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al fine─アルフィーネ─  作者: 鈴村嵐夢
一章家族の思い
2/23

#2異世界との邂逅

「ん、んぁぁ」


俺は体を起こす。

目の前の景色は、目を疑う程の───木。


「知ってたとも...説明受けたし。」

神様からの説明で森に落とされることは決まっていた。それに、まずは町に向かうことも。


「こんにちは、異世界。ハロー俺の新しい人生」

けど、何とも悲しいな。はたからみたら木に喋りかけてるヤバイやつ。


「ってことで早速行きますか。確か大きな山と反対方向へ。だっけな」


切り替えが早いのはいいことだ。

そして俺は歩き始める。









1時間ほど歩いただろうか遠くに町が見えてきた。いや、正確には壁だ。


「異世界に来て初めての町、新しい出会い...」


遠くの町に胸をときめかせ、歩みを進める。

だが、遠くばかり見ていると、足元が疎かになるのはよくあること。そして俺は


「.....へ?」


見事に疎かになっていたのだ。






「.........ー?」


「お..だ..ょ..ー?」


誰かが俺を呼んでいる。叔母さんか?それとも従妹の乃衣だろうか、それとも母さん。

いや、それはないか、母さんの声も知らなければ顔も知らない。俺が母さんについて知ってるのは、俺を施設の前に置いていったことだけだ。


「おーい。大丈夫ー?」


「...ん」


「あ、目が覚めたみたいだね。良かった良かった」


だけど、もし母さんなら、なんて、淡い希望を抱いていたからか


「...母さん」


なんて言葉が出てしまったのは。


「違うよ?」


「あ、ごめん!!」


顔がただでさえ近いのに更に近くなる。

そして膝枕されていたことに気付きすぐに飛び退く。

ついでに1歩下がっておく。


「あはっ。目が覚めたみたいだね。大丈夫?」


「確か、町を見ていたら足元が...」


「服を来たまま湖に入るなんて、そんなに暑かったの?」


愉快そうな笑顔で訪ねてくる。

少しドキッとしてしまったのは、この子が美少女だからに違いない。


「は、入りたくて入った訳じゃないんだ。町を見てたら。それに崖があって見えなかったから」


「あはっ。崖から落ちるのもどうかと思うな~。それに顔赤いよ?大丈夫?」


その可愛い顔で笑顔になるからだ!!と言いたいのをグッと飲み込む。


「ごもっとも。...というか、キミは誰?」


全く見覚えがない。

まあ、異世界に来たばかりだし。たとえ異世界でなくとも整った顔立ち。赤というよりピンクよりの髪色。

その髪を綺麗に伸ばして後ろ髪真ん中の一部を両耳の上で髪飾りで止めていてアホ毛が前髪にかかっている。

そして澄んだ青色の大きい瞳。こんな美少女がいるとは思わない。


「...あ~...そっか。うん、そっか...じゃあ、また後でね。ばいば~い」


「え、あ、ちょ!」


慌てて立ちあがり少女に手を伸ばす。

そして俺が掴んだのは、風だけだった。


「何だったんだ?夢?は、まさか幽霊!?」


昼間に出る幽霊とか...いるか?いや、いないか。


「まあ、いい。とりあえず当初の目的通り町に行こう」


俺は歩みを進める。幽霊等と言っていたが言葉とは反対に心はとても楽しんでいた。











「...町に着いたのはいいんだが」


「ひっ...!」


さっきからこの繰り返しだ。道を尋ねようにも、何故か逃げられる。


「俺、そんなに怖いか?」


「あ、い、いたぞ!!」


後ろで何か騒いでるな。

振り返ると何人かの兵士がこちらを指差して叫んでいた。そして走ってこちら側に走ってくる。


「ん?この通り、俺しかいない...」


そう、皆俺から逃げたのでこの通りは俺しかいない。


「...ってことは、俺かよおぉぉぉぉ!!」


瞬間、俺は逃走を始める。


「お、お待ちを!!」

兵士に追われていて待てと言われて待つ奴がいるだろうか。

というか敬語で追いかけてくる兵士って...


「!!ここだ!」


俺は路地裏に飛び込み息を殺してしゃがみこむ。


「ここでやり過ごすか」


「何を?」


「そりゃあ、って、え?」


自然に話しかけられたので返してしまったが、慌てて後ろを振り返る。


「おいっすおいっす~」


湖での少女が笑顔で敬礼して立っていた。


「え、キミは!?」


「で?どうしたの?」


「え、あ、いや、何か兵士に追われていて...」


「...あ~そっか。そうなるか~」


「頼む!助けてくれ!へるぷみー!」

この通り!と頭を下げて目の前で手を合わせる。


「あ、うん、いいよ。キミのお願いだしね。あはっ」


見とれている間に少女動き出す。


「首キャッチ」


「は、え?何をして」


「首キャッチだよ?」


「いやいや、意味が」


「いっくよー!」


それを合図に通りへ飛び出す。

そして、丁度兵士が到着する。


「はぁ、はぁ、あ、ありがとうございます!!」


「いえいえ~」


背筋を伸ばして礼を言う兵士に対し、自然体で返す少女。


「そちらのお方をこちらへお渡し頂けますでしょうか!」


「はいは~い」


少女の手が首から離れる。全力で逃げようかとも終わったが、後でニコニコしている少女が怖い。

ここは大人しくしておくか。


「では、着いていて頂けますでしょうか。」


「あ、私はもう行くね。兵士さんに逆らったらダメだよ~」










「でっかあぁぁ...」


俺は兵士に連れられて滅茶苦茶デカイ豪邸に連れてこられた。


「では、中へどうぞ」


兵士が扉を開け、俺は恐る恐る中へ入る。

すると、


『お帰りなさいませ!!シンヤ様!!』


...え?


読んでいただき、ありがとうございます。

謎の少女に謎の豪邸。

シンヤに何が待ち受けるのか───

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