#4確かな無関係の繋がり
「どうぞどうぞー」
ルシルが許可をだし扉が開く。
一体誰だ?とは言っても、俺が知っているのはルシルとセバスさんだけだ。
つまり、セバスさん以外だと誰も知らないわけで、
「失礼します」
少女がペコリと礼をして入ってくる。
「おいっすおいっす~。シスカちゃん♪」
...やっぱり『おいっ→す↑おいっ→す~↑』なるようだ。
っと、そんなことは置いておき、今は新たに現れた少女のことだ。
見た目は中学生位か?髪型はサイドポニー。
ポニーの部分、というのか?それを右に作り左側はストレートになっているようだ。瞳の色は黄緑。
「...お帰りなさいませ。お兄様」
なんだ、今の微妙な間は...
「あ、ああ。というより、キミは?」
「彼女はシスカちゃん。シスカ・サツキ」
ルシルが答えた。
「ってことは俺の...妹?」
流石に姉には見えないし、お兄様と言ったので間違いないだろう。
「...その通りです。お兄様。私はあなたの妹です」
「ああ、うん、そうか」
一つだけ気になることがある。セバスさんやルシル、今あったシスカも俺が以前から居たと思っている。
神様が身分的なのもを用意してくれたのか。
もしくはとても可能性が低いが同姓同名で、顔も似ているそっくりさんがいる。
さっき言ったように、後者はとても可能性が低い。天文学的数字のはずだ。だが、前者にも問題がある。それは遺伝だ。
瞳の色は無理矢理だが突然変異ということにしよう。だが...
「なあ、シスカ?俺とキミは、血が繋がっているか?」
まずは確認。
「はい。同じ親から産まれ、同じ環境で育っています」
確証が得られた、次は
「髪の色って遺伝するよな?」
「...?すみません。遺伝とは?」
「ああ、遺伝は親から子に外見的特徴等が伝わることだ」
生物学的には違うかもしれないが、今必要な情報は外見的特徴だけだ。
「そういう意味なら、瞳の色はお母様に、髪色はお母様、お父様、共に金色ですので、どちらからかは分かりません」
そう、そこが問題なのだ。シスカは金色、俺は黒なのだ。
表情の変化が乏しく、とても分かりにくいが、なぜそんな事を聞くのか不思議がっているな。
「ああ、ごめんな。シスカの髪も金色だろ?」
「はい。そうですね。ですが、お兄様も、ですよね...?」
「...へ?」
驚いて情けない声が出る。
俺が金髪?髪染めたっけ...?いやいや、俺が通ってた高校は染めるのは禁止だ。
「ルシル、鏡あるか?」
俺は頭を抱え下を向いたまま、暇そうにしていたルシルに聞く。
「ん?鏡?ちょっと待ってて」
ルシルは部屋から出ていき、数秒経って、手鏡を持って戻ってきた。
「はい」
「おお。さんきゅー」
ルシルから鏡を受け取り、自分の顔を覗く。
バタン。机に顎をのせ脱力。
おおぅ...確かに金髪だよ。
「ホントに金だし...」
「何色だと思ってたの~?」
「くりょだひょおもっひぇた。あひょしょえやへぇて」
ルシルに正面から両頬をつつかれる。
「ええ~、残念~。」
愉快そうな笑顔で残念とか、全く思ってないだろ。
てかそうだよ。神様だ。俺の髪色変えるくらい造作もないだろ。
「ええっと。聞きたいことはまだありますか?」
シスカが困惑気味に聞いてくる。
「ああ、大丈夫だ。ありがとな」
体を起こしてシスカに答える。
そういえば、俺しか質問してないけど、
「そういえばシスカ、部屋に来たってことは何か用事があったんじゃないのか?」
「...いえ、私はお兄様が帰ってきたと聞いて様子を見に来ただけなので」
またこの微妙な間。何なのだろうか?
「そうなのか」
「はい、以前のお兄様とはまるで別人です。いえ、...」
「シスカ?」
「あ、いえ、何でもありません」
「そうか。以前の俺ってどんな奴だったんだ?」
「あ~。それはねぇ...」
何で言いづらそうなんだよ。
コンコン。扉がノックされる。
「あ、はい。どうぞ」
俺が許可を出すとメイドさんが入ってくる。部屋の前にいた人とは違うな。
「シスカ様、そろそろご就寝のお時間でございます」
「あら、もうそんな時間でしたか。お兄様、ルシルさん、お話の続きは明日でも良いでしょうか?」
「ああ、俺はいいよ」
「私も大丈夫だよー」
「では、明日でお願いします。失礼します」
「おう、おやすみ」
「お休み~」
ルシルはフリフリと小さく手をふる。
「さて、私も戻ろうかな。じゃあね、シンヤ君♪」
そう笑顔で言い残すと、目の前から消える。
「なんだよ、これ。魔法?」
ルシルはいなくなり、部屋には俺と窓から吹き込
む風だけが残っていた。
「シスカ様、シンヤ様のご様子は...」
後ろについているメイド、アイナが私に問いかける。
「まるで別人ですね。別人だと言われた方が納得が出来るほどに。それとも...いえ、何でもないです」
「そうですか。ではごゆっくりとお休みください」
「ええ、お休み、アイナ」
アイナが出て行き、私はベットに入り、枕に顔を押し付ける。
「...なんで、なんで今さらシスカと呼ぶのですか...あにぃ」
暗闇の中で静かに、ひっそりと、感情が瞳から零れ落ちる。
さて、4話も読んでいただきありがとうございます。今回は新キャラ、シスカ・サツキの登場回でした。
昨日は初めて評価していただけ、一人深夜で発狂していました。評価してくださった方にとても感謝しています。
シンヤと深夜でかけたことに気づいた人はいたのでしょうか?笑
作者の鈴村嵐夢です。昨日Twitterで聞かれたのですが、嵐夢は「らいむ」と読みます。
作品に関する質問などはTwitterの方が返信しやすいのでDMに送って頂けると幸いです。