97話 通信器具探し
男はわめき散らすばかりで、こちらに魔法の一つも放ってこなかった。
変だな、とは思いながらも、もしも目の前の男が何か企んでいて、バカなふりをしているだけだとしたら危険だ。
ラタムは男の実力がどれほどのものか図るため、挑発することにした。
「まさか魔法が使えぬ訳でもあるまい。ほれ、どうした?口先だけの因業か?」
「……!!ワシの魔法を受けて後悔するがいい!!」
男は片手をこちらに向け、ブツブツと呪文を唱えた。すると、火の塊がこちらに飛んできた。
ラタムは特に避けるそぶりも見せず、片手でその魔法を受け止めた。
エネルギーの塊はシュゥと音を立てて蒸発した。
「こ、このアバズレめ!ワシの攻撃が受け流されるはずが……!」
「うむ……もうちと威力があると思ったのだが……まあいいとするか。ほれ、誰かそいつを捕縛せい。」
ラタムの言葉にルフィナとライサ、ベルの3人が前に飛びだし、瞬く間に男を拘束した。
男は抵抗していたようだが、さすがは神獣、まるで赤子を相手にしているかのように軽々と男の体に縄を縛り付けた。
男はギャンギャンとしわがれ声を上げ続ける。
そろそろ声が枯れちゃわないかな?よくこんな大きな声が出せるな。と、リズは少しの心配をしていた。
縛り上げた男を連れて、リズたちは首相室の奥へと入っていった。
ーーー
「多分本軍と通信するための装置があるはずだ。それを見つけ次第僕に教えてくれ。」
「多分探すまでもないと思うケド?ボクの予想通りだったら寝室とか、その人個人くらいしか入らない場所に置かれてると思うよ。」
ニックの指示とライサの助言らしき言葉にしたがって、男のプライベートスペースと思わしき部屋の中を探索する。
部屋は白や黒で統一されている。意外なことに、首相室のようにごちゃごちゃと色々なものが飾られている訳ではなく、必要最低限の家具のみしかなかった。
寝室に入ると、ベットの向かいに置いてある机に大きな赤い宝石がついたブレスレッドがあった。
そうしてこんなところにブレスレッドが置いてあるのか、それ自体にはそこまで気にならなかったが、机の斜め左上に白い紙が貼ってあるのだ。
それが気になってしょうがないので「勝手に見てごめんなさい。」と、心の中で謝罪をし、紙に書かれた内容を見た。
『ブレスレッド、無くしたら連絡が取れなくなる。絶対無くさないように!』
わかりやすくもご丁寧に、机に置いてある装飾品こそ、リズたちが探しているものだった。
リズは内心「こんな風に堂々と書いても大丈夫なのかな?」と、心配に思ったが、今はそれのおかげで、自分たちが果たしたいと思っていたことが果たせるため、感謝しておいた。




