野良ダンジョン
山のダンジョンに行った次の日。朝から絵里香を借りて朱音さんから聞いた野良ダンジョンに向かっていた。町内のとある方の家の納屋にダンジョンが出来たそうで困っているとの事。朱音さんから自警団を経由して、その方に連絡を取って貰った。ダンジョンを攻略してくれるなら。と快諾して頂いたので早速ダンジョンに潜りにきた。今回のダンジョンは出来てそんなに経ってないから、そこまで成長していないだろうとの事。
早速、ダンジョンに入ると探索スキルと移動スキルを発動し、周囲の状況を把握した。
「さてと、とりあえず魔物の処理は俺がするから、宝箱があればよろしく」
「えー!私も戦いたい」
「俺のスキルを強化したいから獲物は早い者勝ちだ」
「わかった。それならいいよ」
アクティブソナーで魔物見つけながら片っ端から潰していく。このダンジョンはネズミや小型の蟻が出現した。昨日覚えた『雷』の強化の為に、木刀で瀕死にしスキルで殺していく。1階層を踏破し次の階段を降りている時に黙ってついてきていた絵里香が声を掛けてきた。
「お兄さん、由依から聞いてたけど本当にスキルって強化出来るんだ」
「ああ、強化は大変だが手札を増やす為だ」
「私もママもスキルを強化するより、強化されたスキルを習得したから」
「それだと習得するのにかなりのポイントが必要なんじゃないか?」
「うん、かなり苦労したよ。でも、すぐに使えるから」
「なるほどな。即戦力か汎用性の高さを取るか、悩むな」
雑談をしながら2階層を攻略していき、絵里香のスタミナの回復の為に小休止を数回挟みながら3階層を目指した。
3階層にたどり着くと、そこには一体の魔物とその奥に鈍く光るダンジョンコアがあった。
「どうやら、ここが最後みたいだ」
「みたいだね。どうする?お兄さんがやる?」
「そうだな、一応はガーディアンだからな。俺がやるよ」
部屋の中央に佇む魔物は以前に初心者ダンジョンで戦ったゴブリンガーディアンだった。一度戦った事のある魔物の為、油断せずに最初から使い捨てライターを取り出し、闘気を纏いゆっくりと奴に近づいた。すると、奴は後退りした。俺との力の差を感じ取ったのか、奴の表情に怯えが見えた。
楽にしてやる為、炎の大太刀を発動し奴の首を落とした。そして、奥のダンジョンコアを取ると、手の中でコアが一瞬発光すると小さな試験管がそこにあった。鑑定すると部位欠損を回復する薬だった。
「やったね!お兄さん!レア物じゃん」
「そうだな、まさか一発目でこいつを引くとは思わなかった」
「んじゃ、帰ろっか」
「ああ、帰って昼飯だな」
「うん!」
その後、家主に無事攻略出来たと報告すると、お礼に畑で取れた様々な野菜を食べきれない程の量を頂いた。頂いた野菜は空間収納に入れ、昼飯を食べに一度帰宅した。
昼食を食べた後、近隣の山に出来た野良ダンジョンを晩御飯までに潰すことにした。昨日、朱音さんに比較的成長していないダンジョンの場所を予め聞いていた。
自宅からバスに乗って移動し、そこから歩きでダンジョンを目指した。そして、まだ1階層しかなかったダンジョンを1つ潰し、次のダンジョンを目指していた。すると、隣を歩いていた絵里香が文句を言ってきた。
「お兄さん、疲れた~ダンジョンは1つ潰したんだから今日はもういいじゃん」
「ダメだ。晩御飯までに後2つは潰すんだから」
「えーなんでそこまでするの?」
「強くなる為だ」
「お兄さん、十分強いじゃん」
「いや、まだ足りない」
「え?」
「足りないんだ。力が」
「お兄さん……」
「これは俺の我が儘だ。無理に付き合う必要は無い。だから」
「いいの。わかったから、付き合ってあげる」
その後、何故か黙って着いてくるようになった絵里香と浅いダンジョンを2つ潰し帰宅した。
次の日は庭のダンジョンの間引きをする事にした。午前中は1人で、午後からは茉子ちゃんが参加する予定だ。庭のダンジョンは10階層までの地図と魔物の情報がわかっているので、隠し部屋等が無いかを探しながら魔物を殲滅していく。昨日までにダンジョンを4つ潰したのでステータスに変化があった。
名前 間崎聖人
称号 生還者☆☆☆☆☆ MAX 効果 極
ファイアーマン MAX 効果 極
屠殺 MAX 効果 極
迷宮踏破 5/10 効果 小
吸血妃の祝福 MAX 効果 極
雷を操りし者 150/500 効果 中
スタミナ 100/100
スキル 光源 火 地図 自動書記 鑑定 固定 遅延 空間収納 水 隠蔽 偽装 ストレージ 闘気 洗浄 消臭 乾燥 瞑想 アクティブソナー 光 雷 手加減
スキルポイント 21375P
パッシブソナーの範囲が倍に広がり、危険や異常を察知するのが少し楽になった。高嵜一家から提供された地図を使い『地図』スキルを更新し、魔物を殲滅しながら隈無くダンジョンを探索していった。
午後になり茉子ちゃんと合流し、討伐スピードを上げて一気に5階層まで踏破した。晩御飯までの数時間、ひたすら5階層まで魔物を殲滅し、小休止の後1階層まで戻る。それを3回繰り返し、魔物の討伐数を稼いでいた。
『雷』は称号の効果でゴブリンくらいなら一発で仕留める事が出来るレベルにまで威力が上がった。その形状も小さな矢にして撃ち出す『アロー』。それを射程距離は短いが複数発一気に撃ち出す『ショットガン』に変化させて撃つ事も出来る様になった。
夜になり一度自宅に帰り晩御飯を食べた後、再び1人でダンジョンに潜り魔物を討伐した。




