守破離
今まで、よく、パパの教えを聞いてくれて、ありがとう。
最後に、最も重要なことを教える。
いいかい?
絶対にパパの教えを守りなさい。
そして、教えを守った後は、必ず、パパの教えをーーー言い付けを破りなさい。
そして、パパの言い付けを破ったら、次に、パパの教えから離れなさい。
立派に一人立ちするんだぞ?
ん? それはどうしてなのだって?
そうしないと理が先に進まないからさ。
質の良い理は、必ず先に進む。
進化する。
理とは、自分のままで変わり続ける、永遠を生きる物語なのだから。
古い道を知っているのは老人だけど、新しい道を切り拓くのは、いつだって若者なのだ。
それにね、お前の幸せのための教えが、お前の幸せの妨げになってはいけないんだ。
忘れるなよ。お前はパパの経験や知識を利用する立場なのだ。
決して、パパの経験や知識の奴隷になってはいけない。
感性に捕らわれるな。理性で捉えろ。
お前は大人になるんだ。
昔の人や偉い人が自由に決めた。
だから、今を生きるお前が自由に決めてはいけない道理はないんだ。
今を生きるお前達以上に大切な過去の経験や知識ーーー記録はないんだよ。
昔の人との約束や決めたことさえ守れば、今を生きる人の心なんかどうでもいいなんてことは、絶対にないんだ。
何度でも言うけど、今を生きるお前達以上に大切な教えなんてないよ。
教えとは言ってみれば、所詮、昔の記録。今を実際に生きているお前達の経験じゃないんだから。
昔の記録、先人達の経験の記録は、今の人生に完璧に適用できるほど万能ではない。
だから、昔の人の経験を利用する以上の期待をしてはいけない。
利用するつもりが利用されてしまうぞ。
教えとは知力。お前を支配し従えようとする魔力を振るう魔物なのだから。
お前は、パパの教えを信じて、守った。その後は、パパの教えが、今を生きるお前自身と、今の時代にちょうどよいのか確かめて、合っていないなら、ちょっと、変えなければいけない。
変わらなくては生きていない。変わり過ぎては自分を保てず死んでしまう。
進化の果ては自滅と言われているよ。
進化の果てに、たどり着いた者はいないけどね。
お前は行け。
パパでは到底たどり着けない未来へ。




