84話 南の地域で
「宴?でも今日は……。」
今日は一晩中家に隠らなければいけないって、レオはそう言っていたはずだ。と、リズは会議の時、レオが発した言葉を思い出しながら言葉を紡いだ。
しかしレオはその言葉とは反対のことを言ってみせている。
<どうやら地域ごとに伝統として伝わっていることが違うようだ。……特に南の地域は人が少なく田舎のような場所だからな。>
「で?そっちにはベルやパームもいたはずだけど…何か手立てはあるのかい?」
サイネリアがレオに問うと、レオはしばらくだんまりしたあと、ゆっくりと言葉を吐き出した。
<ギャーギャー騒いでいて話にならない。……人選というか、選ぶやつ間違ってないか?なぜもっと冷静になれるやつを小生の班に入れてくれなかったんだ‥‥。>
どうやらベルトパームは仲良くできていないらしい。
レオがとても苦労していそうだが、リズにはどうすることもできない。
ラタムはしばらく考えるそぶりを見せたあと
「その祭りの規模と、どんなことをするかはわかってるのかえ?」
<規模は比較的少数だ。祝うと言っても、餅とかをついて喋るだけらしい。‥‥本当は花火なんかをするそうだが、このご時世、田舎どころか国民に回す金がもったいないと言われているらしいな。>
なんともひどいことだ。
国は国民がいなければ成り立つことはできないというのに、その必要不可欠な者たちをないがしろにするとは。
リズは元気だった頃とは一転したエレンのことを思い出し、怒りで胸が張り裂けそうだった。
「ならば転送装置の先で宴をしたらどうかと誘ってみれば良い。其奴らが頑固でなければ折り合うて切れるじゃろう。」
ラタムの案を聞いたレオは<やってみるが、とにかく今後ベルトパームをくっつけないでくれ。>と、苦言を申し立てた。
ーーー
場面は変わり、4グループ目のレオ、ベル、パームたちがわちゃわちゃとしていた。
レオが通信を終え、ベルトパームの間に割って入る。
「2人とも静かにしろ。ラタムから案をもらってきた。」
「もう!なんで私がいる場所に限って特殊な状況なのよ!」
「甲高い声で騒ぐなパム!パムは耳がいいから余計に困るんだパム!」
結局うるさく騒いでいることに、レオはつい額の辺りを押さえた。
レオは『もうこれ、2人が言ってること無視しないとダメなんじゃないか』と悟り始めた。
「とにかく転送装置を設置しろ。なんとか俺が誘導するから。」
「私を雑用に使う気?!」
「み、耳が…!」
ついにパームが耳を押さえ始めた。
流石に限界だったのだろうが、レオの頭も爆発寸前だ。
2人が静かになることはないと諦め、レオは祭りを開始しようとしている住人のうちの1人に話しかけた。
「すまん。ちょっといいか?」
「ん?どうしたんですか?」
「いや、ここのリーダー……というか、村長的な人の元に案内してくれないか?話したいことがあるんだ。」
住人は特に怪訝そうな顔をするでもなく、快く村長の元へと案内してくれた。
村長の元へ行き、「ここの地域では祭りがあるそうですが、大々的に祝うことはできないと聞きましたが、本当ですか?」と聞くと「ああ、困ったことにね。」と言われた。
「でしたら大々的に祝える場所を提供しますので、しょうせ……俺が案内するところについてきてくれませんか?」
「うーん……まぁあなたからは特に悪意とか感じないし、ついていってもいいかな。」
予想外にも抵抗されることもなく、スッと話を飲み込んでくれたため、思わず拍子抜けしてしまった。
村長は村の人々の前に立ち、レオの言ったことを話した後、レオについてきてくれた。
ーーー
「これで最後か。」
「はぁ……一時はどうなるかと思ったわ。」
「お前のせいパム。」
最後までこいつらは仲良くできないのか。と思いながらも、レオたちも転送装置の中に入り込み、他のグループが帰ってくることを待つことにした。




