無双かよ
誰もが夢に見るゲームでの無双。それを半奇跡的に実現させてみようか、というくだらない目標で作りました。コメたくさんください。あと、私のほかの作品との伏線もちょくちょく挟んでます。公開お楽しみに。
プロローグ
「トアールRPG」。世界的に有名なクリエイターの「タツ」が一人でなんと19年間手掛け、今では世界人口の3分の2がプレイしている。(「タツ」はその後、行方不明になった)
永喜英二もプレイヤーの中の1人。とはいえ、昨日やっとダウンロードしたばかりなのだが。
オンラインの対戦ゲームで、冒険途中で手に入れたアイテムを使用して出会った相手プレイヤーを倒し、ランキングを上げていくという、一見、フツーな気もするのだが、やっていくうちにドンドンハマってしまうゲームなのだ。そこが面白い。
1.ゲームスタート
英二は早速、買ったばかりのゲームを起動させた。それからしばらくすると軽快なBGMが流れ始め、タイトルがデカデカと現れた。
どんなゲームでも、基本的には初期設定は必要だ。英二はどんどん埋めていく。
プレイヤー名 ワンコそば
プレイヤーID 16022449528
アバター設定 イヌ/オレンジ色/男/勇者/癒し
そう入れると、英二が頭の中で描いたイヌのアバターが完成した。英二は、大のイヌ好きだ。
そして、決定ボタンを押すと、テレビの画面(現実の)にゲームの地図が出てきた。まず、一番始めに冒険するワールドを選ぶのだ。そのワールドの数はなんと、111種類もある。まだロックされているワールドもあるが、それも進めていくうちに、解放される(らしいよ)。
英二はとりあえず一番簡単そうなワールド「ノーティス」を選んだ。
どのステージも最初だけ必ずちょっとしたアイテムが貰える。言い忘れていたが、このゲームには対戦の時に使えるアイテムからアバターを強化させるアイテムなどがあり、その数、じつに、1000種類!全部集めるのは多分無理。
「ノーティス」に入ると、朽ちた、暗くて、不気味な世界だった。
しばらく辺りを見回していると、鶏型の案内キャラの「トヨ」がやってきた。
「アイテムだケー」
そう言ってアイテムの入ったアイコンを投げてきた。そして、足早に去っていった。
英二は初アイテムに期待しながら、決定ボタンを押す。
「獲得アイテム『始まりと終焉の槍』Lv.999(レベル最大)」
一瞬、英二は目を疑った。
しかし、何度見てもそれは、このゲーム最強のアイテムだった。
「ま、マジかよ!」
まさか、いきなり最強のアイテムが来ちゃうとは…。なんかのバグか?。
そして、下のステータスを見る。
Lv.999(レベル最大)
攻撃力999999999999
防御力999999999999
HP99999999
スキル 1始まりの槍 相手のキャラを全て再起不能にする。10ターン
2終焉の槍 相手のHPを全て吸収する。22ターン
「つ、強すぎんか?コレ。」
いきなりの、最強アイテム…。
てな感じで僕のゲームが始まる。
2.フレンド
まず最初に、自分と同じユーザーランクのプレイヤーと出会った。アバターは金魚だ。
「バトル開始」のボタンを押すと、初めてのバトルが始まった。
先攻は相手、
「みなみ が『賢者の杖』Lv.7で、ワンコそば に400ダメージ!」
しかし、英二のアバターは攻撃を受けても、ビクともしなかった。
その代わりと言わんばかりに、
「ワンコそば が『始まりと終焉の槍』Lv.999で、みなみ に999999999999ダメージ!」
そうすると、金魚は吹っ飛び、一発K.Oとなった。
バトルが終わると、ワンコそばのユーザーランクが1から4に上がった。
「すっげーー!」
英二は飛び跳ねる。すると、画面にこんな文字が現れた。
「みなみ からフレンド申請が来ました。承認・拒否」
英二は問答無用で「承認」ボタンを押した。フレンドとは、インターネットに繋ぐとチャットや、メール交換ができるのだ。
このゲームでは、世界中の人と情報を共有できると言う醍醐味があるのだ。英二は早速メールを送ってみた。
「みなみさんよろしくお願いします。」
すると、すぐに返事が来た。
「コチラこそよろしくお願いします。ところで、そのアイテムどうしたんですか?」
英二はさっと返信する。
「あ、これは最初に鶏から貰ったやつですよ。」
「マジかい!WWW。」
「WWW」なんだそれ。「ワンワンワン」?。
でも、英二にはどうでもよかった。初めてのメール交換が嬉しくてたまらなかった。
あ、でもネットで知り合った人には用心しなくては…。まあ、心配しすぎる必要もないか。
英二は八畳の部屋の壁に掛けられている黒い縁の時計を見た。短針は9時を指していた。
「もうそろそろ寝なくては。」
そう言うと、英二はセーブし風呂に入った。
そして歯を磨くと、布団に潜り、深い眠りについた。
3.リアルな世界
もちろん僕は、ゲームばかりする人間ではない。
ちゃんと、仕事をしているのだ。とはいえ、二十歳のフリーターだ。最近は、近所のコンビニの店員のバイトをしている。その給料で何とか生活している。
両親に早く就職しろと言われたのだが、1年だけは忙しくなって出来なくなるかも知れないゲームの埋め合わせをしているのだ。
てなワケで、仕事いってきます。
―8時間後
朝7時に家を出てそれから8時間バイトをするから3時に帰る計算になる。それから、町の方に出て夕飯の買い出しに行く。
今日は、近くのスーパーでところてんを購入した。これに醤油をかけると美味い。それと、梅おにぎりも購入。合計で364円の出費だった。(スーパーにレアアイテムでも売ってくれないかなー)
家に帰ると、すぐさまゲームを起動させた。昨日の続きが気になる。
「ノーティス」
昨日は一戦しかしていないので、スタートの所とあまり離れていない。
英二はスティックを動かして、アバターを動かす。
しかし、なかなか他プレイヤーが現れないので、ユーザーランク4になった時に出現したらしい、「商店」に入ることにした。
入ると、店主キャラの「蔵助」がひょっこり出てきた。するとこんな事を話し出した。
「当店の品揃えはいいですよ~。さあ、買った買った!」
商品を見てみると6個しかアイテムがなかった。
「品揃え…。」
アイテムも星2以下で弱いアイテムばかりだ。(ついでに例のアレは星10)
なんか、スーパーの方がいいなあ。
そう思いつつも、せっかくなので『龍の牙レプリカ』を200ゴールドで購入した。
それをチームに入れた。やはり、例のアイテムの輝きは凄い。
4.狩人
店をでた。英二はアバターを動かし冒険を再開した。
すると、枯れ木の下で、プレイヤー2人が戦っていた片方はユーザーランクが2でもう片方は…50!。
詳細を見てみると試合は始めたばかりらしい。
「でも不公平すぎないか?いくら何でも勝てっこない。」
その時、英二の頭の中でこんな言葉が浮かんだ。
『初心者狩り』それは、言葉の通り、初心者を徹底的に潰していきゲームから追い出す行為だ。
「ドゴッ!」ランク2の方のウサギのアバターを、50の宇宙人アバターが吹っ飛ばす。そして、K.Oとなってしまった。
「ひ、酷いな…。」
ウサギはトボトボと去っていく。よし、敵討ちだ!
英二はスティックを真っ直ぐ宇宙人の方に傾ける。そして、対戦を挑んだ。
相手の答えは…、「YES」だ。
そして、対戦が始まる。相手が先攻だ。
「桃太郎 が『妖刀ムラマサ』Lv.99と『鬼の仮面【赤】』Lv.99の一斉攻撃でワンコそば に12000ダメージ!」
この攻撃にはさすがに怯む。だがHPはまだ99888000も残っている。勝ったな。そして、
「ワンコそば が、『始まりと終焉の槍』Lv.999で、桃太郎 に999999999999ダメージ!」
すると、一撃で倒すことができた。これで、敵討ちができたな!。
英二は満足した。すると、今倒した相手が直にメールを送ってきた。その内容はこうだ。
「お前、そうやってプレイヤーを狩ってるだな。」
英二は凹む。
でも相手も強がってるんだ。初心者狩りにそんなこと言われる筋合いはないな。
そして、英二のユーザーランクは4から7に上がった。
しかし、それから「低ランクの皮を被った初心者狩りめ~」や「悪め!消えろ。」などの悪口が英二に振りかっかった。それでも英二は、何も思わず、ランクをどんどん上げ20になった。
続く
最強アイテムを手に入れた少年。果たしてその運命は…。次号もお楽しみに!