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アラサー×ゲーマー+ダンジョン=主夫!?  作者: 一汁三菜
アラサー×ゲーマー+ダンジョン=主夫!?
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牡丹鍋~新鮮野菜と新たな生活の始まり

 スキルの強化方法が分かった後、数十体を由依にトドメを差して貰った。その甲斐があってスキル強化は中まで強化され十分な火力を放つ様になった。


「お兄さん、ちょっと」


「どうした?」


「時間」


 そう言われて時計を見るとおやつの時間をかなり過ぎていた。


「すまない。ちょっと夢中になっていた」


「いいの。お陰で私、強くなれた。でも、晩御飯も大事」


「そうだな。帰るか」


「ん」


 山のダンジョンでの狩りを終えて、近所のスーパーに着いた時には日が暮れていた。鍋に必要な物を探しに行こうとしたその時、隣にいた由依が声を掛けてきた。


「待って、野菜は家にある」


「ん?そうなのか?」


「近所の人から貰った野菜が一杯あるから」


「了解。調味料と酒、米を買ってくるわ」


 スーパーの中をさっと回り目当ての物を買い、自宅を目指した。帰宅した頃には周囲は闇に包まれ一段と寒さを感じた。由依とは玄関先で別れ、野菜を用意してからこちらに来るらしい。台所に向かう前に庭にテーブルと今日狩ってきた猪を空間収納から取り出し、出刃包丁で必要な部位を切り出して台所に持って行った。汚れたテーブルと出刃包丁に『洗浄』スキルを使ってから収納した。

 台所に行き空間収納から炊飯器を取り出して買ってきた米を使いご飯を炊いた。次に切り出したロースをスライスし、食器棚に残っていた大皿を洗ってからスライスしたロース肉を並べた。

 囲炉裏の所に用意した肉と炊飯器を持っていき、自在鉤に鍋を吊るし、水と調味料を入れ炭に火をくべた。晩御飯の用意をしていると、庭から高嵜一家が野菜を持って入ってきた。


「お兄さん!野菜持ってきたよー」


「おじゃまします」


「お兄さん、準備出来た?」


「間崎さん、すみません。私達まで呼んで頂いて」


「ああ、準備は出来たよ。朱音さん、食事は皆で食べた方が美味しいですから」


 鍋に一家が持ってきた野菜とグレートボア(幼体)のロース肉を入れた。鍋が出来上がるまでの時間に少し雑談をすることにした。


「そう言えば、朱音さんと茉子ちゃんは午後からどこかに出掛けていたの?」


「ええ、町内会の自警団の訓練と会合に参加してました」


「自警団?」


「はい。町内会で組織された集まりです。この周辺の野良ダンジョンが生まれていないかを定期的に巡回したり、溢れそうなダンジョンを発見したら自衛隊に報告したり、時には攻略する場合もあります」


「朱音さんと茉子ちゃんだけだと、危険じゃないか?」


「そんな事はないですよ?普段は訓練がメインですから」


「そうじゃないよママ。お兄さんが言いたいのはママ達の身の危険」


「そういう事ね。それは大丈夫です、自警団は女性だけで構成されてますから」


「女性だけで?」


「はい。ここは田舎なんですが、夫婦や家族で移住されてきた方も結構居たのです。でも、ダンジョンが溢れた時に家族を守る為に男達は戦い、そして帰らぬ人となりました。だから、残された家族を守る為に女達が集まり自警団を設立しました」


「そうか……ところで、野良ダンジョンってなに?」


「ん?お兄さん、野良ダンジョン知らない?」


「聞いたことがないな」


「都市が管理、把握していないダンジョンの事をそう呼んでいる」


「つまり、勝手に攻略してもOK?」


「そうですが。間崎さん、もしかして潜るつもりですか?」


「ああ、ここのダンジョンと山のダンジョンを探索しながら野良を攻略しようかと」


「無茶はしないでくださいね」


「そうだな……それなら、野良ダンジョンに行く時は絵里香ちゃんを借りれないか?」


「私?」


「ああ、確かスカウト系のスキルをメインに習得してたはずだろう?」


「そうだけど……私でいいの?由依じゃなくて」


 ちょっと絵里香の機嫌が悪いか?


「ん?由依ちゃんは山のダンジョンに行く時に借りようと思っているよ。だから、絵里香とは野良ダンジョンだな。野良ダンジョンは一から探索しなければならないから絵里香が適任だ」


「そか、ならついていく」


 なんだかわからんが絵里香の機嫌は直ったようだ。


「それでしたら、自警団の訓練にも顔を出して貰えませんか?」


「構わないが、良いのか?」


「はい、間崎さんなら良いアドバイスをして頂けると思いますし」


「わかった。その時には参加する」


「お願いします」


 雑談をしていると鍋が出来上がったみたいだ。


「さてと、鍋がいい感じになったから食べようか」


「「「「いただきます」」」」


 出来上がった牡丹鍋を深めの器に取り分け、グレートボアのロース肉を口に運んだ。すると、噛めば噛むほどに肉汁が溢れ出てきて口の中に旨味が広がった。すかさずご飯を頬張ると、口の中でご飯と味噌と肉の旨味が合わさり、なんとも言えない幸福感で心が満たされた。


「美味しい~猪の肉ってこんなに美味しかったんだ」


「ん、美味」


「本当だ。美味しい」


「味噌とお肉の相性が抜群ですね。それに野菜がより美味しく感じます」




 そんな感じで賑やかな晩御飯となった。




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