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 ヴァジュラ・ボルトが放った強大な電磁パルスの波が、太陽系を駆け巡る。あらゆる電子回路を焼き切り、異星人と地球人の体内に存在するナノマシンも、癒着した神経細胞ごと焼き尽くされた。両陣営の宇宙艦艇も、スペースコロニーや各惑星を支える重要なライフラインも次々とその機能を停止し、太陽系は死の静寂に包まれた。

 そしてまた、長い長い時が過ぎた……。


 かつて、汎銀河人類同盟と呼ばれた領域。一度は死の世界と化したそこは、今や人類種の楽園となっていた。星々を作り変え新たな大地を築き太陽系を発展させた純人間も、外宇宙へと旅立ちその過酷な環境へ適応するために自らの肉体を作り変えた亜人間も、何の区別もなく生き続けている。ヴァジュラ・ボルトがすべてを薙ぎ払った後、彼ら……純人間達が侵略者だと思い込んでいた亜人間達、その本隊が到着し、長い時間をかけて再びこの星系を立て直したのだ。

 本隊到着時からこれまで、争いは一度も起きてはいない。それは単に純人間に反抗する力が残っていなかったというだけではない。この平和は、統一されたひとつの意識によってもたらされた。外宇宙へと旅立った船団のうち、運悪く新たな居住地を見つけられず、資源も底をつき、生き延びるため自らを機械へと変えた微細人類。意識をクラウド化させ、ひとつになることで争いを克服した彼らはまた、すべての人類種にもこの祝福を与えたのだ。そう、もはやこの世界に二度と争いは起こらない。永久の静寂と平穏だけが、宇宙を満たしていた。

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