83話 想定外
決行日当日、P.M 18: 00
リズたちはそれぞれ担当地区までワープしてきた。
リズのチームが担当するのは自身の親がいる西の地域。懐かしさと、母親は大丈夫なのかという心配の気持ちが湧き上がる。
ちなみに、神獣たちはみな人間の姿に擬態している。
「ほれ、よそ見をするでないわ。ここは敵陣真っ只中じゃぞ?気を抜けば瞬く間に捕まる。」
「ラタム、あまりリズを不安にさせない。彼女だって好んでこんな状況になったわけじゃないんだ。」
サイネリアはリズを擁護するように、ラタムが言葉を紡ぐのを止めた。
リズはそんなこと梅雨知らず、ずっと自分の家のことや母親のことを考えていた。
ーーー
今は歩き回っていて、久しぶりの自分の故郷を堪能している。
ちょうど家の近くのスーパーまで来たところだ、ここも懐かしいな、だなんて思い出に浸っていると
「あ、すみません。」
誰かとぶつかってしまったらしい。
こちらの注意不足だったのだろうか、ちゃんと前を見て歩かないと危ないなとか、昔小さい時に母親に言われたことを思い出して、ぶつかってしまった人に謝ろうと、そちらを見ると
「いえ、こちらこそ……え?」
目の前に、今考えていた母親がいた。
国から出て行く前に見た、最後の姿とは全く違っていた。
青白くやつれた頬には生気がない。まるで心配やら焦燥やらが体として現れているかのよう。
「?、どうしたの?私の顔に何か?」
「あ、いや……こちらこそ、ぶつかってしまってごめんなさい。」
「あら……ふふ、そういうもの言い、私の娘を思い出すわ。」
今は認識阻害魔法がかかっているため、エレンは自分の娘が眼前にいることに気づいていない。
リズはそのことを思い出し、ここにいるよ、お母さんの目の前に私はいるよ。と言いたくなってしまう。
母親にあって、今すぐ抱きしめたい、抱きしめてもらいたい。そんな気持ちがぐるぐると頭を巡っている。
「娘さんはどんな人なんですか?」
サイネリアが唐突に、エレンに質問した。
エレンは一瞬鳩が豆鉄砲を食ったような表情を浮かべた後、痩せこけた顔に笑顔が戻った。
「年の割にはちょっと子供っぽくてね。とっても愛らしいの。でも……随分前にいなくなってしまったのよ……、また会いたいわ。」
リズは涙が溢れそうだった。しかし、母親を救うためにも、今ここで立ち止まっている場合ではない。
リズはエレンと別れ、時間が来るまでブラブラとそこらへんを歩き回っていた。
ーーー
P.M 18: 50
あともうちょっとで作戦開始だ。
そんな時、連絡魔法が入った。
<あー、聞こえるか?>
「れ、レオ?!どうしたの?!」
突然、予定として組み込んでいたわけでもない連絡が入ったため、リズはびっくりした。
しかし、サイネリアとラタムはいたって冷静に、レオの次の言葉を待っていた。
<ちょっと想定外のことが起こった。南の地域では、どうやら家にこもるのではなく一晩中宴を開くようだ。>




