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al fine─アルフィーネ─  作者: 鈴村嵐夢
一章家族の思い
8/23

#8ファッションセンス

シスカに見送られて、俺とルシルは教会を目指して家を出た。のだが、


「なあ、教会ってどこにあるんだ?」


「んー、この町の真ん中位かな」


「それって、行くまでに町人とすれ違う?」


「あー、うん。そうだろうね」


マジかぁ...

思わず昨日の町での出来事が思い浮かぶ。


「それ、逃げられない?」


「ん?大丈夫大丈夫」


大丈夫?怯えられてても気にしなければ良い的な?


「はい」


ルシルが服を渡してくる。


「これを着れば良いのか?」


「うん」


こんな服着たところで変わらないと思うんだけど。まあ、大人しく着ておこう。


「この服着たところで何が変わるんだー。って思ったでしょ」


「ああ」


「この服、実はね───」


まさか魔法が編み込まれていて、他人からは違う人に見えるとか──


「オシャレなの」


じゃなかったよ。え?なに?オシャレ?

確かにカッコいい服だけどさ。

これで何が大丈夫なの?


「いや、聞いてくださいよシンヤ君。記憶がなくなる前のシンヤ君ね、壊滅的にファッションセンスなかったの。奇抜ではないんだけど、地味なのばっかり」


「は、はぁ」


だから何だって言うんだ?


「それで、私は何回もオシャンティな服を勧めてみたのでありますよ」


あ、口調が変わった。


「まあ、全て却下されたんだけどね。だけど!今のキミは違のでおじゃるよ!」


今度はおじゃる言葉。


「話は分かった。おーけー、理解した。服を着るのは良い。けど、なんで今?」


服だったら、朝に話しても良かったはずだ。

なぜこのタイミングなのだろうか?


「いやー、服が壊滅的に地味な人で、ましてやその人が怖かったらさ、ね」


ああ、町の人が怖がり易いと。けど、


「今の服、ヘンかな?」


「んーん。全然」


ルシルが首を横に振る。

え、それなら別に着なくても良かったんじゃ。


「私の趣味というかなんというか」


「はぁ、まあ良いや、行こう」


要するに着せたかっただけだと。なんか、めんどくさいからもう良いや。そう思い、俺は歩き出す。


「あ、ちょ、待ってよー」


ルシルが走って後ろから来るので、待ってから出発。




歩き始めてから数分。

「...ひっ」


...いたるところから同じような悲鳴が聞こえて来る。いや、昨日みたいに逃げ出されないだけましか。

しかし、これはちょっと真剣にイメージアップしないとまずいな。怖がられたまま過ごすのは居心地が悪い。


「はい。とーちゃーく」


ルシルの声で現実に意識が帰ってくる。

どうやら、異次元に俺の意識が飛んでいる間に教会についたようだ。


中に入ると、シスターさんが出迎えてくれる。

みたところ、俺達以外に人はいない。

良かった無駄に怯えられなくて。いや、シスターさんも怯えるのでは...!?


「ようこそいらっしゃいました。本日はどのようなご用件で」


と、そんな心配は必要なく、優しい笑顔で出迎えてくれた。ヤバい、泣きそう。


「ステータスボードの作成をしたくお伺いさせていただきました」


「ステータスボードですね。分かりました。ルシル、あなたははどうされますか?」


あれ。ルシルのこと知ってるのか?


「ヒルデさん、今日はシンヤ君についてきただけなの。あ、シンヤ君がお祈りしてくなら私も一緒に」


ルシルも普通に話しているし、知り合いだったみたいだな。


「失礼ですが、二人はどのような関係で?」


「あ、それはですね「私よくここの教会でお祈りしてて、それで仲良くなったの」」


「...はい。その通りです」


いや、そんな食い気味に答えなくても。ヒルデさんちょっと引いてたよ。


「そうなんですか」


「えっと、ではステータスボードをお作り致しますので、こちらの部屋へ。ルシル、あなたはそこで待っていてください」


「あれ、一緒だとダメなんですか?」


「いえ、ダメではありませんがステータスボードは個人情報が多いので。シンヤ様が問題ないのでしたら大丈夫です」


「そうですか。俺は別に良いけど、ルシル、どうしたい?」


1人待たせるのも何か悪いし、とりあえず聞いてみる。


「なになにー、シンヤ君、私と離れるのがそんなに嫌?」


ここぞとばかりにルシルが仕掛けてくる。

だが、ここで狼狽える俺じゃない。


「よし、ヒルデさん、行きましょう」


無視だ。よし、行こう。


「わー!待って、行く!行くからー」


ルシルが走ってこちらに来る。

素直にそう言えば良いものを。


部屋の中に入った俺達は、ヒルデさんがボードを取ってくるのを待っていた。


「お待たせしました。では、こちらのボードに手をかざして頂けますか?」


ヒルデさんが持ってきたのはボードというか、カードだった。ポイントカードやクレジットカード位のサイズの。


「はい。分かりました」


手をかざすと、ボード、もといカードが光だす。

光が一際強くなった後段々と光が弱まり、完全に消えた。


「はい。ありがとうございました。これで完成しました。私は戻りますね。ここでステータスを確認していただいても良いですし、家にお帰りになってからでも構いません」


ステータスは個人情報と言っていたのでそのための配慮だろう。

ヒルデさんが部屋から出ていく。


「どうする、ルシル。ここで見てくか?」


「キミのだから私に判断委ねられてもね...」


「それもそうか、じゃあここで見てくか」


ということでここで見ていくことにした。

まあ、ステータスがSなのは分かってるし、確認といっても魔法適性とか専用魔法とかスキルとか、そこら辺を確認するだけなんだけどね、まあ、俺の才能がここで分かると。


俺は期待を胸に、ルシルは興味津々といったい感じでステータスボード、もといステータスカードを覗きこんだ。






お読みいただきありがとうございます。作者の鈴村嵐夢です。

先日、150pvを達成致しました。

始めて1週間で150人もの方に読んでいただけてとても嬉しいです。

もっと沢山の人に読んでいただけるよう、これからも頑張っていこうと思います。

更新情報などはTwitterにて報告させていただいています。作者ページにリンクが貼ってあるので、そこからフォローよろしくお願いいたします。

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