知る
今日は知るとはなにかについて話そう。
知るとは自分の外にある心が、自分の中にある心になろうとすることだよ。
自分の心の国を征服しようと侵略してくる敵だ。
色々なものが、ひとかたまりになっていて、なんだかよく分からない怪しい物。
自分の心の場所を奪い取ろうとする怪物ーーー魔物なんだよ。
この知るという力を魔法の世界ではこのように呼ぶ。
「魔力」
知るには、まず正体不明の魔物の外見を見る。
外見をくまなく見終えたら、次に魔物の口から中に入る。
そして、魔物の中身を丁寧に見る。
中には、なにがどれだけあるのか。
それが、それぞれどのように働き、どのような関係で成り立っているのか。
もちろん、楽じゃない。
魔物の胃袋で溶かされて死んでしまう。
でも、死ぬのは、知る前の自分。
知る前の自分が死んで、知った後の自分に生まれ変わるのさ。
自分は魔物の生命を支える栄養になって、魔物の全身をめぐり、魔物の全てを知る。
魔物のことを、深く知ったら、友達になって、心の国の中心にある城に招待して、宴会をする。
この国の王さまは自分だからね。
その宴会で、もっと仲良くなって、その魔物に、自分の心の国で住んでもらうんだよ。
そう、昨日の敵は今日の味方になる。
でも、その友達がね?
「お前に食べられて、ひどい目にあった」
って言うんだよ?
逆じゃね?
って思うよね。
見る時、見られる。
深淵を覗き込む時、同時に深淵に覗き込まれているものなんだよ。
2020年3月24日 修正
 




