしょう? 自身から結界のようなものを発してるせいか、うまく見通せません――ん? んーっ!? ちょ、ま、いけません!! これダメなヤツです!! 絶対ダメなヤツです!!」
最初からどこを切り取ってもダメな要素しかないよ!?
「そうではなく!! あの子、貴方の――あーもう!! 説明している時間が惜しいです!! シンニョレン!! マイヒレン!! 審判の十六女神、三柱の名において緊急事態措置法に則り強制送還の儀を執り行います!! 付き合ってもらいますよ!!」
「おー!! やばいヤツだー!!」
「あたし、こ、こ、これ初めて……。」
え? 何?
「利運良しなどと弁ずる次元ではありません!! 万難を排してあの少女とサツキさんの魂の癒着を阻止せねばなりません!! 皆さんもどうぞお急ぎ下さいまし!!」
良くない事が起きようとしているのはわかる。
画面では、いよいよ俺の腹に小さなお尻が乗せられた。マウント取られてボコられる寸前にしか見んのだが。これ、本当に俺の蘇生目的なのか?
『統括部の碧台蓮より全セクションへ!! 現場指揮の輪王蓮からの要請を受諾並びに承認!! どうぞお早く!!』
巨大スクリーンの手前に、小さなウインドウが次々と映った。
『ブリッジの着底、異常無し。試験情報、欠損無し。皆んなぁ頑張ってなぁ』
『分割集塊化の係数算出、完了。そちらに回します。でも、これはこれでアリだと思うの』
『支援プロトコルの展開並びに連携試験、完了しました。あの、私もその、そういのもいいと思います』
おい!! 肯定するやつらが出て来たぞ!!
「皆、こういうの好きだからなー!!」
「あぁもう!! こちらが倫理を逸脱してどうするんですか!! ヘキダイレン!!」
『妹分達の愚かな発言をお許しください、現世からの旅のお人。どうか、あなたの生に幸多きことを』
『画面は性に爛れとるけどなぁ』
うるさいよ、そこ!!
『こほん。セクション連携チェック、オールグリーン!! 最終承認を受領!! 送還の儀、発行どうぞ!!』
「経路が安定しました!! サツキさん、名残惜しいですが――って、わたくしとした事が!!」
どうした!? トラブルか!?
「加護を付与していませんでした!! す、すみません、今すぐこの中から選んでください!!」
ずららー、と空中に目録が流れる。
って、多いわ!!
「じゃぁ、ジャンル別にソートしますね――。」
時間が無いと仰せだが、やってる場合なのか?
ちなみに、お勧めなどは?
「でしたら、体捌きなんてどうでしょう? レベルⅠでも20メートルの跳躍が得られます。高レベルに達すると、衛星軌道からの受け身もできちゃいますよ」
『え? 輪王蓮? 貴女は彼を人間メテオにするおつもりですか? 気は確かですか?』
凄いこと言われてる気がするんだが。
「じゃあー!! マイヒはー、これ!! ストレージ!!」
アイテムボックス?
いや、確かにアイテム主体とスキル主体じゃ勝手が違うか?
「んーとねー!! 470ヘクタールぐらいの建物なら入るよー!!」
分からん。
ていうか、建物が入る時点でアイテムボックスを凌駕したな。
「そうですね、ほわいとべーすを十機分は隠せるってところでしょうか?」
やっぱり分からん。
「ふひ。じゃ、じゃあ、私は、いつものこれで――領袖の器。国造りがしたくなるやつ」
用法と効果がわからん。
「その辺は、し、自然と、ね?」
『ちょっと貴方がた!? 何をほいほいとチートキャラメイクしてるのですの!?』
「あ」
「おぅ!!」
「ふ、ふひ……。」
えーと……。
『そもそもこの方、よくよく鑑定したら複合能力を無数に所持してましてよ!? どうなったら自然分娩でこれ程の特殊能力が産まれるのです!?』
「彼のお父様のお父様が呼び召された方で、お母様が輪廻の枠を越えた方のようです。恐らくはそれで」
『お待ちなさい、それならあの世界に渡った人々の子孫って――。』
「あぁもう!! 時間がありません!! このままでは魂魄が溶けあってしまいます、その考察は後ほどに!! シンニョレン、マイヒレン。始めますよ」
「おー!! じゃあなーサツキ―!! 元気でなー!!」
「こ、今度、会う時は、ちゃ、ちゃんとした、姿で」
三人が俺を囲む。
「サツキさん。貴方には大変な思いをさせてしまいましたが、地久にあって水鏡に佇む我ら。誰からも花月の詞すら与えられぬ水花に、忌憚なく接して頂いたことを感謝します。どうか貴方の旅路に祝福を」
鏡花水月の人よ。こちらこそだ。
「「「びびびー」」」
あ、結局それっすか。
本文中に、スカートの中に頭を入れパンツを嗅ぐという旨の表現が登場します。
取材も兼ね実際に何度か試させて頂いて、分かったことがあります。
やたら装飾の付いたパンツだと、レースとかがゴリゴリ刺さって痛い。
そのせいか、あまり楽しくない。
現場からは以上です。




