#9異常と以上
俺とルシルはステータスボード、もと...
を覗きこむ。そこには、
サツキ・シンヤ 種族 ヒューマン
STR(腕力) S
DEF(防御力) S
INT(知力) S
AGL(敏捷性) S
DEX(器用さ) S
CRI(魅力、統率力) S
火 100
水 100
風 100
土 100
光 120 専用魔法 「ルバート」
闇 120 専用魔法 「アビリティロスト」
スキル
「は?」
「え?」
俺とルシルの反応は同じような感じだが、少し違う気がする。
お互いに間抜けな声がでて、顔を見合わせる。
ちなみに、は?といったのが俺で、え?がルシルだ。
え?別に聞いてない?知ってるよ。
とバカな思考に陥りながらをも現状を整理する。
各ステータスがSなのはデフォルトという名のチート。これは良い。
問題は魔法だ。
火と水と風と土と、ずば抜けて問題なのが光と闇だ。
分かりにくい?要するに、全部だよ。
一方、ルシルはというと、ステータスの方を見ていたので全てSなことに反応したのだろう。
「な、なあ、ルシル」
「な、なにかなー?シンヤ君」
心なしかお互い声が強張っている。
お互い笑顔だがとてつもなく硬い。
「ステータスは置いといて、魔法適性ってMAX何だっけ?」
「んーとね、ステータスも置いとくべきじゃないけどね、魔法適性のMAXは100だよぉー?」
「ダ、ダヨネー。後もう1つ。壊れてるとかってナイ?」
「ないと思うヨー?」
お互いにカタコトになり始めた。
頭に手をやりルシルにある提案をする。
「ルシル、落ち着くために1分間クールタイムをもうけよう」
「お、おっけー。おはは」
そして1分後。
「シンヤ君、落ち着いた?」
「ああ。ある程度」
「私もー」
1分は短いようで長い。
ちょうど良い感じに頭が冷えた。
「さて、ちょっと考えますか」
俺は、1分間で纏まった考えを話す。
「まずステータスだ。これはシスカが各ステータスAはあるだろうと言ってたから、まあ分かる」
「ま、まあそうだね。うん、誤差だよね。誤差だと良いなぁ」
ルシルが先程の俺のように異次元に意識を飛ばし始めたので引き戻す。
「それよりも魔法だよ!なにこれ、ちょっと、だいぶ、かなり、とても、全然意味が分からない...」
「それに関しては同感しか出来ないねー」
もうこの際100は良い。いや、良くないけどさ、
問題は他だよ。
「さっきも聞いたけど、MAXって100だよな」
「う、うん、そうだね。確か、多分」
「なんで120?しかも2つ」
「さ、さぁ?なんでだろうねー?」
流石のルシルもいつもみたいにのんきに笑っていられないようだ。
「ちなみに、今までにこの数字、もしくは100を越えた数字を見たことは...」
「あると思う?」
「ないんですね、分かります」
専用魔法を持っているほど適性が高いと100を越えるのかとも思ったけど、それならルシルが越えてないのがおかしいから違うな。
「あ、あとさ」
「う、うん。」
うん、分かるぞぉその気持ち。
触れたくないのが残ってるもんな。けど、俺は行くよ!新たなフロンティア!
「専用魔法って「あ、あーー、聞こえなーい」」
そんなに嫌?あ、うん、俺も嫌だわ。
「ルシル...俺も気持ちは一緒だ」
「じゃあ、止めとこ。そっと封印しよう、見なかったことにしよう」
「ああ、そうだな──」
瞬間、俺はメチャクチャ早口になる。
「専用魔法って1つじゃなかった?」
「ぐへぇ」
よし、勝った!
ステータスボード、もといなんちゃらには負けたが。
「...はぁ、違うよ。普通は1つ。異常」
ため息をついて、ルシルが話す。コイツ...異常と以上をかけてるな。普通に上手いし。
「言い方に悪意を感じる...あと、シャレを最後に言うな」
元から持ってたのが闇属性の「アビリティロスト」。んでもって、光のが、
「ルバート?ルシル、知って──ないですね。分かりました」
聞こうとしたらジト目で睨まれた。
ひぃ、怖可愛いよぉ!
...どしたの?俺?
変な物を立て続けに見すぎて頭がおかしくなったか?と、考えれているので大丈夫そうだ。
「なあ、ルシル。家で見ない?」
シスカがいてくれた方が良さそうだ。兄妹だから以前の俺についても詳しいはずだし、何より、冷静なのがありがたい。いや、朝は年相応の感じもあったか。
「うん、そうしよ」
と、そんな俺の考えを見抜いたのかルシルが頷く。
じゃあ、行きますか。俺とルシルは帰路に着く。
帰り際、ヒルデさんに話しかけられたときに二人して挙動不審だったので変に思われているだろう事をここに書いておく...
お読みいただきありがとうございます。作者の鈴村嵐夢です。はい、お決まりの挨拶がすんだところで、この作品についてです。今回のお話で魔法適性も高いことが分かりましたが、この作品は俺tueee系にするつもりはありません。
戦闘シーンは出てくるには出てくるのですが、無双系ではないですね。
この作品は色々な場所に伏線を張り、そういうことか!と読者様に言わせるような作品を目指しております。
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