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早期退職(強制)

 長い有給を終え久しぶりに会社に出勤すると、他の部署の社員に白い目で見られた。 自分の部署に入室すると中には誰も居らず、部屋には自分の机が一つあるだけだった。 現状に唖然としていると後ろから声を掛けられた。


「やっと来たのかね……待ち兼ねたよ」


「部長、これは一体?」


「この部署は解散したよ」


「解散?ですが、納期が近い案件があったはず……」


「それはもういいのだよ」


「もういいって……それに、みんなは?」


「皆、会社を辞めたよ」


「辞めた?」


「そう、ほら君にもサインをしてくれたまえ」


 そう言って部長は1枚の紙を渡してきた。


「早期希望退職?」


「そう、我が社は大きく方針を変えた。 それに伴い社員を減らすことにしたんだよ。 だから、早くサインしてくれないかね?私は忙しいのだよ」


「リストラ……」


「勘違いしないで貰えるかな。 これは会社と君にも利益があるんだ。 ちゃんと退職金は出るし、早期希望退職だからクビじゃないから次の仕事も探しやすい」


「退職金……2000万!?」


「そう、この額は破格だよ。 こんな優遇は普通はないんだ」


 退職金で2000万……しばらくはダンジョンに引き込もっても生活をしていけるだけの金額。 今は仕事よりダンジョンだな。


「分かりました」


「そうか、なら早くサインを」


「はい」


 部長から紙を受け取りもう一度中身を確認してその場でサインをした。


「ふむ……ありがとう。 本日付で退職だから、今日中に私物の整理を頼むよ。 退職金は給料日に振り込まれるから確認してくれたまえ」


 そう言って部長は去っていった。 早速、机に残っている私物を回収、といってもほとんどが会社の物で私物はあまりなかった。

 私物を手持ちのバックに押し込み部屋の入口に立ち、振り返り空っぽになった部署を見つめる。 辛かった思い出しかないけど、これで終わりだと思うと少し寂しく感じた。



 昼過ぎに帰宅し、今日のダンジョン探索の準備とこれからの予定について考える為、ステータスを確認しにダンジョンに向かおうと考えた。 その時、ダンジョンの中でしか見ることが出来ないはずのステータスが表示されていた。


「え? ……ステータスが見れる?」


 ニュースやネット、政府からの発表等でステータスはダンジョンでしか確認出来ないと言われていた。 もしかして、ステータスはダンジョンでしか確認することが出来ないと思い込まされていた?

 思えばネット等で調べても検索結果はいつも同じだった。 これは、意図的に情報操作されていると考えた方が良いかもしれない。


「と、言うことは……『光源』」


 スキルをイメージしダンジョン内と同じようにやってみると、部屋の中を明るく照らす光源が現れた。 ダンジョン内で使用した場合のスタミナ消費は10だったが地上での使用に差があるのか確認するためにステータスを見る。



名前 間崎聖人(かんざきまさと)

称号

生還者       2/100 効果 微

ファイアーマン 3590/5000 効果 小


スタミナ  90/100


スキル

光源 火 地図 自動書記 鑑定 固定 遅延


スキルポイント    90P




「ふむ、スタミナ消費は変わらずか……つまり、ダンジョンと地上に境目は無い?」


 状況証拠はその可能性を示唆していた。 これは、お約束スキルの『アイテムボックス』や『空間収納』、『ストレージ』等が地上で使えるかもしれない。


「これは……世界が混乱するな」


 ま、しばらくは食料を買い込みダンジョンと家に引き込もる予定だから他人に知られる恐れは少ないはず。 だが、地上での使用は控えるべきだな。

 ふと、確かめたいことが出来たからベランダに出て、ポケットから何も付けていない使い捨てライターを取り出した。 身体から離し火をつけると、火力調整のツマミを最低にしていたにも関わらずライターの火は15㎝程の火がついた。


「称号の効果もあると……」


 ますますダンジョンに引き込もらないとダメだな。 部屋に戻りもう一度ステータスを確認した。



名前 間崎聖人(かんざきまさと)

称号

生還者       2/100 効果 微

ファイアーマン 3590/5000 効果 小


スタミナ  90/100


スキル

光源 火 地図 自動書記 鑑定 固定 遅延


スキルポイント    90P


習得可能技能 アイテムボックス 空間収納 ストレージ



「収納系スキルが表示されたな。 とりあえず説明を」



アイテムボックス    500P

対象物に使用する(複数に使用出来ない)と内部に仮想空間を作成し、収納量を増加させる(時間経過有り。生物不可)

※使用者が死亡すると効果が消滅し内容物は外に排出される。



空間収納        5000P

スキル使用者を基点とし異空間を形成し座標を固定。 対象物を保存する(時間経過無し。生物可)

※スキル使用者が収納物を失念すると取り出せ無くなる。



ストレージ       50000P

スキル保持者の記憶装置にアクセスし補助記憶領域を作成、拡張する。(時間経過無し。生物不可)

※特定のスキルを保持している場合、ストレージ内にて使用可能




「色々ツッコミどころ満載だが……ダンジョン探索には必須スキル」


 しばらくは浅い階層を周回し、退職金を受け取り、収納系スキルを習得。 目標達成の為に行動を開始することにした。




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