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第二階層

 有給最終日。 2階層に向かう為、今日まで周回し自身を強化してきた。 その結果がこれだ。




名前 間崎聖人(かんざきまさと)

称号

生還者 2/100     効果 微

ファイアーマン 3578/5000 効果 小


スタミナ  100/100


スキル 光源 火 地図 自動書記 鑑定


スキルポイント    108.6P




 ステータスを確認したので、早速ダンジョンに潜り最速で1階層を踏破し2階層への階段を降りた。

 階段を降りると1階層と同じように広い部屋があった。部屋の中を探索すると1階層と違い、土で作られた壁や床に見えた。 1階層が遺跡なら2階層は洞窟っぽい感じがする。 慎重に通路を進むと、視界の先に黒っぽい塊とゆらゆらと忙しなく動く棒が2本、光源が照らし出した。

 突然の発見に驚き、立ち止まってしまった。 その間も黒っぽい塊はこちらに近づいて来る。 塊が近づき光源が正体を照らし出した。


 それは、ネズミ同様に巨大化した蟻だった。 棒に見えたのは触角。 体長は自転車位の大きさだが、顎が発達しているのか非常に大きな顎をしていた。

 通路で戦うには避けるスペースが無い。 その為、後退りしながら部屋まで後退する。 だが、奴はまだこちらを見つけていないみたいで通路でうろうろしていた。



「そうか……蟻の視覚はあまり見えないとか。 餌を探す時は行き当たりばったりだと聞いたことがある」


 奴はまだ通路にいたが、あの顎に噛みつかれたら腕くらい簡単に噛み千切られそうだ。


「どうやって誘き寄せるかだな」


 思案していると、奴は通路の形を理解したのか一直線にこちらに進んできた。


「ん!」


 奴との距離が縮まったが、慌てず右手に持ったライターを奴に向けた。


 称号で強化されたアタッチメント付きライターは果物ナイフ位の長さの炎を吐き出す。 炎の温度はどのくらいか推測不能な位に強化されていた。 一階層のネズミなら一瞬で炎が肉を貫通する。


 奴の顎が触れる寸前に不可視の炎が表面を焼き始めた。 奴は苦しみ頭を振るが、炎に触角が触れ片方の触角が焼け落ちた。

 炎が奴にも効果があるのを確認出来たので、左手のライターも使い一気に押し込んだ。 奴の頭の表面が炭化していき内部を炎が焼いていく。 感覚で2秒、頭を焼かれた奴は崩れ落ちた。



 初めての相手に戸惑いはあったがなんとか撃退。 そのまま探索を続けると次の部屋で今度は5匹の蟻が部屋の中央で集まっていた。


「一度に5匹は相手にするのは危険だな」


 なにやら蟻達は集まったままクチャクチャと何かを咀嚼している音を響かせていた。


「ふむ……」


 奴らを一度に退治する方法を通路で観察しながら考えていた。 しばらくして方法は1個思いついたが、一抹の不安が頭をよぎる。

 このまま考えていても仕方がないので実行することにした。 ステータスを確認し新たなスキルを習得する。




名前 間崎聖人(かんざきまさと)

称号

生還者 2/100     効果 微

ファイアーマン 3579/5000 効果 小


スタミナ  100/100


スキル 光源 火 地図 自動書記 鑑定


スキルポイント    109P



習得可能技能  固定 遅延




「よし……後は習得できるか」



固定       30P 習得しますか?


遅延       50P 習得しますか?




「ポイントは足りているが、やってから後悔するか」




名前 間崎聖人(かんざきまさと)

称号

生還者 2/100     効果 微

ファイアーマン 3579/5000 効果 小


スタミナ  100/100


スキル

光源 火 地図 自動書記 鑑定 固定 遅延


スキルポイント    29P




 未使用の使い捨てライターを取り出し遅延スキルを発動。 火のスキルを5秒後に発動するようにし、スキルの発動場所を使い捨てライターに固定する。 後は、称号による強化がこの行為にどのような影響があるか想像がつかない。

 スキルを発動し終えたライターを奴らが集まっている中心付近に向かって投げた。



5……

4……

3……

2……

1……



「スキルが発動したはずなん」



 直後、凄まじい爆発音と衝撃が襲い、瞬間的に目を閉じしゃがみ込んでしまい状況を把握出来なかった。 しばらく耳鳴りがして何も聞こえない状態だったが、蟻達がどうなったか確認する。 部屋の中央にいた蟻達は木っ端微塵になっていて、周囲に奴らの肉片がそこかしこに散らばっていた。

 爆心地は床が抉れていて、その破壊力の凄まじさを物語っている。



「ふむ……想像以上の威力だな」



 使い捨てライターがなんちゃって手榴弾になってしまった。 部屋の中で思案していると、入ってきた通路とは別の通路から新たな蟻が現れたが即座に対処し次の行動に移った。

 複数の個体に対する範囲攻撃が可能になったので、探索を続けることにした。 3階層への階段を見つけるまでに通路で遭遇した回数は5回、いずれも単体での遭遇だった。 複数の蟻との戦闘が10回、最初のように集まっておらずバラバラに部屋の中を動き回っていたので各個撃破していった。

 3階層への階段まで進んだが、慣れない蟻との戦闘で緊張が続いたので、集中力が切れる前に探索を止め帰宅することにした。


 その帰り道、2階層の全てを探索したつもりだったが、未探索の通路を発見した。 慎重に進むと小さな部屋があり、その中央に宝箱があった。 ダンジョンを探索し初めて発見した宝箱。 喜びに打ち震えたが、それと同時に不信感も芽生えていた。

 こんな上層階に宝箱。 俺が好きなゲームだと、初心者殺しに罠や宝箱に擬態するモンスターだったりするからだ。

 どうしようか悩んでいると、後ろからカサカサと音がしたので振り返ると蟻が1匹、通路を進んで来ていた。

 小部屋の端に行き待機していると、通路から入ってきた蟻は何かに誘われるように迷うこと無く宝箱に向かっていった。 宝箱に接触すると思われた瞬間、宝箱が開き中から蛇の様な形をした何かが口を開けて蟻に噛りつき、蟻を丸呑みにしようとしていた。

 突然の出来事にしばらく放心していたが、奴が蟻に夢中になっている間に通路に逃げ小部屋から脱出した。 だが、せっかく発見した宝箱を諦めることに後ろ髪を引かれ振り返ると、奴は蟻を半分くらい呑み込んだ所で全てを呑み込むには暫し時間が掛かりそうだった。

 倒せるかわからないがやってみる価値はあるか……そう自分に言い聞かせ、リュックサックから未使用の使い捨てライターを4本取り出す。 それぞれに火と遅延、固定のスキルを発動させ宝箱の中に投げ入れた。 中に入ったのを確認すると一目散に通路を走った。 小部屋から少し離れた所で、爆発音と共に凄まじい衝撃が背中を押し転けそうになった。

 恐る恐る振り返ると、そこには傷一つ無い宝箱と宝箱から首だけが力無く垂れた奴がいた。 近づいてみると奴はまだ生きているみたいだが瀕死の状態といった感じだった。 宝箱に近づいても奴は動きそうになかったので中を覗きこむと小さな宝石が奴の根元にあった。 奴の弱点だと判断し、ライターの炎を近づけると、宝石が砕ける小さな音が鳴ると、黒い煙が宝箱から立ち上ぼり奴の体が消えていった。

 空っぽになった宝箱の中を確認すると底にコルクの様な物で蓋がされている液体の入ったフラスコが1個入っていた。 宝箱から取り出して鑑定を発動する。 頭の中に鑑定結果が浮かんできた。





名称 傷薬


効果 対象の細胞を活性化、止血し傷を塞ぐ




「うーん、もっと良い物が出ると思ったんだが……ま、いっか」



 初めてのアイテム獲得に嬉しい気持ちとレア物が出なかった残念な気持ちが入り交じり、もやもやを抱えたまま帰ることになった。





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