エルフとドワーフ
自分の中に心や食べ物が入って来た時に、それがどんな味ーーー意味ーーーなのか、それが自分の気持ちをどのように変えたのか、どう思ってどう考えたのか、どんな分からないことーーー謎があって、どんな疑問を持ったのか。なにを連想させ、なにを思い出したのか。それで自分がなにをしたくなったのか。
そんな小さな出来事にも自分の心の働きを細かく見て、言葉に心を込める。
そうすることによって、普通の人よりも、若くして内容の濃い人生を送るようになる。
若いままで歳をとってしまうんだ。
こういう人種をエルフって言うんだよ。
同じように、自分の作った道具や物に心を込める人がいる。
心を込められた物は、心を持った道具ーーーマジックアイテムになるんだよ。
これを作り出す人をドワーフって言うんだ。
ドワーフは言葉じゃなくて物に心を込める。形のない言葉を一段低く見るから、言葉に心を込めるエルフのことをバカにしてて、エルフも言葉を大切にしないドワーフのことを嫌っているんだ。
昔っからエルフとドワーフはケンカばっかりしているよ。
ん? パパはエルフだよねだって?
パパは、まだまだだから、エルフじゃなくてハーフエルフってところかな。
パパはエルフじゃなくてドワーフになりたくて、今の会社に入ったんだけどなぁ。
「世界一の道具をつくるんだ!」って言ってね。
ん? それはどうしてだって?
だって、言葉は触れないもん。
それにね、知っているだけでは、なんでもできるわけじゃないんだ。
『知っている』と『できる』は違う。
できないと『知っている』が死ぬ。
パパは色んなことができるようになりたかったんだよ。
ん? パパは世界一の道具を作れるようになったのだって?
ハル。人には才能というものがあってな?
ゴニョゴニョ……




