閑話 正義
ん? 正義ってなにだって?
やるべき正しいことだよ。
眠たいときに眠ることが正義だし、おなかが空いたときに食べるのが正義。
最近の現代魔法では、かわいいだよ。
ん? それはどうしてなのだって?
小さき者が、大きな物事の真正面に立って、恐怖に震えて涙を流しながら、それでも歯をくいしばって、勇気を叫び、立ち向かって行くからだよ。
まるで、お前のようだね。
お前はパパの勇者様だよ。
ん? 勇気って「やったんでー!」ってことなのだって?
うん、そうだね。よく分かったね。
どうして関西弁なのかは、さっぱり分からないけれど。
ん? 正義って悪者をやっつけることじゃないのだって?
ひと昔前の、現代魔法の正義の呪文に込められた魔力のことだね?
今は、悪者をやっつけたあとの、後始末のほうが正義だよ。
ん? 正しいってなんだって?
ちょうどいいってことだよ。
良い物事に宿る心が神ならば、正しい物事に宿る心は天使だね。
良い心が神ならば、良い行いが天使だよ。
正しいやるべきことができたら、みんなで話し合って、誰にとってもちょうどいい落としどころをつくって、そこに落ち着きなさい。
心配事、不安がなくなって安心できるよ。
これは分からないことが不安で不安でどうしょうもなくなった時も有効だから、覚えておくといいよ。
これを相談っていうんだよ。
自分ひとりの物事ならばいいけれど、みんなでやるべき正しいことをするときは、この相談をせずに突っ走ったら大変なことになるから、気を付けてね。
相談せずに暴走する正義は、悪魔となんら変わりのない存在になってしまうんだ。
それからね、正義や正しいには注意しなくちゃいけないことがあるんだ。
正しいと信じてたことが間違いだったら、どうするの?
なにかしたら、その結果って、後にならなきゃ分からないでしょう?
行動する前に出る結果はないんだ。
過去の大賢者の言葉で言うと、
真実は時間を味方につけて後からやってくる。
だから、どれだけ正しいと思って行動しても、それが本当に正しかったのかは、後になって結果を見ないと分からないんだ。
後になって「こうすればよかった」って思う。
後悔することになるんだよ。
でも、できるかぎり後悔はしたくないよね?
本当に正しいのはなにかなんて今は分からないけれど、だからこそ、今を精一杯生きるんだよ。
人事を尽くして天命を待つ。
昔の人の言葉だよ。
ん? 結局どうすればいいのって?
それはね
なにごとも、ほどほどにしなければいけない。
ゆえに、ほどほどにするのも、ほどほどにしなければいけない。
ん? 結局どうすればいいのって?
それは、もちろん
なにごとも、ほどほどにしなければいけない。
ははは、怒るな怒るな。
『ほどほど』とか『ちょうどいい』とかは、時と場合と人で変わるからね。その時に必ず居る人が居るから、その人に聞いたらいいよ。
ん? それは誰だって?
自分自身さ。
言っとかなきゃダメかな。
なぁ、自分って何人居ると思う?
ん? そんなのひとりに決まってるよだって?
ほう、じゃあ、ハルは自分だよね?
実はパパも自分なんだ。
誰に聞いても、必ず、自分は自分だって言うよ。
このように、自分って人の数だけ居るのさ。
自分はひとりじゃない。
だから『ほどほど』とか『ちょうどいい』は、その場その時にそこに居る、自分達で相談して決めなよ?
あー、それから、これも言っとかなきゃダメかな。
現代魔法では、正しいの意味は『一番に合わせる』だから。
精霊魔法とは違うから、注意するように。
2019年5月17日 追記
2019年5月20日 追記
2020年3月24日 修正