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アラサー×ゲーマー+ダンジョン=主夫!?  作者: 一汁三菜
アラサー×ゲーマー+ダンジョン=主夫!?
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食材確保

 賑やかな昼食が終わり、囲炉裏を囲むゆっくりとした時間が流れていた。自在鉤に鍋を吊るし囲炉裏で温めた湯を使い、インスタントコーヒーを淹れた。コーヒーを味わっていると、食後の休憩をしていた絵里香が突然声を上げた。


「あ!ママ達の事、忘れてた……」


「大丈夫」


「そか、ありがとう。由依」


「ん」


 さっき昼飯を食べたばかりだが、晩御飯の献立は何を作ろうか思案し始めた。ダンジョン都市にいた頃は寮の管理人が食事を作ってくれていたが、1人暮らしに戻ったので自炊しなければならなかった。食材を買いに行きたいし、山のダンジョンも気になっているから姉妹に案内を頼むとしようか。


「2人ともこの後、時間は空いてるかな」


「うーん、私は無理かな。ママに勉強しろって言われてるから」


「私は大丈夫」


「そうか、なら由依ちゃんに頼もうかな。近くのスーパーと山のダンジョンに案内してほしいんだ」


「スーパーはいいけど、どうして山のダンジョンに?」


「今日の晩御飯の食材を狩りに行こうと思ってね。山のダンジョンには猪や馬が出るんだろう?だから、今日はボタン鍋にしようと思ってな」


「ん、分かった」


「由依は良いなぁ、お兄さんとダンジョンに行けて」


「姉さんが毎日勉強しないのが悪い」


「良いじゃん、しばらく学校に行かないんだから」


「来年には復学する。今からやっておかないと」


「由依は真面目だなぁ」


「じゃあ、絵里香は留守番。晩御飯はボタン鍋にするから良かったら食べにおいで」


「いいの!?なら、頑張って勉強する!」


「相変わらず、お兄さんは姉さんに甘い」


「そうか?で、由依ちゃんはどうする?」


「お母さん達も一緒なら」


「俺は構わないよ。皆で食べようか」


「なら、食べる」


「じゃあ、準備が出来たら、まずは山のダンジョンに行く」


「ん」


 この後の予定が決まったので一旦解散した。しばらくして準備が出来た由依が玄関に来たので合流し、由依の案内で山のダンジョンに向かった。ダンジョンへは高嵜一家の家から歩いてバス停に向かい、そこからバスで15分。更に歩いて一時間とかなり離れていた。ダンジョンの入口は比較的わかりやすい所にあったので次からは1人でも来れそうだった。

 早速、ダンジョンに潜るといつものように探索スキル(地図、自動書記)移動スキル(光源、アクティブソナー)を発動し探索を開始した。


「魔物は基本的に俺が処理するから、由依ちゃんは何もしなくて良いから」


「ん、了解」



 アクティブソナーの反応のある方に探索を開始し、間もなく一体目の食材と出会った。それは猪にしては巨大で立派な角が生えていた。鑑定をするとグレートボア(幼体)となっていた。幼体という割には普通の猪よりデカかった。今日のボタン鍋のメイン食材はこいつにしよう。

 闘気を纏い腰に差した木刀を正眼に構えると、奴はこちらに突進してきた。奴の突進に合わせて頭部に木刀を振り下ろし、奴の頭蓋骨を粉砕した。

 奴の死体はナイフを取り出して直ぐに血抜きをし、空間収納に入れた。周囲が血で汚れたがダンジョンは直ぐにそれを吸収し綺麗になった。それをずっと黙って見ていた由依が声を掛けてきた。


「本当に死体が残るんだ。それもスキル?」


「いや、こいつは称号だ」


「私も手に入れること出来る?」


「多分な、食べる事が出来る魔物のユニーク個体を討伐すれば称号がつくはず」


「ん、頑張って見つける」


「そういえば、由依ちゃんは弓を使うんだよな?」


「そう、一番上手く使える」


「この間の話し合いの時に盗聴器を潰す時に電撃みたいなのを使ってなかった?」


「お兄さん、良く見てる。私のスキルに『雷』がある」


「『雷』か。でも、雷っていうよりスタンガンみたいだったな」


「うん。いくら使ってもあの程度しか威力がでない」


「ふむ……『雷』に関する称号は無いのか?」


「無い。前に話した分しか持っていない」


「そうか、ちょっと時間をくれ」


 そう言ってステータスを確認すると『雷』が習得可能になっていたので習得した。『雷』だけでなく『火』や『水』『光』といったスキルは検証してこなかったので、この機会に検証しようと思う。ついでに由依の手助けになればラッキーだ。


「どうしたの?」


「ちょっとな。試したい事がある」


 そう言って試しにスキル『雷』を発動してみた。すると、左手に小さな電撃が走った。どうやら闘気を纏っていても由依と変わらない位の電撃しか発現しなかった。


「お兄さんも『雷』を取ったの?」


「ああ、闘気を纏った状態なら強化されるかと思ったが、ダメだな」


 スキルについて考察しているとソナーに反応があった。どうやら、新たな食材が近づきつつあるようだ。反応のある方に注意しながら待っていた。

 もしかしたら、この『雷』で魔物にトドメを差したら新たな称号がつくかもしれない。その為には奴を殺さない様にしなければならなかった。要は『手加減』が必要なのだが、闘気を纏った状態だと簡単に殺してしまうし、何も使わないとこちらがダメージを負う。そんな事を考えていると、ステータスに『手加減』が習得可能欄に表示された。




名前 間崎聖人(かんざきまさと)


称号 生還者☆☆☆☆☆  MAX  効果 極

   ファイアーマン   MAX  効果 極

   屠殺        MAX  効果 極

   迷宮踏破      1/3  効果 微

   吸血妃の祝福    MAX  効果 極



スタミナ  100/100


スキル 光源 火 地図 自動書記 鑑定 固定 遅延 空間収納 水 隠蔽 偽装 ストレージ 闘気 洗浄 消臭 乾燥 瞑想 アクティブソナー 光 雷


スキルポイント   21250P


習得可能スキル 手加減


名称 手加減


効果 適度に力を抜き使用するスキル、又は攻撃の威力を調整し、即死を防ぐ事が出来るかも




「なんだこの中途半端なスキルは……」


「お兄さん?」


「いやな、『手加減』というスキルが表示されたのだが、対象を殺さないかも。という微妙なスキルなんだよ。ゲームなら対象のHPを1にするとかなんだが」


「それは魔物のHP。つまり、命は数字で表せないからじゃない?」


「ふむ、言われてみれば……そうか、鑑定やステータスにはHP表示はなかったな。納得した」


 そんなやり取りをしていると通路から反応のあったグレートボア(幼体)が現れた。早速、闘気を纏い『手加減』を使用して木刀で攻撃してみた。すると、口から泡を吹いて気絶した様でその巨体は床に倒れた。

 『手加減』を解いてから、奴に近づき頭部に左手を当て『雷』を発動させたが、特に変化がなかった。とりあえず『雷』を数十回発動させてから様子を見たが奴は起きる気配がなかった。奴の死体を血抜きし空間収納に入れた。

 改めて、ステータスを確認すると新たな称号が追加されていた。




名前 間崎聖人(かんざきまさと)


称号 生還者☆☆☆☆☆  MAX  効果 極

   ファイアーマン   MAX  効果 極

   屠殺        MAX  効果 極

   迷宮踏破      1/3  効果 微

   吸血妃の祝福    MAX  効果 極

   雷を操りし者    1/10  効果 微


スタミナ  100/100


スキル 光源 火 地図 自動書記 鑑定 固定 遅延 空間収納 水 隠蔽 偽装 ストレージ 闘気 洗浄 消臭 乾燥 瞑想 アクティブソナー 光 雷 手加減


スキルポイント   21200P



 どうやら無事にスキルでトドメを差せたみたいだ。新たな称号の効果はスキル強化と同系統からの攻撃に対する耐性だった。

 もう一度『雷』を発動すると、先ほどより強い電撃が走りバチバチと発光していた。


「お兄さん、それ」


「ああ、どうやらスキルでトドメを差すと称号が追加。その効果で強化されるみたいだ」


「私も強くなりたい」


「ふむ、晩御飯の食材は確保したしな。じゃあ、次の個体でやってみるか、手加減するからトドメを差してくれ」


「ん、やる」



 由依は静かに燃えていた。


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