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al fine─アルフィーネ─  作者: 鈴村嵐夢
一章家族の思い
1/23

#1恥ずかし?恥ずか死?

─???─

「あああぁぁぁぁぁぁぁ!痛い痛い痛い痛...くない!?」

は?...いや...は?

うん、何が「は?」かって皆が聞きたいよな。

俺も聞きたい...

「何一人芝居してんの...俺」

とりあえずむくっと体を起こす。

辺りを見渡すと真っ白な世界が続いている。

「何処だ?」

俺が最後に見た景色は教室のはずだ。そこでクラスメイトのの花咲さんに告白して...

「ああ!」

思い出した...そうだ!あの時───



────────



目の前に花咲舞さんが立っている。


「す、好きです!付き合ってくだひゃい!!」

一世一代の告白。はい、詰んだ。ヤバいヤバいなんだよ「付き合ってくだひゃい」って声裏返ってるし...もうやだ...死にたい...

自己嫌悪にはまっていると花咲さんが口を開く。はぁ、振られるなぁ。


「あ、あの、皐月くん...そ、その...//」


花咲さんが目線を反らす

え、なに恥ずかしがってる。あらやだ可愛い。もしかして花咲んも俺のこと───


「あ、開いてます」

「ふぇ?」


予想外の言葉が発せられて間抜けな声が出る。

あいてる?何が?あなたの隣ですか?


「そ、その、チャ..ッ...ク//」


違いますよね、はい。知ってました。

それはそうとチャック?制服についてるチャックなんてズボンの...

俺は自分の股間を見る。あー、開いてますね、はい。

俺は急いでチャックを閉める。


恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかし痛い!?

え、なにこれ、全身が痛い...

「え!?さ、皐月くん!?」


倒れた俺に慌てて花咲さんが駆け寄ってくる。

焦った顔も可愛いな...

「皐月くん?!なっ、なに言って...//」

...声に出てました。ガクバタッ




────────


「...ダサすぎる、恥ずかしすぎて気を失うとか...」

ん?けどなんで全身が痛くなったんだ?それにこの場所は...

「その理由は私が説明しようかの。」

「はぁい!?」


声が聞こえて勢い良く前を向くと、一人のご老人が立っていた。

いつからいたんだ...さっきまではいなかったぞ。


「君が思い出している時に来たのじゃよ」

心読まれてるし。


「この程度ことは造作もない。それよりも今は君のことじゃ。」

造作もないって...。老人に向けて訝しげな目線を送ると老人が咳払いをして話始めた。


「落ち着いてきくのじゃぞ。君は...死んだのじゃ」

あー、そっかー、死んだかー、うん。...え?

はいいいいぃぃぃぃ?

「ほっほっほっ、面白い青年じゃのう」

ノリツッコミをしてしまったのはいつもの癖で、まだ現状に頭が追い付いていない。老人はお構い無しに話を続ける。

「そして死因じゃが...恥ずか死じゃ」

恥ずか死?恥ずかしいだけでで死ぬもんなのか?やっと追い付いてきた頭をフル回転させる。


「ありえるのじゃよ。恥ずか死。医療の方では愧死というそうじゃ」

心をさりげなく読まれているのを無視して考える。

多分恥ずか死というのは全身が痛くなったあれだろう。直前に死ぬほど恥ずかしい思いをしたし。


「それであっておるぞ」

何処から出したのか湯飲みをすすりながら老人が言う。

あれであっているのか...突っ込まないぞ。

「現状は理解出来たかね?」

頭では理解しているが現実感無いな、死んだって言われても。


「理解できておるのなら良いのじゃよ。時々認めない奴もおるのでな。何か聞きたいことはあるか?」

いや、突っ込みどころ多すぎて何処から聞けばいいのか分からんわ!という突っ込みを抑える。


「んー。そうだな、まずあなたは誰なんですか?そして此処はどこです?」

とりあえず、一番気になることを聞いておく。

「人間の表現に合わせると神様かの?そして此処は天界ということになる。...のか?」


いや、聞かれましても。

最も大きい疑問が解消されると次に気になるのは。


「花咲さ、俺が死ぬとき一緒にいた女の子はどうなんだ、ですか?」

目の前で俺が死んだわけだし気にならない筈がない。

「無理に敬語を使わんで良い。普通に話して良いのじゃよ。

女の子は酷く動揺しておったが無事じゃよ。...一応じゃが。」

「よ、良かったーー!!」


体から力が抜けその場に座り込む。

花咲さん、ごめんなさい。迷惑かけて...

最後の方にボソッと何か言った気がするな。


「なあ、最後の方何か言った「さて、君には選択肢がある」」

...話逸らされたか?

「記憶を消し一からやり直すか、異世界に転生するかじゃ。じゃが転生はの───」

「転生でお願いします」


話を逸らされたという考えは次の瞬間弾けとんだ。

例えるならばポップコーンのような。

夢の国も驚くかもしれない。いや、ない!!


「よ、良いのか?まだ説明も「転生で」」

「わ、分かった 。転生じゃな。では説明をしよう」

神様が引いている気がするが気にしない方向でいこう。


なんといっても異世界転生は俺の夢だからな!

え?中二病っぽい?結構です!!


「まず、君と邂逅する異世界は君の世界ほど文明が発達していない。おおよそ君の考えている異世界とおなじじゃ」

かいこう?開校?KA☆I☆KO☆U?

魔法はあるんだろうか?


「はぁ。...邂逅とは出会うという意味だ。そして魔法はある。そう慌てるな、順番に説明するからまずは聞いてくれ」

ため息いただきましたー。止めてくれよ、お爺さんのジト目とか需要ないって。


「...まず、異世界に行ける人間は条件がある。その条件は神でさえ可哀想だと思う出来事に見舞われた者じゃ。君の場合亡くなり方じゃの」

「そんなになんだぁ!?」


神に同情されるレベルの死に方ってなにそれ凄い!

まあ、俺の話だけどね、うん。


「まあ、やり直しの機会を与えようということじゃな」

その後も魔法やスキル、魔獣の存在など───まあ、色々教えてもらった。わかってはいると思うが全てを覚えてない事をここで言っておこう。


「さて、皐月信也くん。もう一度聞いておこう。異世界転生をしたいか───」

「ああ!」

期待に胸を膨らませ、堂々と宣言する。

食い気味になったのはお茶目な一面として許してほしい。

信也くんったらかーわーいーいー。...なにしてんだろ。


「では、何か望みはあるかね?」。

「何でもいいのか?」

「勿論じゃよ」


何でもいいって困るよなぁ。気分はさながら母親だ。

だがしかぁし!!

常日頃から異世界に行きたいと思っていたんだ。頭が可笑しい?結構ですが?

俺流模範解答は


「ステータスをSランクにしてくれ!」


そう、ステータス強化だ!

ステータスは高い方が有利だ。ゲームでもステータスの振り方で特徴がでる。因みに俺はスピード重視だ。...話が逸れた、皆一度は考えたことがあるのではないだろうか。全てのステータスをカンストすれば最強じゃね?と!

え?無い?マジですかそうですか...


「...」


え、何で無言?

「お、おーい?神様ー」


「...」


へんじがない。ただのしかばねのようだ。

「そんなんでいいのか?」


屍ではないようだ。

「いいもなにも、俺流模範解答だったんだが」


「...欲がないのか?いや、ただ馬鹿なだけなのじゃろうか?死に方をあれじゃし。そうじゃな、馬鹿だ」


神様が下を向いて何かブツブツ言っているが無視でいいだろう。

難聴系主人公になれるかもな!

「容姿に関して要望はあるかの?」


「いや、このままでいい。イケメンにしてくれるなら考える」


「...お主は容姿は整ったほうじゃろう。そんなことを言っておると刺すぞ」


刺されるじゃなくて刺すなのが怖い。それに死んでるのに死ぬのか?


「なんじゃ刺してほし「結構です。いや、ほんと、すんません」」


「では送るぞ」


無視ですかそうですか

神様の一言で淡い光に包まれる。...スゲーなこれ。


「あー、うん。...は!?え!?今から!?タンマタンマ!」


「君の人生が良いものになるよう祈っているよ。達者でな」


「無視かよおぉぉぉ!!」


「君と異世界との邂逅に祝福があらんことを」


光が一際強くなり世界が真っ白に染まる。...元から白かったわ。ここ。




────────


「もう良いぞ」


誰もいない、何もない、ただ白が広がるだけの空間へ話しかける。そのはずが、先程の場所には少女が立っている。


「どうじゃったのじゃ?彼は」


「おおよその予想はしていましたが、やはり変わっていませんね」

容姿には似合わないとても落ち着いた声、落ち着いた喋り方。


「そうであるか、して、お主はどうするのじゃ?少々面倒なことになっておるが」


「うふふ、神様?」


少女は愉快そうに笑う。そう、年相応のように無邪気に。


「良いのか?お主の記憶は消える。絶対に」


飄々とした態度をやめ、真剣な表情で問う。


「女性は、好きな男性と添い遂げたいと思うものですよ?...そう、何度でも」


「分かった。お主の気持ちを尊重しよう。じゃが、あの娘のことも考えるのじゃぞ?」


そして世界が光に包ませる。白から光の世界へと。

光が徐々に消えていき、やがて完全に消え失せる。

そこには真っ白な世界が広がっていた...


読んでいただき、ありがとうございます。

鈴村嵐夢と言います。

感想頂けると狂ったように喜ぶので是非お願いします。

さて、物語の主人公、皐月心也。彼は告白するときにズボンのチャックが空いていましたが実は作者の体験談だったりします。

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