72話 襲撃
[翌朝]
季節は初冬、朝日がまだ低い位置にいる頃、リズは目を覚ました。
喉が渇いていたので、リズは水を飲もうと立ち上がり、近くの泉に向かった。
ーーー
泉に行くと、既に先客がいた。
「あら、人間じゃない。」
「ど、どうも……。」
リズに何かと強く当たってくるベルだ。
自身に風当たりが強いベルのことが、リズは苦手だった。
「以外ね、あなた遅起きそうなのに。」
「そんなことないもん!…まぁ、いつもは遅起きだけど……。」
ベルはクスクスと笑っていた。
昨日までは見れなかったベルの姿に、リズは少し驚いた。
珍しいな、と思っていると。
「……あなた、珍しいと思ってる?」
心を読まれたかのように、今リズが考えていることを言われ、リズは動揺した。
「い、いえ!そんなこと考えてもいないよ!」
明らかに動揺した姿を見たからか、それとも他に面白いところがあったのか、ベルは又してもクスクスと笑った。
笑ったベルを見て少しホッとしたのも束の間。
ベルが話しかけてきたのだ。
「あなた分かり易いわね。私が見てきた人間たちとは違うみたいだし。」
「そりゃあ、人間って言ってもいっぱいいるし、人それぞれだもん。」
ベルが口を開きかけた時、泉の向こうから黒い球体のものが飛んできた。
その球体はリズの方へ飛んできていて、リズが気づいた時にはもう目の前に、黒色の物体があった。
思わず目を瞑り、次に来る痛みにこらえようとした。
しかし、いつまで経っても痛みは来ず、不思議に思ったリズは目を開けた。
するとそこには、自分を庇っているユニコーン……ベルの姿が映った。
なぜ自分のことを庇ったのかわからず、リズは困惑していた。
ベルは自分のことを嫌っていたみたいだし、自分が危険にさらされても庇ってくれることなんてないと思っていた。
「危ないわね。」
ベルはそう一言吐くと、角の先から紫苑色の光を放った。
光は一直線に、黒色の球体が飛んできた方向へと飛んで行ったが、特に何があるでもなく、その場はしん…と静まっていた。
ベルは頭を振り、リズの方を向いた。
リズは今だに状況が理解出来てないようだった。
「大丈夫だった?」
ベルの瞳には心配を含んでいた。
その表情を見たリズは、自分のことを心配してくれたことに嬉しさを感じた。
「心配してくれたの?」
「べっ!別に!たまたま身体が動いただけなんだからね!!」
ベルは焦って、いろいろと言っていたが、頬は少し赤みがかっていた。
しかし、ベルはすぐに真面目な顔に戻り、何やらぶつぶつとつぶやいていた。
「とにかく戻るわよ。」
「あっ!待って!」
リズは少し水を飲むと、先に歩いて行ったベルを追いかけて行った。




