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コンビニ・ガダルカナル  作者: ほうこうおんち
第9章:ケ号作戦
57/81

仏舎利輸送ではなく、「門」を通過させる事の意味

アメリカ製 ブローニングM-2重機関銃、フィリピンの戦いで多数鹵獲。

1943年当時、鹵獲兵器として使用。

20XY年現在、日本国にて運用中。


スウェーデン製 ボフォース40mm機関砲、マレーの戦いで数丁鹵獲。

1943年当時、本国にてコピーしようと研究中。

20XY年現在、日本国にて運用中。

ただし大戦中の型は現行型と違う為要注意。


「本命の武器ですね」

「これを持って行って使って貰おう」

「第三次総攻撃以降、空襲対策が必要なようです」

「戦車対策にもなるか…」


どうも「門」は武器を「過去人が過去から未来に持ち込む時」と

「未来の武器を未来から過去に持ち込もうとする時」にチェックがかかる。

「武器が違う時代に移動する時」に阻止されるようだ。

逆に「何らかの都合で移動した武器が、元の時代に戻る」場合はチェックがかからない。

そこで「実際には持ち込んでいないが、時代的に有ってもおかしくない武器」を移動させるなら?

それを一度実験した。

会議参加者の個人所有の「江戸時代中期の逸物・井上真改脇差」を

日本兵に持たせ、「門」を通らせた。

通過出来た。

年代的に、江戸時代の刀が1943年にあるのはおかしくない。

もちろん、所有者が泣くから現代に戻そうとしたが、

この時「過去から未来に武器を持ち出す」に引っ掛かり、

通過出来ずに所有者が真っ青になっていた。

(仏舎利使って、どうにかこうにか現代に持ち帰れたから良かったが)


「ゆえに、M2とボフォース40mmはあの時代にあっても問題は無いし、

 米軍からしても鹵獲されたとしか思わないだろう」


問題は、これが過去のものか現代のものかを、「門」はどう判断するか、だ。

木製のストックとかがついている小銃ならば、木の部分の放射性同位体で測定するのかもしれない。

しかし金属となると、年代測定は誤差も大きく、判定し難い。

「ロット数とかかな?」

候補は浮かぶが、分からない。

そこで「足2号作戦」が利用された。

これは強引にコンビニ本部に無い物のデータを打ち込んだのだが、

流石に「門」を開けた「何者か」も怪しんで、チェック機能を補正したと見える。

もっともハッカーからしたら「補正させるのが目的」だったようだ。

コンビニ本部のデータには「型番」が登録されている。

どうも「何者か」のデバイスは、型番から販売元や製造元のデータを参照し、

「これは通すべきではない」という判定をしたようだ。

だが、明らかに「コンビニにそんな物は存在しない」ものならば?

ある時期から誤魔化せなくなった。

ある時期からその機械の関連企業にアクセスが飛ぶようになった。

その様子が、またも「外部からのモニタ撮影」というローテクで捉えられた。

製造元・販売元が限られる品を使った為、特定しやすい、というよりわざとそこに来るようにした。

そして型番、製造年式、納入先/販売先等のデータを読んだことを突き止めた。

これで、本格的な武器輸送計画「ハ号計画」の目途が立った。

コンピュータをハッキングするのではなく、型番の方を書き換えて

「1943年かその前」の物に見せかける。

ブローニングはFN社と提携したがまだ存在するし、ボフォース社も同様だ。

彼らのデータベースにも、どこに何丁納入したか、ロット番号の記録はある。

それをハッキングするのはリスクが大きいが、そこを「何者か」が見た時に

『このロット番号は現代のものではない』

と錯覚すれば良い。

ずっと続かずとも、90分誤魔化せたら十分だ。


「うまくいけばいいですね」

程度のものだが、上手く運べた日にはガ島の日本軍の戦力強化になるだろう。




一方こちらは東京湾。

この「会議」は、元がコンビニ近くの洞窟に開いた「門」に始まった為、

海上自衛隊は全く関与していなかった。

ガダルカナル島に繋がったと分かった後でも、「門」の制限機能だったり、

関係者を増やすのか増やさないのか曖昧だった会議の進行により、

海上自衛隊も航空自衛隊も、今もってこの件を全く知らない。

広瀬三佐曰く「縦割り行政の悪いとこもあって、陸は陸でしかやらなかったのもあった」そうで。

ただ、ガ島撤退とその後の閉鎖処理まであと1ヶ月も無いくらいなので、

今から説明して理解して貰って機密を共有とかどうこうってよりも、

このまま知らないままでいてもらおう、となった。

海自は特に米軍と関係が密接である為、万が一この件が発覚した時、立場を失わせてしまう。

この件がアメリカにバレても、被害は陸自でとどめたい。

そこで陸自の現在の部門が全部何とかするのだが、流石に

「ソナーや魚群探知機の扱い方なんて知らない」為、

日本海軍の兵員を素性を隠して釣り船に乗せて、メーカーにも実地での講習を依頼して、訓練した。


流石は日本海軍の駆逐艦乗り、漁船上での陸自隊員に比べ、しっかりしていた。

三浦訛りの漁師の話す事、メーカーの操作説明など、しっかり記憶していた。

昨日は「門」のセキュリティが強化され、ソナー系の搬入は出来なかった。

もう「特等賞」なんて言って誤魔化せない。

なので、一昨日に搬入したのは全部で6隻(6セット)。

駆逐艦6隻に、ソナー、魚群探知機、水上レーダーが搭載され、撤退作戦にあたっては

水上と水中の探知能力を高めて、脱出成功率を高めようというものだ。

だが、乗せただけでは意味が無いので、水測員を現代で訓練する事になる。

能力を完全に活かす為には、6隻分の水測員×3(各種センサー担当)×3(交代要員)で

18日間で54人を訓練することになる。

1月下旬にはケ号作戦発動だから、3人ずつ18日間訓練することになり、ギリギリであった。

今日は、派遣された水測員の1人が、まだこの現代で生きている為来られず、

2人に3人分学ばす事となった。

夜間の訓練も行う為、「開門」ギリギリまでとなった。

今日訓練を受けている水兵の搭乗艦は「雪風」だった。

「雪風」は幸運艦であり、ガ島の他、大和特攻にも参加したが生き残った。

彼等は史実通りなら、生きて終戦を迎えるだろう。

なるほど、現代でも生きている方が居たわけだ。


このメーカーからしたら講習、漁師からしたら実地訓練は、潜水艦を対象としてはいない。

大体、横須賀を出入りしている米軍の潜水艦や、

海自の「そうりゅう」級はそう簡単には探知出来ない。

…釣り船のいる辺りに出没もしないだろうから。

そこで「鯨」と言い換え、それを探知出来るか聞いてみた。

「鯨なんて、見つけたら幸運ってもんだ」

と期待しないで待ってろとか言われたが、今日はそれが居た。

「この辺りで鯨見つけるなんて、おめえさんたち、相当運がいいぞ」

と漁師さんは褒めてくれた。

…そこの2人の水兵の搭乗艦が、桁違いの幸運を持ってる事が、

何となく現代の自衛官にも伝わった。




「足2号作戦」のせいか、1時間半の開通時間は、2日で1時間10分に減少した。

この短くなった時間内で、負傷した兵士の治療、食事、M4中戦車(シャーマン)対策のレクチャー、

物資の輸送、現地及びラバウルとの通信、そして海軍の水測員の迎え入れと、

「門」の役割は増え、回転率は圧倒的に低下した。

結局「足2号作戦」は3日で打ち切りとなった。

開通時間1時間は維持したいとこであった。

「自分たちが状況に振り回され、あれしよう、これしようと焦っていた時期、

 『門』は毎日2時間は開通していた。

 それが3ヶ月間あった。

 我々は失敗を乗り越え、覚悟を決め、やるべき事を絞った。

 効率が良くなった筈なのに、やればやる程、今度は『門』の開通時間が短くなる。

 そして『門』を使う時間ももう半月程度しかない。

 『門』を開いた何者かよりも、……歴史とか運命の女神ってのは意地悪だと思う」

広瀬三佐が呟いていた。

なお彼は「二の次」と格下げされた「門」の構造解析をまだ諦めてはいない。


俺は一度広瀬三佐に質問してみた。

2回目の「門」で沖縄から逃げて来た女性、彼女ならガ島に派遣出来るのではないか?

こちらから人が行けるとなれば、出来る事がさらに拡大するのではないか?と。

返答は「やれるかもしれませんが、やらせるのは忍びない」だった。

「彼女を戻すとしたら、昭和二十年の沖縄であって、昭和十八年のガ島なんかじゃありません」

そう断言された。


「足2号作戦」は、短縮こそ余儀なくされたが、成果は十分にあったと広瀬三佐から報告を受けた。

「連中、割と反応が速い。早々に手を打たないと、翌日には対応されそうだ」

と、まずは「何者か」の反応時間が把握出来た。

チェックロジックは、まず武器か武器じゃないかを見るようだ。

武器でないなら、コンビニのデータベースをハッキングし、金額や値引き基準を調べる。

そこに無い物ならば、製造元より先に販売元のデータベースを見ているそうだ。

データベースには、通過の度に見に来るというよりは、1日に一度チェックが入り、

それを記憶してその日の内は金額処理しているようだ。

その為、本格的な兵器納入を行うハ号作戦(ハ号の「ハ」はハッカーの「ハ」)では

・武器そのものは1943年に存在したものと錯覚させる

・武器の管制や強化に関わるものは、初回のチェック時に販売元のデータベースをハッキングし

 金額を騙して登録させてその日の対応を行う

・仏舎利輸送で運べる細かい物は、そちらで輸送する

となったそうだ。


「いよいようちのコンビニ、お役御免ですね」

「そうなりそうですね」

おお!

「最後の大規模支援の後は、コンビニを使っての金額誤魔化しとか不要になります。

 コンビニ横の元ドライブインを使って何かする事も、もう無いでしょう。

 食糧・水・医薬品は『門』前の基地で用意出来ます。

 もう撤退寸前なので、生活用品の買い出しも減ってますし、

 『門』の回転率向上の為にも、不要な買い物はしません。

 立地的に大事な場所なので、そこは最後まで貸して貰いますが、

 今まで本当にありがとうございました」

面倒事から解放される。

ちょっと気が楽になったが、寂しい気分もある。

「まあ、問題が他に起きなければ、ですね」

「嫌な事言わないで下さい。まだ何かあるとでも?」

「何があるか読めたらこっちで対応します。

 何が起きるか読めないから大変なんです。

 その時はよろしくお願いしますね」

ヤなこったとも言えないなあ…。


「また質問していいですか?

 なんで『門』を直接通す事に拘ってるんですか?

 そりゃ大型機関銃とかは『仏舎利』には入らないんでしょうけど、

 分解して運べる物も多数ありましたし、それならテストである

 『足2号作戦』なんてやらなくて良かったんじゃないですかね?」

どう見ても、ふざけてるようにしか見えない

「くじ引きの景品は10円だよ!」という「足2号作戦」。

十分足跡を取れた、チェックパターンが解読出来た、というのは良かったとしても、

そもそも、それ無しでも今まで輸送は出来ていたわけだし。

広瀬三佐の回答は

「『門』を、体内とかに入れずに通すと、一定期間使用が無ければ消滅するので、

 現代の痕跡を1943年に残さずに済みます。

 確かに『何が何でも彼等を助けよう』と初心に返りましたが、

 二の次、三の次でもやはりオーパーツを1943年に残すわけにもいきません。

 ……功利的な事情もあります。

 ガ島は最終的にアメリカが占領しますが、その時に仏舎利の方を使って輸送し、

 使用者の手から離れても残る現代の機械がアメリカの手に落ちたなら?

 それは戦争中は解析出来ないかもしれない。

 しかし、戦後数十年経った時、解析出来てしまいます。

 何せ、そもそも発明したのはアメリカ人だったりしますからね。

 史実より早い発明と、それがもたらす価値を理解される。

 アメリカが先に特許を抑えてしまう程度だったらかわいいものです。

 仮にデジタルカメラですが、その価値は戦中のアメリカ軍だって分かります。

 それによって脅威を与えられたと分かったなら、占領軍となったアメリカ軍は

 日本に対しカメラの開発そのものを禁じるかもしれません。

 その中に搭載されている半導体にしても、です。

 そうなると戦後の日本は、より産業において遅れを取ってしまう。

 そうさせない為にも、可能なら自動消滅のタグをつけられる『門』通過で

 現代の物資を持ち込みたいんです」

そして遠いとこを眺めながら言った。

「この前の攻勢で破壊されたり、回収出来た現代の物資は多いですが、

 まだ消息不明のものも結構あるんですよねえ。

 そいつら、戦車にでも踏まれて粉々に壊れていればいいんですけど…」

(続く)

感想ありがとうございます。

グリースガン良いですね。

でも、それは解体すれば仏舎利でも送れそうなので、

場所バレしてる以上重火器が必要でした。

あと、会議の連中が開き直った時には、もうあと1ヶ月もない時期だったので、開通時間マックス60時間フルに使っても、大局的な戦況はひっくり返せないでしょう。


何ちゃら作戦について。

何を今までうだうだやっていたかって言うと、

「仏舎利」で運ぶと壊したり隠さない限りその時代に残っちゃうので、

「門」を堂々と通過させて、役目が終わったら消えて貰おうということでした。

その為の「門」の通過条件チェックでした。


…「門」をきちんと通過した物は、所有者が使い終わった後は数日で消滅しますが

(元が絶滅生物調査用で、その動物が死んだら調査機も消滅させる仕様)、

「デスノート」みたいに「所有権を移譲」とかやったらどうなるか、

やってはいませんがそこに穴があるかな、と思いました。

実際、戦争終結時に敵に対し愛刀を譲渡した将校とかいたようですし、

まかり間違って「敬意を表し、このドローンを譲ります」とかされたなら………。

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[気になる点] 物だって同時代に2つあったらあかんやろww
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