精霊
次に精霊とはなにかについて話すよ。
精霊とは、つまり、物事の中にある魔力ーーーこれは知力と言い換えてもいいかな。物事自身が知っている知識を伝える役割をする存在なんだ。
全ての物や事、または者に宿る精神と精神とをつなぐ、色分けされた絆の糸が精霊だよ。
精神は、その糸を通して、お互いに知識と力を交換してるんだよ。
ん? 物やことに精神がーーー知能があるのだって?
そうだよ、よく知っているよ。
精霊使いは物事から知識を授かって魔法を使うと言っても過言じゃないね。
アカシックレコードと言って、宇宙はそれ自体が大きな記憶装置なんだ。
この宇宙で起こった出来事は、ぜんぶ記憶しているよ。
生まれ育った土地の地面とか水とかは特にすごいね。
そこで育った人の体のすみずみまで知っていて、どこに水分や栄養分を回せばいいか分かっているから、体の調子を調えてくれたりするんだ。
パパの師匠ーーーパパのママ。つまりお前のばぁばだな。ばぁばは精霊とは幼なじみだって言っているね。
ん? ばぁばは、なにを言っているのだって?
まぁ、あの人は、もう、すでに半分、精霊みたいなものだから……。
まぁ、あながち嘘ではないんだ。
精霊が伝えてくれる知識を受けとる受信機が人間だから、精霊を、まるで人間のように感じて受け取ってしまうんだよね。
だから、人間にとって、あらゆる存在は人間だよ。すべてを擬人化してしまう。
ん? 本当にアカシックレコードなんてあるのだって?
あるよ? 誰でも考えればすぐにわかることだよ。
人は全知全能の神ではないよね?
だから人は無からなにかを生み出すことはできないよね?
じゃあ、知識も人が無から生み出したものじゃないよね?
じゃあ、知識はどこから来たかわかるかい?
そう、人の知識は存在の精神から、人の持つ知力と精神力を引き換えに、精霊によって伝えられたものなのだ。
2019年4月8日 加筆修正
2019年4月10日 修正
2019年4月13日 修正
 




