そしてある家族に代々伝わる伝承
それから、パパの教えは、誰にも言っちゃいけないよ?
ん? それはどうしてなのだって?
今の時代で、精霊だとか神だなんて、サギと間違われちゃうぞ?
「こいつ、オレをだまそうとしてるんじゃないだろうか? 頭、おかしいんじゃないの?」
なんて思われちゃう。
神という言葉は、ただの言葉であって、神そのものじゃないからね。
人の言葉で「神」と名を呼べば、それはすなわちウソなのさ。
愛という言葉も同じだから、使う時は気をつけて。
だから、パパの教えは、ハルが大きくなって、子供ができたら、その子にだけ伝えてあげて。
ん? 本当のところはどうなのだって?
うん、人に知られると恥ずかしいから。
今の時代で、精霊だとか神だなんて、本当に恥ずかしい。
みんな、一生懸命、前を向いて歩いているのに、ひとりだけ、のらりくらりと、後ろを向いて歩いているようなものだもの。
「和を乱すな!」って、怒られちゃう。
誰もが、もうすでに、分かりきっていて、過去に置き去りにして、そこから旅立った、古いーーー使うにはあまりにも古すぎる考え方だからね。
これを、魔法用語で、源泉って言うんだよ。
温故知新
この教えを自分なりに考えることで温めて、新しい知識を得るための糧にしてくれると嬉しいな。
そもそも、
「ハル、大好きだぞ」
って、言葉以上に伝えたい、大切な教えじゃないからなぁ。
いいか?
間違っても『知っている』ことを自慢するなよ?
「知っている」と言って「私は、自分の知らないことを知ろうとしていません」って言ったことになるからね?
ああ、恥ずかしい!
そんな自分の恥を見せていいのは、自分の家族くらいだぞ?
だから弟子って言葉があるのさ。




