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魔科学世界のリズ  作者: Luna(ルナ)
2章  逃げ出した先で
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16話 防衛戦の始まり

[3日後]


人間たちの陣地では、戦闘準備が整っていた。


「…オルムたちは降伏しなかったか。」


その人間は敵のことを嘲笑っていた。


「バカだなぁ!降伏すればいいのに!……まぁ、幸福しても多少暴力行為には出るが…。」


王の予想していた通り、人間たちはオルムたちが幸福したところで、ぴったりと攻撃を止める気は無かったのだ。


「さて、奴らを屈服させに行くか…。」


人間は独り言を呟き、その場を後にした。


ーーー


人間の軍はすでにオルムの王都へ進撃していた。


「へへ!オルムなんか大したことないな!やっぱり人間が一番だ!」


ある兵士がそう言葉を漏らしたが。


季節は夏、夏にしては少し肌寒い気がしていた。

森に進軍してから少し経った頃………


「寒くないか?今は夏のはずだろう?」


誰かの戸惑う声が聞こえた。

刹那、急にあたりの温度が下がった。


それは……


[リズたちが防衛設備の配置を決めていた時]


「これはどこに設置する?」


リズが指したものは、氷の魔法が込められた防衛設備だった。


「相手の体温を奪うことはできるかもしれないけど…。」


『うーん…。』と、オスマンが悩んでいると…


「あたりの温度を冷やしたいならこの森に置くのはどうだ?」


王自らが提案した。


「この森は魔法の森でね、中心にある大木は自分に使われた魔法を森全体に流すんだ。だから、この大木に魔法を流し続ければ魔法の森全体の温度は下がり続ける。」


説明を聞いていたリズたちは王の次の言葉を待った。


「敵の兵が撤退するまで遠隔操作でこの防衛設備を起動させ続ければいい。」


「敵が撤退したら?」


誰かが言った質問に対して、王は答えた。


「この道具にも限界はある。敵が撤退し次第設備の回収に向かう。」


彼女らは土地の性質を利用した作戦を考えたのだ。


[時は戻り、現在]


「なんだこれは!」


その場に居合わせた部隊隊長は怒りとも捉えられる大声を上げた。

周りの兵士はへっちゃらだと言うものもいれば、何が起こったのか理解できないもの、生存本能に従って逃げようとするものまでいた。


「おい!これはどう言うことだ!」


行き場のない怒りをぶつける勢いで部隊隊長は近くにいた兵士に一方的な質問を投げかけた。


「わかりません!急に温度が下がり始めて…。」


兵士は怯えていた。


「隊長!このままではこの部隊が全滅してしまいます!」


状況はどんどん悪化するばかり、部隊から逃げ出し、基地に帰るもの、人間界へ帰るものまで現れていた。

そうこうする間にも周りの温度はどんどん下がっていく…。


「クッ!撤退だ!」


部隊隊長はしぶしぶ撤退の合図を出し、部隊は撤退していった。


[部隊が撤退した頃、リズたちは…]


「やったぁ!部隊が撤退していく!」


リズだけでなく、その場にいるもの全員が喜んでいた。

自身らが傷つくことなく相手を退けたからだ。


「設備の回収に迎え!」


王はテキパキと指示を出していた。


「一応難は去ったが、あいつらはこれで諦めないだろう。」


レオが苦虫を噛み潰したような顔で言った。


レオの言ったことが気になっていたが、リズはチェスと仲直りするために探したが…


チェスは見当たらなかった。

仲直りをしようとは思っていたが、リズはチェスの言うことが納得できないままでいたので、考えを変える気は無かった。


その晩、まだ諦めないであろう人間たちの軍を退けるための作戦会議がおこなわれた。

その会議にチェスはいたが、会議が終わり話しかけようとする前に、チェスは姿を隠していた。



二人の間に入った亀裂は思ったより深かったらしい。

真反対の性格の二人は、お互いの考えが納得できない限りは元に戻らないだろう。



[翌日]



「なに?第一部隊が進軍に失敗しただと?」



第二部隊の隊長がそう漏らした。


昨日の進軍の失敗についてはもう広がっていたようだ。



「はっ、どうせあの隊長のことだ、何かくだらないヘマでもしたんだろう。」



彼の言葉に疑問形はなかった。


どうやら人間軍は仲間意識が薄いようだ。



「はい。どうやら森に異変を感じて撤退したそうです。」



彼の部下が昨日の状況について報告した。



「異変?たかがそれごときで撤退だと?」



彼は怒りを含んだ言葉を発した。



「まぁいいさ、最初から奴らに期待なんかしていない。」



先ほどとは打って変わって、今度は嬉しそうな声で言った。



「この進軍で成果を上げれば俺は将軍になれるんだ!」



彼は自分の出世のことしか考えていないようだ。


多分、人間軍の中に絆などは無いも同然だろう。



第二部隊は王都への近道である細めの一本道を進んでいた。



「まさかこんなところから我々が来るとは思わないだろう。あわよくばこの戦いで隊長を失脚させれるかも。」



前線にいた一人の男がそう呟いていたが、しばらくすると…



<<ビュゥゥゥゥゥ>>



「な!なんだぁ!?」



彼の目の前で急に大きな風の集まりが出てきた。



これは……



[リズたちが作戦会議をしていた時]



「風の設備はどうする?」



レオが問いかけた。



「一本道で周りは高い崖で覆われてるところが一番威力を発揮するんだけど…そんな都合よくあるわけないか…。」



オスマンががっくりと肩を落とした。



「いや、そうでもないぞ?」



王がけろっとした表情で言った。



「ここならオスマン君の言っていた条件を見たいしてるし、崖を登ろうとしたらそれこそ崖崩れが起こる可能性もあるからね。」


「つまり必然的にこの道を通らざるを得なくなると?」



チェスが質問を投げかけた。



「あぁ、そもそも彼らが陣取っている場所から王都へ入る道は危険な場所を含めても4つしかないんだよ。」



『ここが4つのうちの1つさ。』と、王はチェスの質問に答えた。



「暴風が起こってしまって、崖も登れないとなると…。」


「敵は撤退るすしかなくなるわけね!」



リズとソレイユが言った。



「あぁ、ではここに風の設備を置こう。これも遠隔操作で操った後、隙を見て回収係がとってこよう。」



こうして決まった場所であった。



[時は戻り現在]



「なんなんだよこれ!」



前線にいた男はイラついた様子を隠そうともせずにいた。



「そ、そうだ!崖を登れば!」



男は持っていたナイフを使って崖を登ろうとしたが…



「クソ!刃を入れたら崩れちまう!」



引っ掛ける場所もなく、そもそも崩れやすいせいもあって登ることができなかった。



そうこうしている間にも風はどんどん大きくなり、ついには竜巻レベルにまで届こうとしていた。



「ヒッ、ヒィィィィ!」



男は情けなく逃げ出した。



男が逃げ出した後、第二部隊は大きくなる風にどうすることもできず撤退したそう。



リズたちは、またもや敵を退けることに成功した。


周りの兵士は喜んでいたが、戦争がきっかけでなかなか仲直りすることができないリズとチェス。


二人の溝はどんどん広がるばかり、『戦争が終わったら一目散に謝ろう。』と。決意するリズであった。

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