62話 ニックからの連絡
一度聞いたことがある声なので、リズたちはさほど驚くこともなかったが、あちらから連絡してくるのは珍しいと思った。
とは言っても、リズたちは彼のことを詳しく知っているわけではないのだが。
「汝から連絡してくるとは、珍しいものじゃな。」
<そもそも君が……はぁ、とにかく聞いて欲しいことがある。>
やはり、ニックは相当苦労しているようだ。
呆れながらも、ニックはラタムに言った。
<ベルを見つけた。君とサイネリアとパームとアルフ以外はこっちにいる。君は今どこだい?>
「あぁ、汝が居ないと言った者なら妾のすぐ側にいるぞ。」
ラタムはリズたちのことについては一言も言わなかった。
リズはつい、いつものようになぜかと聞こうとしたが、ラタムがこちらに『静かにしろ』というような目線を送ってきたので、慌てて口をつぐんだ。
<本当かい?なら今からサイネリアに位置情報を送るから、パームに転送してもらってくれ。>
「それはいいが、ちと妾たちの方でも色々あってな。」
ラタムはさりげなく話題を自分たちのことに向けた。
ニックはこちらにも聞こえるほど大きなため息をつき
<それで?何か厄介なことでもあったのかい?>
「人間の童が5人ほどいるのじゃ。」
<今もいるのかい?>
「どうやらパームが童のうちの1人に助けを求めたらしくてのう。」
ちっらと、ラタムはパームの方を見て話した。
パームは少し膨れっ面になり、ラタムを見ていた。
「どうやら童等は人間の戦争を止めたいらしいぞ。妾たちにとっても好都合じゃ。そうは思わないか?」
<君は次から次に面倒を……いいさ、結局目指す目的は同じなんだ。>
ニックは半分諦め、半分好きにしろという気持ちでラタムに許可を出した。
<とにかく位置は送っておいたから、なるべく早くきてくれ。>
それだけ言い残すと、ニックは連絡を切った。
ラタムは少し嬉しそうな顔をして
「サイネリア!早くいくぞ!」
「はいはい。パーム、魔法陣を描いてくれるかい?それからアルフ、ベルがいるからってそんなあからさまに嫌そうな顔をしても無駄だだよ。」
「またパムか!?」
「チッ」
パームは疲れたような顔をし、アルフは先ほどよりも不機嫌になった。
苦笑いをするしかないような状況に、リズは微笑した。
ーーー
「書くのだって一苦労するパム!もう嫌パム!」
魔法陣が書き終わり、パームがリズの元へ駆け寄ってきた。
とりあえず撫でておき、リズたち全員は陣へ乗った。
「僕が魔法は使うから、パームはしばらく休んでていいよ。」
「助かったパム!」
初めて会う神獣が4人いる場所に向かう。
リズ、チェス、ソレイユ、オスマン、レオはそれぞれ緊張していた。
転送魔法特有の光が目の前に広がり、焼け焦げた森の跡は見えなくなった。
ーーー
転送先は、木々の葉の色が赤や黄色に染まっていて、一面紅葉で満たされた場所だった。




