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自分




 ん? 自分ってなにだって?



 また難しいこと聞いてきたなぁ。



 ん? そんなに難しいことなのだって?



 うん、超難問。


 パパも勉強中。


 今、分かっていることだけで良ければ教えるけど、それでいい?



 ん? それでいいって?



 うん、じゃあ教えるね。




 自分とは分化と同化をする存在なのだ。



 ん? それなにだって?



 自分とは、自分の魂という、なにかを入れておく入れ物の中身を入れたり出したりする存在なんだ。


 その入れ物の中身と同化して、それを自分自身だと思い込むのさ。


 例えば、自分の名前、自分の体、自分の心、自分の感情、自分の精神、自分の知識、自分の魂、自分の気持ち、自分のお金、自分の家族、自分の友達、自分の役割、自分の仕事、自分の物、自分の事、自分の時間、自分の場所、自分の夢、自分の祈り……。


 全部、自分の魂という入れ物に入っている物事や心や時間や空間だよ。


 宇宙と一緒だね。


 自分の魂とは、個人に割り当てられた、宇宙の記憶装置、アカシックレコードの、記憶を保存しておく入れ物ーーー領域なんだ。


 自分とは、その入れ物の中身を入れ換えたりできる存在なんだ。


 覚えたり忘れたり。


 (つか)まえたり逃がしたり。


 入れたり出したりする。


 この出すっていう行為、動作、行動。


 これを分化という。


 自分の分だよ。


 入れ物の中身は入れ物ではないっていう意味だよ。


 入れ物の中身を出したり入れたりする存在は、入れ物の中身じゃないっていう意味だよ。もちろん入れ物ですらない。


 自分を自分で有らしめる魂ですら自分ではないのだ。




 意味や中身は、空っぽの隙間(すきま)がなければ入らない。この空っぽの隙間が自分の魂なのさ。


 実は自分の魂は入れ物ですらない。


 ただの宇宙の隙間。


 だから、空っぽの隙間を指差して、その中身や意味がなにかを知っているとか分かっているとか言うならば、それはウソになってしまう。


 自分という言葉には心がないのさ。


 だから、当然、意味もない。


 自分の心は、自分ではないからなぁ。


 自分という言葉は、どこまでいっても、ただの空き缶みたいなものだ。


 自分に心がないのでなければ、自分の中に心を入れることは出来ないのだから。


 だから、パパは「自分とはなにか分からない」としか言えないのさ。




 自分の定義ーーー「私は、この自分という言葉を、こういう意味で使っています」は、人によって色々あるから、違う誰かの話しとパパの話しを比べて見るといいよ。


 物事の中身を種類別に分けるから自分というのだって言う人も居るよ?



 ん? どれが正解なのだって?



 分かんない。


 パパも勉強中。





 過去の哲学者ーーーパパが「サイレンの魔女」って呼んでいる人の言葉だよ。


 「自分とは、あると言えばある。ないと言えばない」


 まぁ、つまり、言葉を変えて「分からない」って言ってるんだけど……。


 あっ、その魔女の言葉だけど、自分の宇宙という言葉はないらしいよ?


 その言葉は、正しくは、宇宙の自分になるんだって。


 自分の中に宇宙があるのじゃなくて、宇宙の中に自分があるらしいよ?


 同じように、自分のアカシックレコードという言葉もないんだ。


 正しくは、アカシックレコードの自分になるのかな?


 宇宙やアカシックレコードのどれだけが自分に分けて与えられているのか……。


 わっけわかんないよねー。


 でも、知りたい!


 だから、パパも勉強中。


 自分も、全知全能の神ではなく、たったひと柱の精神なのかな……。


 でも、自分の精神が自分の(わけ)がないし……。


 自分が精神なら、自分なんて言葉はないんだから……。


 自分は自分だ、なんて同語反復で逃げたくないし……。


 神の自分が精神なのかな?


 自分を自分で有らしめる魂ですら自分ではないし……。


 そもそも、自分は存在なのか?


 魂は「存在ではないもの」と呼ばれているし……。


 ただ、宇宙の隙間に、星が生まれて消えていく様を、自分と呼んでいるに過ぎないし……。


 ちょわー!




 うん、わかんない(助けて狂いたくない)




 ただ、もし、無と存在に中間が存在するなら、それは自分だろうなぁ。


 そんなことぁ、分からない。


 ただ、宇宙に星が生まれて、燃え尽きて消えていく(さま)を、自分なんて名前(・・)で呼んでいるだけなのだから。


 そして、名前は自分ではない。



 ん? パパって、自分とはなにか分からないって分かっているよねだって?



 うん、そうだね。



 ん? なのに、どうして自分とはなにかを知りたいって考えているのだって?



 うん、それはね、パパにとって、例えるなら、食べてもなくならないパンのようなものだからなんだ。


 パパには、考えることで存在しようとする悪いクセがあってな?


 分かっちゃうと、考えが終わっちゃうだろう?


 でも、絶対に分からない自分は、いくら考えても終わることがない。



 ん? 考えることで存在しようとするのが、どうして悪いクセなのだって?



 行動することによって存在しないと、神様に魂を見てもらえないからさ。


 魂は実行を(たっと)ぶ。


 愛は良い心の表現なのだから。


 ああ、それから、自分とはなにかを知りたいとは思うけど、Excelのマクロより知りたいわけじゃないよ。


 パパは哲学者じゃなく、ただの平凡な精霊使いだからね。


 それに、自分とはなにかなんて、分からなくたって平気。だって、分からなくたって、自分を感じることは出来るから。


 永遠に自分に捕らわれたままになるけどね。


 絶対に自分以外のなにかには成れない。



 ん? 精霊使いは平凡じゃないよだって?



 えー



 ん? 自分とはなにか、分かったとも分からないとも言えなくて、心が空中に、ふわっと浮いてるような気がするだって?



 パパと同じだね。



 ん? パパは、自分とはなにか分からないって知ってるじゃないだって?



 そう言わなきゃ、分かりたいって望めないじゃないか。





2019年10月7日 追記

2019年11月22日 追記

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